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神への抵抗ー日本召喚ー  作者: とっしー
第一章:冒険の始まり
15/48

ー日本国とそれに関連する事象の報告ー

      

      重   要


 ー日本国とそれに関連する事象の報告ー



          カルラ王国外務局 1等外交官 ラスカル・フォード




・ 目次

 ・ 日本国との接触について

 ・ フリート沖合での戦闘について

 ・ フリート沖合への魔物の出現について

 ・ 勇者召喚との関連性

 ・ 灰色の魔物について

 ・ 各国の動向

 ・ 外交方針

 ・ 人界軍への協力の要請




ー以下報告ー

 



・ 日本国との接触について

 6日前、国籍不明(当時)の4隻の巨大艦が東からカルラ王国フリート沖合に出現。その後、沖合に停泊した(水深の不足と思われる)艦から空を飛ぶ乗り物が1つ飛び立ち、中央広場に降り立った。これは「航空機」と呼ばれるものの一種であると思われる。航空機の中には15名の人族がおり、内2名が業者?(詳細不明)、3名が外交官、10名が兵士であった。彼らは奇妙な服装をしており、我々の知るどの文化圏にも属していない事は確かであった。

 彼らは「日本国」の使節団を名乗り、早期の国交締結及び通商条約の締結を求めた。フリート沖合での戦闘(後述)が発生したものの、交渉は比較的スムーズに進み、我々は一週間後に王都で正式に国交及び通商条約を締結することに合意した。

しかし、我が国の東に国は無い筈だ。



・ フリート沖合での戦闘について

 使節団との交渉の途中、日本軍の艦艇が魔物に襲撃されるという事案が発生した。戦闘の様子を時系列順にまとめると、

 ・ 突如、けたまましい音が4隻の艦から鳴り始める。


 ・ 暫くした後、全ての船の横から長い棒状の物体(詳細不明)が海中に投下される。


 ・ 艦からかなり離れた場所で巨大な水柱が上がり、その場所に多数の魔物の死骸を確認した。


 ・ 艦は動かず、小型の魔物(恐らく、Bランクのクラーケンベイビーである)に取り付かれ、艦に侵入される。


 ・ 十数分後、艦が有り得ない速度で動き出す。

   乗員は生存し、魔物を殲滅した模様。ただし方法は不明。


但し、これは複数の断片的な情報をつなぎ合わせたものであり、完全に信頼できるものでは無い。



・ フリート沖合への魔物の出現について

 この戦闘が発生するまで、カルラ王国周辺海域に魔物が出現した記録はない。これは我が国のみならず、周辺国にとっても重大な脅威となる。後に回収された魔物の死骸を調査すると、Aランクのギガントホエールらしきものが数体確認された。(損傷が激しく、識別は困難を極めた)

魔物が現れた原因であるが、勇者召喚に起因するものであると推測される。



・ 勇者召喚との関連性

 現在の最前線の戦況は不利な状況にあり、戦線が後退している。

これまでの記録によれば、このような状況に新たな勇者は召喚される筈であるが、そのような報告は上がっていない。もはやこれ以上の後退は許容できず、人界軍は引退した勇者や兵すら動員している。


そこで、これは我々の考察であるのだが、今回の勇者は前述した「日本国」であると考える。なんとも突飛な話だが、我々の知る限り、我が国の東に国は無い。更に、これまた信じられない話であるが、我々は日本国の使節団から魔力を感知出来なかった。生きとし生けるモノ全てに魔力は備わっている筈であり、それもこの説が有力であることを裏付けている。

 魔物出現の原因として、巨大な土地が海の真っただ中に召喚された事による海流の変化が挙げられる。

これは現在調査中である。



・ 灰色の魔物について

 連日のように我が国上空を飛行していた所謂「灰色の魔物」は、日本国の所有する兵器であると判明した。このことを使節団は、「周辺の状況が全く分からず、危険が伴う調査であるかも知れなかったので、戦闘機(後述)による偵察を行った。貴国の国民に多大な不快感を与えてしまった事を深くお詫び申し上げる」とし、謝罪した。


 第二項で前述した日本軍であるが、フリートを訪れた艦隊や前述した兵器を運用しており、いとも簡単にAランクを討伐するなど、現時点でその力・全貌・性質は未知数である。強力な戦力になると思われるが、兵器や組織の詳細については不明。

視察の際に情報局員の派遣を求める。


・ 各国の動向

 情報局員が帰還するまで不明だが、我々の予想として、日本国は各国に急速に認知されると思われる。



・ 外交方針

 ・ 大使館を日本国に設置し、その際に視察を行う。

 ・ 友好関係を築き、それを保つ。

 ・ 対等かつ積極的な交易を行う。

 ・ 人界軍への協力を求める。



・ 人界軍への協力の要請

 現在戦線は不利な状況にあり、新たな勇者を必要としている。

よって、我々は何としてでも日本国を人界軍へ協力させなければならない。

しいては明日の交渉の場でこの条件を提示することも厭わない。

我々は、人類は負けてはならないのだーー




             ー報告終了ー



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