おっぱい大きくする計画!?
「弘樹、最近雪ちゃんとどーよ?」
「どうよ……って、お前の方はこないだ連れてきた佐々木さんとうまくいってるのか?」
「いや、別れた」
プレイボーイの磯崎は女性関係のトラブルが多い。理想が高いのか性格が合わないのか不明だが、半年くらいで違う彼女に変わっているので、迂闊に名前を聞けない。
しかも、磯崎の理想は何故か雪音らしい。こいつがチャラ男でなければ紹介したいところだが、今までのお付き合いを考えると兄としてこいつだけは彼氏になって欲しくない。
「あのなあ磯崎……俺が言うことじゃないけど、あまり尻軽なのはどうかと思うぞ」
「いや俺が尻軽なんじゃねーよ。美奈が違う男と寝たのが悪い」
なかなかディープな話になってきたから俺はそこで遮った。オレンジジュースを飲みながら恋人について考える。
「弘樹、お前いつまでも雪ちゃんのお守りしていたら魔法使いになっちまうぞ?」
「なんだよ、それ」
「あー30歳までドーテーで居ると魔法使いになるんじゃなかったかな」
何のエロ情報だよそれ。世の中男友達と楽しく遊ぶ方が女子に気を使って疲れるよりマシって考えるやつの方が多いぞ多分……。
「魔法使いになりたくはないかな……かと言って雪音は義妹だから」
「弘樹がもし興味あるならうちのサークル仲間に会ってみるか? お前の容姿と性格なら一瞬でゲットできるぞ」
「ただいま〜。あ、磯崎さん、こんにちは!」
俺が磯崎からサークルの女性が写った写真をもらっているのを見た雪音は部屋に戻る前にリビングに突撃してきた。これは嫌な予感がする。
「ひろちゃん、この女誰?」
いや、その聞き方がもうおかしい。女友達を作るだけでもいちいち妹に報告する義務なんてないはずだ。不貞腐れた雪音の態度に磯崎は腹を抱えて笑い出した。
「いやあ、雪ちゃんは相変わらず弘樹ラブで可愛いなあ。それな、弘樹が魔法使いにならない為の餌」
「お、おい! その言い方……」
「ひろちゃん、魔法使いになるの?」
あああ、ダメだ。ファンタジー脳の雪音の中で『ひろちゃんは魔法使い』という単語だけがインプットされた。これを訂正するのは大変なんだぞ、磯崎ぃ……!!
案の定、魔法使いについてのレクチャーを受けた雪音はキラキラした瞳で磯崎の話に耳を傾けていた。
おまけに、磯崎のサークル仲間の女性はみんなグラマラスボディだったので、雪の方が「どうやったらおっぱいが大きくなるのか聞いてみたい」ということで彼女達に会うことになったらしい。
あれ……俺の魔法使い疑惑は誰が決してくれるんだ?




