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252話 姫咲さんと子守唄
「普は小さい頃、眠れないときは親に子守唄とか唄ってもらってた?」
「いえ、あまりそんな記憶はないですね。眠れない夜は、無心になることを意識しているといつの間にか寝ていました」
「へーそっかー。私はよくお母さんに唄って貰ってたんだけどさ」
「へぇ」
「それ聞くとすぐ寝ちゃうから中々歌詞が覚えられなかったんだよね」
「物凄く寝つきの良い子だったのですね姫咲さん」
「うん、それでもなんとか覚えたけどね。こんな唄」
そう言って姫咲さんは唄い出した。
その歌声は心地よく五感を刺激し強制的に僕の意識を奪う。
薄れていく意識の中、僅かに僕の目に写したものは、バタバタと倒れていく周りの人々だった。




