エピローグ:そして『魔女』と『聖女』は仲良く過ごす
2/6 三話目
「ファニー様、おはようございます」
「おはよう、シア」
可愛いシアからの挨拶を朝から聞けて私はご満悦である。
おはようと口にして、シアに抱き着けば、シアが抱きしめ返してくれる。
シアがすっかり私に懐いて、私のことを大好きでいてくれて嬉しいわ!!
ロージャス王国は順調に、エルラーサ教の力を借りて復興している。あのぼんくら王子やターシリーたちは、幽閉されている。そのうち多分、病死と公表されて毒殺でもされるんじゃないかなと思う。
まぁ、そのあたりはどうでもいいわ!
エルラーサ教の本部にはあれからちょくちょく訪れている。そして私とシアの肖像画を描いてもらったのよ。その肖像画は、私の家に献上されたものが一点と、エルラーサ教の本部に飾られているものが一点である。どうやらエルラーサ教の上層部はそれを見ながら崇めているようだ。
……あの後、他の大司教とか教皇にも会ったけれど、私のことを『封印の聖女』様と呼んで、めちゃくちゃ崇拝した様子を向けられてびっくりしたわ。
エルラーサ教とは少し交流を持つようになったのだけど、上層部って皆ああなのかしらね? って驚いたものよ。
「シア、森行きましょう」
「はい」
シアを連れての森での暮らしは、とても楽しい。
何よりシアが自分の意志で、私のお人形さんでいてくれているものね。シアがずっと私のお人形さんでいてくれるなんて実感すると嬉しいわ。
精霊たちはシアが完全に私のものになったことで、少しずつシアの前に姿を現わすようになってくれているのよね。
シアが精霊たちとも仲よくしてくれていると嬉しいわ。
それにしても精霊たちと戯れるシアは、本当に可愛くて……まるで一枚の絵画のようだった。私はその様子を絵にして残したいなと思うから、今度アダイに連絡して画家をよこしてもらおうと思っている。
でもあの調子のアダイに、そういうことを頼んだら感激して面倒なことになるかしら?
「ファニー様、どうしましたか?」
「私のシアは、とっても可愛くて、綺麗だなって思っただけよ。精霊たちと戯れているシアは絵になるもの」
「それを言うならファニー様だってとても綺麗です。綺麗で、真っ直ぐで、堂々としていて、ファニー様の方が絵になります!」
「ありがとう、シア。私も美少女だものね。シアが私の見た目、気に入ってくれていて嬉しいわ! ねぇ、シア、私にちゅーする?」
私はすっかりシアにちゅーするのを気に入っているので、シアからもちゅーしてほしいなと口にする。
シアは自分から私にちゅーなんてしないかな? と思ったのだけど、そうこう考えているうちにシアから口づけを落とされた。
シアからちゅーしてもらえたわ!
何だかとても嬉しい気持ち。
精霊たちはその様子を見てからかうようにはやし立てていた。
シアの唇ってとても柔らかくして、シアは良い匂いがして、もっとずっとくっついていたいって気持ちになるのよ。
だからよくぎゅっと抱きしめたり、くっついていたりするのだけど、シアは嬉しいことに嫌がらないわ。
「ねぇ、シア。これからもずっと、私のお人形さんでいてね。私はシアのことを、一生私のお人形さんとして可愛がりたいもの。いいでしょう?」
「はい。もちろんです。ファニー様、私のことをずっと可愛がってください」
私の言葉に、シアがそう言って笑ってくれた。
そんな私とシアの会話に、精霊に「まるで結婚の約束見たい」と笑っていた。
確かにそんな感じに聞こえるかもしれないわ。でもシアと私の関係がどういう風に変わったとしても、ずっとシアを傍に置いて可愛がれたらそれでいいものね!
これからも私はシアと一緒に仲良く過ごしていく。
――そして『魔女』と『聖女』は仲良く過ごす。
(『魔女』は拾った『聖女』と共に、ずっと仲良く生きていく)
というわけで、これで完結です。
ちょっと完結まで時間かかりましたが、書きたいシーンは沢山かけたので満足しています。
女の子同士の長めの話は初挑戦でした。
個人的にファニーは書いていて楽しい子でした。徐々に懐いて可愛くなっているシアのことも気に入ってもらえると嬉しいです。これからもファニーとシアは仲良く過ごしていくのです。
エルラーサ教は書いているうちにファニーとエルソッラのファンクラブみたいな感じになりました。エルラーサ教のアダイの一日とか書いても楽しそうだなとちょっと思いました。
ではここまでお読みいただきありがとうございました。
少しでもお読みいただき何か感じていただければ嬉しいです。また感想などもらえたら嬉しいです。
2022年2月6日 池中織奈




