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世界再生GAME  作者: 新月 乙夜
〈北の城砦〉攻略作戦

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〈北の城砦〉攻略作戦8


 石塚の拠点を出発してから五日後、カムイたちはついに〈廃都の拠点〉にたどり着いた。カムイにとってはおよそ二ヶ月ぶりである。アーキッドが事前にメッセージで連絡しておいたらしく、顔見知りのプレイヤーが彼らを出迎えた。


「よう、アラベスクのおっさんはいるか?」


「ええ。お会いになりますか?」


「ああ、頼むぜ。……それでお前らはどうする?」


 アーキッドがカムイたちの方を見てそう尋ねる。彼はアラベスクと〈北の城砦〉攻略作戦について話をするというが、そこに加わってもカムイにすることはないだろう。それなら後で決まったことを教えてもらえばいい。


 それでせっかくココまで来たのだし、カムイはキファのところに顔を出しておくことにした。ロロイヤによって(魔)改造された〈オドの実〉にも興味があるかも知れないと思ったのだ。


「あ、じゃあ、あたしも行こうかな」


 そこへカレンも同行を申し出、さらに呉羽も一緒に行くことになった。同じ職人としてロロイヤも興味があるかと思ったのだが、彼は「ちょっと遺跡を見てくる」と言ってさっさとどこかへ行ってしまった。本人があんな調子なので、紹介するのはまた今度でいいだろう。


 ちなみに他のメンバーだが、アストールはアーキッドと一緒にアラベスクのところへ行くことになり、ミラルダとキキとリムは「三人でお茶でもしておる」ということらしい。あとはイスメルだが、彼女は気付いたらいなくなっていた。後日、中庭で浄化樹に抱きつくダメエルフの姿が目撃されたという話を聞いたから、たぶんソレであろう。


 まあそれはそれとして。アーキッドらと別れたカムイたち三人は、拠点の端っこに位置するキファの工房を目指した。


 廃都の拠点では、プレイヤーたちは主に北側の城砦区画を根城としている。この場所はかつて数万から十万に届こうかと言う規模の軍勢が詰めていたと思われ、当然それに応じて広い。岩陰の拠点のプレイヤーが合流したとはいえ、廃都の拠点のプレイヤー数はまだまだ二百名に届かず、そのため基本的に拠点内は閑散としている。キファが工房を構える“辺境”は特にそうだった。


 さて、キファの工房に到着すると、扉にかけられた木製のプレートには、相変わらず「人の訪ね来ることこそ嬉けれ。されどお前ではなし」の一文が。相変わらず絶好調らしい、とカムイは顔に苦笑を貼り付けながらそう思った。


「わ、悪い人じゃないのよ?」


 かつてカムイにそうしたように、カレンが呉羽にキファのことをそうフォローした。一方の呉羽はといえば嫌な顔をすることもなく、むしろ真面目な顔をして頷いている。そしてこんなふうに応じた。


「分かっている。風流な方なのだな」


 その感想にカムイもカレンも揃って首をかしげた。分かってはいたが、呉羽もまたちょっと感性がおかしい。とはいえ深く突っ込むことはせず、カレンは気を取り直して扉をノックしキファを呼んだ。


「あ~、はいはい。いま行く」


 部屋の中から返事があり、扉が開いてキファが顔を出した。そして見知った顔を見つけて「おや」という顔をし、そしてすぐに笑顔を浮かべた。


「いないかと思いましたよ」


 カムイがそう言いながらプレートを指差すと、キファは「ああ、忘れていたよ」と言ってプレートをひっくり返す。そこには「人の訪ね来ることこそ疎ましけれ。されどお前ではなし」の一文が。〈OPEN〉と〈CLOSED〉の意味で、キファ曰く「洒落だよ」という話だが、相変わらず洒落になっていないと言うべきだろう。


「ま、なにはともあれよく来たね。さ、入ってくれ」


 コーヒーを淹れよう、と言ってキファは三人を部屋の中へ招いた。それからネルドリップで四人分のコーヒーを淹れて、それをカムイたちに振る舞う。そしてカレンが用意したお菓子をつまみつつ、キファは呉羽のほうに視線を向けた。


「それで、こちらのお嬢さんは誰なんだい?」


「あ、【藤咲 呉羽】といいます。よろしくお願いします」


「ふむ。知っていると思うが、私は【Kiefer(キファ)】だ。よろしく頼むよ。……それで、今日は何の用だい?」


「まあ、用事ってほどじゃないですけど……。廃都の拠点まで来たんで顔見せです。あとは、コイツが完成したんで、キファさんも興味があるかな、と」


 そう言ってカムイは首から下げた〈オドの実〉を取り、キファに差し出した。彼女は「ほう……?」と面白そうに笑みを浮かべながらそう呟くと、それを受け取って目の高さに掲げた。


「確か、ロロイヤさんから術式を刻んでもらったんだったね。どれどれ……」


 キファは作業台からモノクルを取ってくると、そう言って〈オドの実〉をためつすがめつ観察し始めた。すると楽しげに笑みを浮かべていたその顔は徐々に真剣なものになり、最後はほとんど睨むようにしながら〈オドの実〉を調べ、そして脱力したように「はぁ~」とため息を吐いた。


「まったく、やれやれ……。脱帽だよ、これは……」


 目頭をつまむようにしてほぐしながら、キファは呻くようにそう呟いた。そして〈オドの実〉をカムイに返すと、いまいち事情が分かっていない彼ら三人に、ロロイヤの技術についてこんなふうに語った。


「ロロイヤさんはね、ただ単に術式を刻んだわけじゃないんだ。明らかに私が付加した〈ギフト〉を計算に入れて、自分の術式を上書きしている。まったく、冗談だろう……? ユニークスキルだぞ……。それを自分の能力だけで……?」


 そう言ってキファはまた呻いた。キファのユニークスキルは【ギフト】といい、その能力は【自分の作品にギフトを与える】というもの。それを計算に入れて術式を刻んだということはつまりユニークスキルの力を、少なくともその一端を解析したということだ。しかもロロイヤの場合、自力で。


 それが非常識だということは、カムイたちにも何となく分かった。しかし分野は違えども職人として同じ世界にいるキファにとっては、彼ら以上に衝撃的な事柄だったようである。完全に頭を抱えてしまっていた。


「あ~、やれやれ……。挑戦状を叩きつけたら、ばっさり返り討ちにあった気分だよ。いっそ清々しいくらいさ」


 事実上の全面降伏宣言である。やっぱりロロイヤは、他とは逸脱した腕をもつ魔道具職人であるらしい。変人のクセに。きっと良識とか常識といったものを投げ捨ててその高みにたったに違いない。カムイはそう決め付けた。


「実はそのロロイヤさんも、今ココに来ているんですよ」


「おや、それは本当かい?」


 カレンの言葉にキファは身を乗り出した。やはり興味を惹かれるらしい。「遺跡を見物しに行った」と聞いて、ガッカリしたような顔をしていた。


「アッチはアッチでキファさんに興味があるみたいだったから、そのうちに勝手に出没するんじゃないかなぁ。罠を仕掛けておけば捕獲できると思いますよ」


「お前な、そんな人を害獣みたいに……」


「害獣どころか害虫でじゅうぶんだよ、あんなヤツ。Gだ、G」


 苦笑しつつも眉をひそめる呉羽に、カムイは不機嫌そうに鼻を鳴らしてそう答えた。「どうしたんだい?」と尋ねるキファに、カムイは〈オドの実〉が暴走したせいで植物人間になってしまったことや、〈エクシード〉の一件を話す。それを聞くと彼女は愉快そうに肩を揺らして笑った。


「それは大変だったね……。会う機会があったら、私も気をつけるとしよう。ところで、君たちはどうしてココへ? まさか完成した〈オドの実〉を見せに来たわけじゃないだろう?」


「ええっと……。キファさんは〈北の城砦〉って知ってますか……?」


「まあ、名前くらいは。ココからさらに北へ行ったところにあるのだろう?」


「そうです。あたし達はそれを攻略しに来たんです」


 カレンが目的を端的にそう答えると、キファは「ほう?」と言って目を輝かせた。そして無言のうちに詳しい説明を催促する。そんな彼女に、三人はそれぞれ言葉を補いながら〈北の城砦〉攻略作戦について話した。


 その中でカレンが撮った写真も見せたのだが、その様子に流石のキファも絶句する。「百聞は一見にしかず」というが、一目で〈北の城砦〉が普通でないことを理解できたようだ。すると俄然、そこに何かあるというアーキッドの予測も真実味を帯びてくる。


「なるほどねぇ……。クエスト、か。……そういえば、こんな話を知っているかい?」


 廃都の拠点と〈北の城砦〉の間にある荒野。そこは他と比べてモンスターの出現率が異様に高い。そして討伐されずに増えたモンスターが集まることで〈軍団(レギオン)〉が出現するのだが、しかしその一方で瘴気濃度は低いのだとキファは言う。だいたい0.61程度だという話だ。これはカムイたちが知っている中でもかなり低い数値である。


 通常、モンスターの出現率は瘴気濃度に比例する。瘴気がたくさんあるほどモンスターが出現しやすいというのは、なるほど分かりやすい話だ。しかしここではその法則が崩れている。ということは何かしらの要因が働いていると考えられた。


「つまり、意図的にモンスターが出現させられているせいで、瘴気の消費量が多くなって、それで濃度が下がっている……?」


「まあ、そうなんだろうね。要するに〈軍団(レギオン)〉もそのクエストやらの一部である可能性が高いわけだ」


 呉羽の呟きにキファは一つ頷いてそう応じた。ということはカムイたちが〈北の城砦〉を攻略すれば、〈軍団(レギオン)〉も出現しなくなるかもしれない。そんな可能性をキファは語った。


「ま、今のところはただの楽観論だがね」


「まあ、十分ありえる話だとは思いますけど……。でも、いいんですか? その稼ぎ的な意味で」


 モンスターの出現率が高いということは、それだけ稼ぎの効率がいいという意味でもある。もしカムイたちがクエストを攻略し、その結果モンスターの出現率が下がったとしたら、稼ぎの効率が悪くなってここにいるプレイヤーたちは困るかもしれない。カムイは咄嗟にそれを心配したのだが、キファは笑ってその可能性を否定した。


「そんなことはないよ。むしろみんな喜ぶんじゃないのかな。実はね、ちょっと前にこんなことがあったんだ。ディーチェのことは知っているだろう?」


 ディーチェとは岩陰の拠点から合流してきたプレイヤーの一人で、彼女のユニークスキルは【麗しの吟遊詩人(ララ・バード)】という。様々な効果のある歌を歌うことができる能力なのだが、そのなかでも〈誘引の歌〉というモンスターの出現率を劇的に上げる歌が、プレイヤーたちの稼ぎに大いに貢献していた。


 その〈誘引の歌〉を、例の荒野で試したときのことだ。「まるで雪崩のように」というのがその時の作戦に参加したあるプレイヤーの感想なのだが、つまりそれくらい異常な勢いでモンスターが出現したのだとキファは言う。


「私はその作戦には参加していなかったから後で聞いただけなんだけど、『あやうく〈軍団(レギオン)〉が出現しかけた』という話だからね。なかなか危機的な状況だったらしいよ」


 当然、作戦は即刻中止。プレイヤーたちは急いで残敵掃討を行った。幸い、〈誘引の歌〉が止まった後は出現率も通常に戻り、さらに百名以上の戦闘系プレイヤーが作戦に参加していたこともあり、〈軍団(レギオン)〉の出現はギリギリのところで防ぐことができた。稼ぎもいつも以上で、結果だけ見ればそれなりの成果であるが、「肝が冷えた」と作戦後にアラベスクは言い残してたそうだ。


 そんなわけで以来、例の荒野で〈誘引の歌〉を使った作戦は行われていない。リスクが大きいと判断されたのだ。しかしクエストがクリアされればその心配もなくなる。


「でも、それだと今度は瘴気が枯渇しませんか? ほら、岩陰の拠点みたいに」


 カムイはそう指摘する。岩陰の拠点のプレイヤーたちが廃都の拠点に合流した最大の理由は、岩陰の拠点の周辺で瘴気が枯渇してしまったからだ。つまりモンスターを出現させすぎて瘴気が少なくなり、結果として稼ぎの効率が下がってしまったのだ。


 同じことがココでも起きるかもしれない。いや〈誘引の歌〉を使う限り、いずれ必ず起きるというべきだろう。しかしキファは笑って「心配ない」と言った。そしてその理由をこんなふうに説明する。


「効率的な狩場として期待されているのは、実は荒野じゃないんだ。廃都の近くにはため池があってね。このため池はどうも農業用水として使われていたようなんだけど、ともかく期待されているのはそっちなんだよ」


 このため池には、川から水が流れ込んでいる。というより、用水路を造って川から水を引き、このため池を造ったらしい。だからこのため池には常に水が流れ込んでいる。瘴気に汚染された水が、常に。


 それを聞き、カムイは納得の表情を浮かべて大きく頷いた。確かにそういう場所なら、流れ込む水と一緒に瘴気もまた補充される。これなら枯渇することはまずない。瘴気を取り除くことを目的にするなら「打つ手なし」と匙を投げるところだが、〈誘引の歌〉を使った狩場としてはこれ以上ない立地だろう。


「そんなにいい場所があるなら、どうして今は使わないんですか?」


「使っていないわけではないよ。ただ、〈軍団(レギオン)〉を出現させないことが最優先だからね」


 カレンの質問にキファはそう答えた。それで、どうしても荒野でモンスターを間引くことに人手を割かなければならない。そうなるとため池の方に行ける人数は限られてくる。いくら荒野の出現率が高いとはいえ、稼ぎの効率で言えばため池には及ばない。それで戦闘で稼ぐプレイヤーの多くが、ため池の方に行きたがっているという。


 しかしそのためには、〈軍団(レギオン)〉が出現してしまう現状を何とかしなければならない。そこでクエストの攻略に繋がる、というわけだ。


「ま、そんなわけで君たちがクエストを攻略して、その結果荒野の出現率が下がったとしても、それで困るプレイヤーはいないと思うよ」


 むしろみんな喜ぶだろうから頑張ってくれたまえ、とキファはカムイたち三人を気楽な調子で激励した。それに対し、カムイも「へーい」と気の抜けた返事を返す。なんにしても、クエストの攻略が廃都の拠点のプレイヤーにとって、不利益にならないことが分かったのは収穫だ。もしかしたらアーキッドとアストールがアラベスクと話しているもの、そういった事柄の確認なのかもしれない。


「……それはそうと、キファさんは最近どんな感じなんですか?


「私かい? まあ相変わらずさ」


 肩をすくめながらキファはカレンにそう答えた。相変わらず、作品の売れ行きに悩んでいるという。彼女の作品の出来が悪いわけではない。単純に市場規模の問題だ。それでも最近はプレイヤーショップ機能を使えるようにしているプレイヤーが増えてきて、売り上げも少しずつだが伸びてきているという。ただキファとしては、それはそれで不満がないわけではなかった。


「できれば、依頼人とは顔を合わせて仕事をしたいんだけどねぇ」


 キファはそうぼやく。そういう意味では、〈オドの実〉は理想的な仕事だった。依頼人の要望にあわせたオーダーメイド品で、なおかつ大きな裁量があり、そのうえ報酬も高額。職人としてはうっとりしてしまうような好条件揃いである。こういう仕事がしたいんだけどね、とキファは肩をすくめた。


「そうだ。カレン、クレハ、何かないかい?」


「何かと言われても、すぐには思いつきませんよ……」


 そう言って呉羽が苦笑を浮かべれば、カレンも頷いてそれに同意する。そもそも二人とも潤沢な資金を持っているから、必要と思える装備はすでにアイテムショップで買い揃えてあるのだ。カムイの〈オドの実〉は特殊な例と言える。


「それもそうか。ま、何か入り用になったらご贔屓に頼むよ」


 そう言って軽く営業してからキファはこの話題を切り上げた。そして彼らはアーキッドからメッセージが来るまでの間、(主にカムイを除く三人で)雑談を楽しむのだった。



 ― ‡ ―



 カムイたちが廃都の拠点に到着した、次の日の朝早く。彼らは準備を整えて北の城門前に集まっていた。彼らだけではない。彼らのほかに、アラベスクを含めた三十人五組のプレイヤーたちも一緒である。


 彼らはクエストを攻略するための援軍、ではない。カムイたちが〈北の城砦〉へ行くにはモンスターの出現率が高い荒野を踏破しなければならないのだが、彼らはそのための護衛である。ただし、途中まで。


 廃都の拠点から〈北の城砦〉までは徒歩で三日程度かかるのだが、彼らが護衛してくれるのは最初の一日だけなのだ。昨日の晩、【HOME(ホーム)】のリビングでその話を聞いたとき、カムイは思わず「意味あるんですか?」と聞いてしまったものである。


 まあ、護衛としての彼らに意味があるのかはこれから分かるとして、彼らが護衛に付いたことそれ自体には意味があった。つまり廃都の拠点として、〈北の城砦〉攻略作戦を支援するという意思表示である。


 彼らがカムイたちのクエスト攻略を支援する理由は、概ねキファが語ったとおりである。そしてそれを知ったアーキッドはアラベスクにこういったと言う。


『つまり、お前たちにとっても利があるわけだ。だったら、少しくらい手を貸してくれてもいいよな?』


 その言葉の裏にあるアーキッドの思惑に、アラベスクは当然気付いていた。つまり共犯者になれ、ということだ。さらに踏み込んで言うなら、「攻略後に拠点のプレイヤーから不満が出た場合は盾になれ」ということである。


 その思惑を理解したうえで、しかしアラベスクは基本的にアーキッドの依頼を了解した。協力者になることにメリットがあると判断したからだ。攻略が上手く行き、〈軍団(レギオン)〉が出現しなくなれば、それは協力したアラベスクたちの手柄でもある。その手柄を持って拠点内での求心力をさらに高める。それが彼の狙いだった。


 付け加えるなら、攻略後の不満はほとんど出ないだろうと見越しての判断でもある。つまりノーリスク。ちょっと協力するだけで甘い果実が手に入るのだ。コレに乗らない手はない。


 ただ、だからと言っていいように酷使されるのは面白くない。そして誠意と打算と駆け引きに満ちたお話の結果、こうして〈北の城砦〉へ向かう道中の護衛(途中まで)という形で折り合いが付けられたのである。


 そしてさらにもう一つ、アラベスクが求めたものがあった。


『……ところでアストール殿はプレイヤーショップに〈魔法符:魔力回復用〉を出品されていたと思うのだが?』


『はい。確かに私が出品していますが……?』


『ではそれを百枚ほど用意してもらいたい。今回の作戦に必要だ。無論、正規の対価はお支払いする』


 その要求にアーキッドは苦笑を漏らし、アストールは唖然とした。二人とも、というよりアラベスク本人さえも、道中の護衛(途中まで)に〈魔法符:魔力回復用〉が百枚も必要になると思っていない。要するにそういう名目で、普段は入手しにくいこのアイテムを確保してしまおうという腹なのだ。護衛の報酬、と考えられなくもない。


『……分かりました。用意しておきましょう』


 アストールがそう答えると、アラベスクは満足そうに頷いた。そんなわけで昨晩、アストールとカムイは〈魔法符:魔力回復用〉を百枚用意したのだが、幸いなことに時間はそれほどかからなかった。


 それどころかぶっちぎりで最短記録だった。どういうことかと言うと、〈エクシード・マギ〉を使ったのだ。この魔法は魔力を魔力のまま操作するというためのもの。この魔法を使い、アストールは束になった百枚の【魔法符】の一枚一枚を、浸透させた自らの魔力で包んだ。そして〈ユニゾン〉の魔法でカムイの魔力と同調してから〈トランスファー〉を発動。百枚全てに対し、一気に魔力を流し込んだのである。


『これは……、なかなか……』


 キツイ。アストールはそう思った。【魔法符】一枚に込められる魔力の量は、アストールの全魔力量のだいたい三割ほど。それが百枚だから単純に計算して三〇〇割、つまり三十人分の魔力である。それを一気に流すのだ。アストールは自分が魔力を溜めておく池ではなく、通り過ぎていくだけの放水路になったような気分だった。


 まあそれはともかくとして。前述したとおり、アラベスクが用意した戦力は三十人五組のパーティー。この内、まず二組のパーティーが先行した。彼らは露払いである。どこであっても突然出現する可能性がある以上、モンスターを完全に排除して安全を確保することは出来ない。だがそれでも一度露払いをしておけば、後続が会敵する率を下げることが可能だ。


「んじゃ、そろそろ行くか」


 先行組が出発してからおよそ十五分後、アーキッドはやおら立ち上がると周辺で待機していたプレイヤーたちにそう声をかけた。彼の目配せを受けて、ミラルダが〈獣化〉する。その背中にキキとリムが乗るころには、アラベスクらを含め全てのプレイヤーの準備が完了していた。


 周囲を見渡し準備が整っていることを確認すると、アーキッドは出発を宣言した。先頭を行くのは【ペルセス】に跨ったイスメル。その後ろに〈獣化〉したミラルダを中心に置いたカムイらが続き、その左右と後方を護衛である三組のパーティーがそれぞれ固める。これが基本的なフォーメーションだ。


 目的地である〈北の城砦〉は、目の前に広がる荒野の先にある。この荒野はモンスターの出現率が高いと聞いていたが、それほどではないようにカムイには思えた。それは彼が何度も〈侵攻〉を経験してきたからであるし、また先行する二組のパーティーが露払いの仕事をきっちりと果していたからでもある。ちなみに、派手に戦っている様子が見えるので彼らを見失う心配はない。


 進路上に散発的に現れるモンスターを、イスメルが無造作に切り捨てる。それを後ろから見守りながら、カムイたちは一路北を目指した。モンスターは側面からも襲ってくるが、左右のパーティーがそれぞれ対処する。残された魔昌石もしっかりと回収していくあたり、なかなか抜け目ないと言うべきか。まあ護衛の仕事をきっちりやってくれている分には、なにも問題はないだろう。


 現れるモンスターは、事前に聞いていた通りほとんど人型で、いわゆるスケルトンタイプである。そのすべては〈軍団(レギオン)〉の兵士であり、槍兵・弓兵・騎兵・魔導士などバリエーションも豊富だ。


 個々の能力は決して高くないが、しかしこれらのモンスターは集団で襲ってくることが多く、その点はなかなか油断できない。もっとも、アラベスクたちはさすがに慣れた様子で、危なげなく対処し手早く始末していく。頼もしい護衛だった。


 さらに歩きながら遠くを見渡せば、塔のようなものがゆっくりと動いているのが見えた。攻城櫓だ。話に聞いていた通り真っ黒で、つまり攻城兵器タイプのモンスターである。天辺には数体の弓兵がいてカムイたちに気付くと弓を構えたが、矢を射る前にユニークスキルで狙撃され、まとめて吹き飛ばされていた。


(案外いいカモかも……)


 そんなふうにカムイは思う。的がでかくて動きは遅く、さらに複数体のモンスターをまとめて倒せる。なかなかおいしいモンスターと言えるのではないだろうか。きっとプレイヤーたちに乱獲されているに違いない。


 さてしばらく歩いていくと、カムイたちは先行していたパーティーに追いついた。予定通りそこで休憩を取ることになり、アーキッドが【HOME(ホーム)】を展開する。ただ全てのメンバーが休憩するわけではなく、護衛のうち先ほどとは別のパーティーがまた二組、露払いのために先行する。


 そして短い休憩が終わると、カムイたちはまたフォーメーションを保って北を目指した。そんなふうにして彼らは一日中歩き続ける。結局この日、イスメルを除いてカムイたちがモンスターと戦闘をすることはなかった。アラベスクたちは優秀な護衛だったといえるだろう。そして彼らのありがたさをカムイたちが実感するのは二日目になってからのことだった。


 さて二日目の朝、【HOME(ホーム)】で朝食を食べ終えるとアラベスクたちは廃都の拠点へ戻っていった。彼らの護衛はここまでである。ここから先はカムイたち十人だけで進まなければならない。


 レンタカーを使って一気に、というわけにはいかない。レンタカーは使わないことにしているのだ。これは廃都の拠点に来る前に決まったことで、これが決まっていたのでアーキッドはアラベスクに護衛を依頼したともいえるのだが、まあそれはそれとして。


 警戒しているのは遠距離攻撃、特に魔法による攻撃だ。レンタカーは普通の車である。ちょっと大きな魔法が当ったら、恐らくは耐えられない。威力の低い魔法であっても、集中的に狙われたら結果は同じだ。その時、中にいる人間まで無事と考えるのは、都合が良すぎるだろう。


 加えてミラルダのこともある。いくら〈獣化〉した彼女が屈指の身体能力を誇るとはいえ、背中に三人も乗せていては、満足に戦えるはずもない。そんなわけでレンタカーは使わず、急いだとしても小走り程度の速度で進むことになったのである。


「ここまできたら焦りは禁物だ。温泉のときにも言ったが、誰かと競っているわけじゃない。時間がかかってもいいから、全員無事が絶対条件だ。休憩を多く取りながら行くぞ」


 アーキッドのその言葉に頷いてから、カムイたちは二日目の移動を開始した。先頭はイスメルで、左翼が〈獣化〉したミラルダ。右翼は呉羽だ。さらにアーキッドとカムイが左右で遊撃的に動く。リムとカレンが中央で地図とコンパスを確認してナビを行い、残りの三人がこの二人を護衛する形だ。ただ、アストールとロロイヤは後方のカバーもかねているので、護衛に専念というわけにはいかない。


 移動を開始すると、カムイはすぐに昨日までとは様子が違うことに気付いた。当たり前だが、露払いされていない分、モンスターの数が多いのだ。そして護衛もいないから、それらのモンスターには彼ら自身で対応しなければならない。


 まず真っ先にモンスターと接触したのは、【ペルセス】に跨って先頭を行くイスメルだった。彼女は立ち塞がるモンスターをそれぞれ一呼吸で切り捨てて進路を開いていく。魔昌石は拾わない。別にそう決めていたわけではないが、いちいち【ペルセス】から降りて拾うのも面倒なのだ。欲しければ後続の誰かが拾うだろう。


 次に彼女は槍を構えて正面から突撃してきた五体ほどのモンスターを、〈伸閃〉でまとめて撫で斬りにする。さらに放たれた太矢投射機(バリスタ)の太矢を片手で切り払うと、即座に間合いを詰めてバラバラに解体してしまう。ただここまでで後続とは距離が開き、突出してしまう形になってしまった。


「む?」


 孤立してしまったかに見えるイスメル目掛けて、正面と左右の三方からモンスターが殺到する。彼女は【ペルセス】を巧みに操ってその場で円を描くように一回転し、それに合わせて両手の双剣を大きく一閃する。放たれた〈伸閃〉は殺到するモンスターすべてを薙ぎ払った。


 魔昌石がボトボトと音を立てながら地面に落ちる。それらに一瞥をくれることもなく、イスメルは油断なく周囲を警戒しながら後続、とくにフォーメーション中央部の五人が追いついてくるのを待つ。後ろに感じた気配を【ペルセス】の後ろ足で蹴り飛ばしていると、ふと騎兵の駆ける音が聞こえてくる。イスメルがそちらへ視線を向けると、迎え撃たんとする呉羽の姿が彼女の目に入った。


 騎兵の数は、二十騎ほどもいるだろうか。当然、馬も騎手もモンスターで、その姿は地獄の騎士のようだ。彼らは地響きを立てながら狂ったように突撃してくる。しかし呉羽に恐れた様子はない。彼女は愛刀【草薙剣/天叢雲剣】を構えると、あろうことか正面からそれら騎兵の集団に突っ込んだ。


「〈雷樹・絶界〉!」


 彼女が踏みしめた大地から紫電が立ち昇り、そして吹き荒れた。紫電を引き連れて疾走する呉羽は、そのまま騎兵たちのど真ん中へ飛び込み、そしてまとめて焼き尽くす。抵抗は微塵も許さない。


「「「ギィィィィィイイイイ!!?」」」


 モンスターの絶叫がこだまする。紫電が収まったとき、騎兵の生き残りはいなかった。散らばった魔昌石をチラリと見て呉羽は小さく頷く。短時間だったおかげか、思ったよりも消費が少ない。この様子ならもう四、五回は使えるだろう。もっとも、その前に回復する方が賢明だが。


 ちなみに騎兵モンスターは、倒すと騎手と馬で一つずつ魔昌石を残す。つまり二体一組のモンスターなのだ。出現するときからそうなのか、それともどこかで歩兵が馬を捕まえて騎兵にランクアップしているのか。ちょっと興味のある呉羽であった。


 まあ、それはそれとして。騎兵を排除した呉羽は愛刀を構え直すと、次に排除するべきモンスターを見定めて地面を蹴る。幸いと言うべきか、接近してくるモンスターはすべて単体。彼女は一体ずつ、しかし瞬く間に切り捨てていく。その速度は瞬間移動もかくやというほどの高速だ。


(また速くなったな……)


 高速でモンスターを始末していく呉羽の動きを、カムイは少々呆れながら見ていた。とは言っても見えるのは斬られるところだけで、呉羽本人の姿はほとんど見えない。速すぎて目で追えないのだ。


 もちろん、仕掛けがある。イスメルから習った移動術〈瞬転〉だ。まだまだ使いこなす域には達していないが、しかし呉羽はもともと【玄武の具足】と【草薙剣/天叢雲剣】を組み合わせることで高速移動を実現していた。そこへ不完全ながらも〈瞬転〉を加えることで、さらなる高速移動が可能になったのである。


(ようやく目で追えるようになって来てたんだけどなぁ)


 カムイは内心でそうぼやく。〈瞬転〉を併用する前なら、なんとか見失わずにすむようになってきていたのだ。それがまた元に戻ってしまったようで、ちょっと悔しい。


 とはいえ、呉羽のほうもまだまだ課題が多い。その証拠に、モンスターを十体ほど切り捨てた彼女は、もうすでに呼吸を乱してしまっている。慣れない〈瞬転〉を多用したせいだ。無駄が多くて、そのせいで魔力を必要以上に消費し、ガス欠を起こしているのである。


 このままではまともに戦えない。彼女は【青龍の外套】のポケットから〈魔法符:魔力回復用〉を二枚取り出すと、まとめて破いて使用し魔力を回復した。それを見たカムイが呆れた様子でこう声をかける。


「おいおい……、燃費が悪すぎるぞ。オレもいるんだから、もう少し抑え気味にやれって」


「むう……。仕方がないか。〈魔法符:魔力回復用〉も限りがあるしな」


 不本意そうではあるが、呉羽は頷いてそう言った。ちなみに呉羽が使った〈魔法符:魔力回復用〉は、アラベスクに渡したものとは別に一昨日の段階で用意しておいたものだ。彼女だけではなく、メンバー全員がそれぞれ五、六枚ずつ所持している。カムイは持っていないが。


 さて呉羽が〈瞬転〉の併用を止めると、それにともないモンスターの殲滅速度が少し鈍る。ただ「だから」と言うよりは、単純にモンスターの数が増えたのだろう。取りこぼしが出てしまった。しかも騎兵。一騎だけだが、その速度と巨体はなかなか脅威だ。呉羽は追いすがって後ろから斬ろうかとも思ったが、しかし別の一団が目に入る。逡巡は一瞬。彼女はすぐに騎兵はカムイに任せることにした。


「……っ、カムイ!」


「あいよ」


 呉羽に呼ばれる前から、カムイは準備を整えていた。〈オドの実〉を発動させ、白夜叉のオーラを白い炎のように揺らめかせる。彼の右手からは、鋭い爪を持つ“グローブ”が伸びていた。その造詣は前よりも精密になっている。新たな魔道具〈エクシード〉を使っているのだ。


 一時は「絶対に使ってやるもんか」と意地になっていたが、カムイは少しずつこの新しい魔道具を使うようになっていた。ただしまだ警戒はしているので、そう派手な使い方はしない。ロロイヤはそれが不満らしく、「もっと盛大に使え」と発破をかけてくるが、「その手に乗るか」とカムイは思っている。また植物人間になるのはイヤなのだ。


 それはそうとしても、〈エクシード〉の効果はカムイも認めなければならなかった。“グローブ”の造形が精密になったのは、その効果の一例である。そして彼はその“グローブ”を大きく振りかぶり、突撃してくる騎兵のモンスターを迎え撃った。


「ギギィ!」


 騎兵が槍を突き出した。カムイはそれに構わず“グローブ”を振う。鋭い爪が槍も馬もその上の兵士もまとめてかき裂き、騎兵は疾駆していた勢いそのままに瘴気へと還りそして辺りに霧散した。


 その後ろから、今度は剣と盾を構えた歩兵が三体、彼のほうへ向かってくる。カムイはまた“グローブ”で薙ぎ払おうと思ったのだが、しかしその三体より近い位置に、突然槍兵が出現した。


「っち」


 カムイが舌打ちすると同時に、モンスターが槍を突き出す。その攻撃を、彼は真正面から迎え撃つ。拳を握った“グローブ”で槍ごとモンスターを叩き潰したのだ。しかしそうしているうちに、例の三体がずいぶん近くまで来てしまっていた。


「ハァ!」


 カムイが口から衝撃波を飛ばす。〈咆撃〉だ。モンスターたちは間一髪盾を構えたが、それでもカムイの〈咆撃〉は三体をまとめて吹き飛ばし一撃で倒してしまった。明らかに以前よりも威力が上がっている。これもまた〈エクシード〉の効果の一つだ。今まではただ単に魔力を口から放っているだけだったのだが、そこへ明確な「衝撃波」というイメージを投影することで威力が増したのである。


 ふう、と一息つきながらカムイは周囲に視線をめぐらせる。すると、後方から追ってくるモンスターの一団が目に入った。しかし彼は慌てない。すでにアストールが迎撃態勢に入っているのが見えたからだ。


「〈フレイム・エンチャント〉」


 アストールは左腕に装備した魔道具〈テトラエレメンツ〉に火属性の〈エレメント・エンチャント〉を付加する。こうすることで火属性の効果が強くなるのだ。さらに彼は魔道具の火属製に加え、風属性も一緒に使う。


 その結果、風にあおられた炎が「轟!」と音を立てながら勢い良くモンスターの一団を飲み込んだ。その様子はさながら火災旋風のようである。その威力たるや、ユニークスキルの一撃にも匹敵するだろう。


「ギィィィィイイイ!?」


 そこに巻き込まれたモンスターたちはたまらない。焼き尽くされ、そしてあっという間に瘴気へと還った。戦果を確認したアストールが一つ頷こうとしたその時、緊迫したミラルダの声が響く。


「すまん、しくじった!」


 慌ててそちらの方へ視線を向けると、黒くて細い無数の影が彼女の頭上を飛び越えていく。弓矢だ。ミラルダはそれまで順調にモンスターを蹴散らしていたのだが、しかし中央にいるリムたちから離れすぎないよう気をつけていたのが仇になった。弓兵の一団、それも百体以上もいるかというものが現れたのである。


 言うまでもなく弓は離れたところから攻撃するための武器だ。わざわざ向こうから近づいてきたりはしない。ミラルダはすぐさま全力で動いたが距離があって一歩間に合わず、一斉に弓矢を放たれてしまったのだ。


 ミラルダは盛大に顔をしかめながらも、しかし第二射目を許してなるものかと決意し、九本の尻尾と狐火を駆使して弓兵隊を瞬殺する。だがすでに放たれてしまった第一射は、彼女にはどうすることもできない。


 間の悪いことに、アーキッドとロロイヤはそれぞれ別のモンスターに対処しており、迫り来る弓矢をどうにかできる位置にはいなかった。アストールも対処するには位置が遠い。とはいえ真ん中に残っていた三人も決して無防備ではなかった。


 放物線を描いて飛んでくる弓矢を、散弾状の閃光が迎撃する。キキの〈流星衝〉だ。ただ散弾状なのが災いし、数を減らしつつも全てを撃ち落すには至らない。いよいよとなったら自分が残りを切り払わねばならないと思い、カレンは緊張した面持ちで双剣を構えた。しかしそんな彼女の後ろから、可愛らしくも勇ましい声が響く。


「〈セイクリッドバスター〉!」


 その掛け声とともに、リムが構えた杖の先から【浄化】の力が光の奔流となって勢い良く放たれた。放たれた光は瘴気で出来た弓矢を呑み込み、そして浄化して消し去っていく。結局、弓矢は一本として地面にすら刺さることはなかったのである。


 危機を脱した三人は、しかし息つく暇もなく、地図とコンパスを確認するとまた歩き始めた。目指す〈北の城砦〉はまだ遠い。


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