【1月号】【第2話 死ヲ告ゲラレシ彼女】
【死亡予定少女 作;CS4.8】
【第2話 死ヲ告ゲラレシ彼女】
『四条大宮忍、4月26日午後10時27分、三丁目にある白川ビル屋上から転落自殺』
それは今日の朝、僕にアイサから届いたメールと非常に似ていた。
簡素な内容。
遠い日付。
そして、悪いニュースを告げる蝋燭を持っていた事。
「う、うわぁぁぁぁぁぁ!」
僕は驚きのあまり、携帯を放り投げていた。
気持ち悪かったからだ。それがただの迷惑メールで、そして相手が見知らぬ人だったら良かった。けれども、そのメールに書かれていたのはクラスのマドンナであり、そのメールが嘘じゃ無い事を今朝の、桐ケ谷夢葉ちゃんの件で明らかだった。
「な、なんだよ、これ……。僕に何をしろって言うんだよ……」
僕は布団の中に入って、自問自答をし続けていた。
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4月25日の朝。つまり、四条大宮忍さんが死ぬと予告された時間の1日前。僕はと言うと、沈んだ気持ちのまま、学校へと向かっていた。四条大宮さんはうちのクラスのマドンナであり、自分の憧れのクラスメイトだ。
そんな彼女が明日の夜、午後10時27分にビルの屋上から転落するとされている。
「彼女の原因は自殺だから、自分で死なないように諭せば良いのか? でも、どうやって説得しよう……」
『実は携帯のアプリであなたの死が出ていました』。言った瞬間、可笑しな人扱いされるだろう。それどころか、四条大宮さんが死んだ時、死んだ原因が自分のせいになるかも知れない。
「行動するべきか? それともしない方が良いのか?」
どっちなんだろう。結局、昨日寝ずに考えたけれども、答えは一向に出なかった。
「おはよぅー! 武人ー!」
「あぁ……あずさか」
僕はそうあずさに声をかけるが、あずさは納得出来ずにきょとんとした顔でこちらを見る。
「どうしたの、元気ないね、武人。身体の調子でも悪い?」
その心がこもった言葉に僕は癒される。
(そうだ。例え変人に扱われようとも、人の命の方が大事に決まってる。何を考えてたんだ、僕は……)
そう思いつつ、僕は気合を入れるためにパチンと顔を叩く。そんないきなりの行動にあずさはびっくりしていた。
「ど、どうしたの? いつもと違うね」
「まぁ、気合を入れようと言うか、そんな感じ」
「ふぅーん。武人と言い、忍と言い、今日は変な事だらけね」
えっ? 『僕と言い、忍と言い』?
「そ、それってどう言う……」
「昨日からメールが帰って来ないのよ。今までは遅くても次の日の朝には返してくれてたんだけれども」
心配よねー、と言うあずさの言葉に僕は頷きつつ、携帯を覗き込む。
『アイサから、あなたに向けてのニュースだよ! ニュースだよ!
四条大宮忍、4月25日午後10時18分頃、誘拐団から解放』
そうやって蝋燭を持った天使は携帯の中でほくそ笑んでいた。
【次回へと続く】




