【6月号】【第6話】【第6話 幸福? ソレトモ不幸?】
【死亡予定少女 作;CS4.8】
【第6話 幸福? ソレトモ不幸?】
僕のクラスに転入した王子保富美は、非常に女子生徒からの人気が高かった。外国で香水において高い地位を獲得している王子保さんは、美容に対して興味津々の年頃の女子生徒達に対して非常に高い地位を獲得していた。まぁ、簡単に言えば、
「うっそー! 王子保さん!?」
「あの香水ブランドの王子保様!?」
「富美様がこんな場所に……ここは天国!?」
「ハァハァ……富美様……//////」
今、クラス中の女子連中のほとんどは彼女に夢中であると言う事である。まぁ、若干怪しい雰囲気は漂っているが概ね問題ないだろう。
そんなこんなで、王子保さんはうちのクラスに馴染んでいた。いや、他のクラスメイトが王子保さんを馴染ませていたと言うのが正しい表現かも知れないが。
「いやー、ふみふみは大人気でお姉さん、嬉しいよ!」
「今日会った奴が何を言っているんだ」
と、僕は眼の前で彼女の事を良く知っているような風を装っているあずさの頭にチョップを入れた。彼女は痛そうに頭を押さえてうずくまる。
「痛っ~た~い。何すんのさ、武人! 仮にもこっちはか弱き乙女だってのにさ! ほらほら、うっふ~ん♪」
「か弱き乙女は多分、自らうっふ~んとか言わないと思うぞ」
「まぁ、そうだよね~」
とあっけらかんとした言いぐさのあずさ。まぁ、彼女が適当に言っているのは分かっていた。最も、僕の内心はドキドキでいっぱいだったが。その皆の話題の中心に居る、王子保さんの事で。
今日の朝、僕の携帯に入っているアプリ、『アイサ』には2件の予言ニュースが届いていた。
1つは杖を持った天使が運んできた、『麻薬組織壊滅』と言うニュース。それは30分前、本当に起こったニュースであった。そしてもう1つは蝋燭を持った天使が運んできた『女学生死亡』と言うニュース。隣町に住む犬伏公穂なる人物が40分前に死んでいた。
杖を持った天使が運ぶのは幸福を呼ぶニュース、そして蝋燭を持った天使が運ぶのは不幸を呼ぶニュース。その規則に当てはまらない、ちゃんとしたニュース内容であった。
しかし、問題は王子保さんの事である。
王子保富美さんの来日は僕の予言メールに来ていた。そしてその時、アイサは杖と蝋燭の両方を持った天使で現れた。つまり、僕にとって幸福を呼ぶニュースでもありながら、不幸を呼ぶニュースであると言う事だったらしい。けれども、どこが不幸を呼ぶのだろう?
「ただの普通の女の子にしか見えないけどなぁ……」
「そんな事はないよ~、武人」
と、僕のそんな言葉に反応するようにしてあずさがそう言葉を返す。
「私達くらいの年なのに、もう世間的に高い地位を持っているんだから、凄いと思うな~、私は。私なんて、将来の事なんてさっぱりなのにさ~」
「まぁ、確かにそうかもな」
もう既に職に就いているのは確かに凄い事なのかも知れない。そこには恐らくだけれども、彼女にしか分からないような苦労や努力があったと思うから。確かにあずさの言う通り、彼女にしか分からないような苦労があるのかも知れない。問題はその苦悩の理由がなんであれ、それがアイサが出した天使にどう関係して来るかと言う事である。
「……大変な事にならなければ良いんだけれども」
僕は小さくそう呟いていた。
☆
一方、その頃僕の知らない場所で、物語が進んでいたとは思いもしなかった。
他ならぬ、王子保富美が来日した事によって。
【次回へ続く】




