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転生後に世界周遊 ~転生者アスカの放浪記~【前作書籍発売中】  作者: 弓立歩
ファーガンド滞在

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討伐戦線

カティアさんたち4人のパーティーと私たちは今、ファーガンドの北東の森を歩いている。


「リュート、どんな感じだい?」


「えっと、この先です。この感じはオークですね」


「へぇ~、敵がいるだけじゃなくて魔物の種類まで分かるのね。私には難しそうだわ」


「そこまでじゃないですよ。僕に出来るぐらいですし」


「でも、リュート君って料理とかもしてるらしいし、器用なんでしょ?」


「あ、いや、これも人に教えてもらったので…」


「リュートってば人気者だね~、アルナ」


ピィ


「あら、アスカちゃんは余裕そうね」


「アルナやキシャルがいますから!こう見えてどちらも強いんですよ」


「そうなの?キシャルちゃんなんて寝てるけど…」


「元は野生ですから、敵が来たらぴんっ!って跳び起きて反応してくれますよ」


「へ~、ウルフを連れている人は見たことあるけど、そういうのはないわね。ウルフは主人に忠実だから率先して気配を探りに行ってたわ」


「あ~、そういう種類もいるんですね…」


アルバに置いて来たソニアはそんな感じだったけど、リンネは全然違ってたからなぁ。あの子はぐで~っとできればいいやって子だから例外かな?


「とりあえず反応があるみたいですから私たちも構えましょう!」


「そうね」


まあ、探知の魔法使ってるから正面だけなのは分かってるけどね。


「リュート、オークだからって遠慮はいらないよ」


「はい!」


オークの数は6体。2人でも倒せるけど、一応連携の確認とかもあるだろうし、私も弓を構えて…。


ヒュッ


トスッ


距離を置いて、遠距離から1体のオークを倒す。


「あたいも加わるよ。アースグレイブ」


サティーさんも土魔法で援護して、直ぐに戦闘は終わった。まあ、こっちの方が数が多いぐらいだし、手間取ることはないよね。


「戦闘は終わったわね。弓の援護は誰が…」


「あっ、私です。危なかったですか?」


「いいえ、とてもいい援護だったわ。また、戦闘になったらよろしくね」


「そうだな。しかし、アスカは魔法が使える魔物使いかと思ったら、弓まで使えるのか」


「その二つだけですよ」


「一つ使うのが大体やっとだがな。サティーも魔法と罠を使うが、そうしないと戦えないからでどちらも実戦レベルと言うのは羨ましいことだ」


それからしばらく進むと、止まるようにカティアさんから指示が出た。


「そろそろこの辺からフォレストハウンドが出るから注意して!」


「フォレストハウンド?フォレストウルフの上位の魔物ですか?」


「そうよ。大きさはウルフと同じぐらいだけど、魔力があって魔法を使うわ。土と水を使ってくる強敵よ」


「えらく奥に住んでるんだね」


「普段は領主軍が巡回するし、東のダンジョン都市付近はそれより魔物が強いからここだけなのよ。でも、手を抜ける相手でもないわ」


「ちょっと変わった魔石を落とすんだよ、あいつは」


「どんな魔石なんですか?」


「そのまま、水と土の両方の魔法が込められる魔石さ。どうだ変わってるだろ?」


「確かに。普通は1属性ですよね。やっぱり、高いんですか?」


「そう思うだろ?ところがさ、その分込められる魔法はどっちもショボくてさぁ。まあ、一応水が込められるから買い取りはそこそこって感じ」


「その代わり2属性の魔法が込められたりとかはないんですか?」


「どうなんだろ?まあ、どっちにしろしょぼい効果しか出ないだろうから、一緒一緒。あたしも最初は出た時喜んだけど、買取価格を聞いてがっかりしたもん。確かにそこそこはするけど、大したことないじゃんって」


「サティーはその頃マントが欲しかったのよね」


「そうそう。質のいい魔物の皮が出てて、マントを作りたかったからこれならって思ったんだけど、がっかりだったんだ」


「まあ、それだけ価値があるなら領主軍ではなく、冒険者が普段から立ち入っているさ」


「そうだけどさぁ」


う~ん、実際に2属性使えるなら結構夢がある話だと思うんだけどな。ティタの作ってくれるスクロールがあればだけど。ただ、どっちも使えないんだよね~。


「アスカ、考え事かい?」


「はい。水と土が使える人がいないかなって」


もうすぐ魔物が強くなるということで休憩がてらジャネットさんと話す。


「それならマディーナさんに頼んだらどうだい?」


「マディーナさんに?う~ん。でも、悪い気がします。魔石の価値自体はそこまでじゃないし」


「あの人、実験とか研究も好きだから大丈夫さ。手紙が着くようにはできるから送ってやるよ」


「ほんとですか!それなら討伐頑張らないとですね」


「お、おう。まあ、ほどほどにな」


なら、早速魔物を捜さないと!周辺に探知魔法を放ち魔物がいないか探る。


「むむっ!ここから北東に反応あり…」


「ア、アスカ、トーン下げて!」


「な、何リュート?むぐぐ」


いざ、魔物退治にと言おうとしたらリュートに口を押さえられてしまった。何もしてないのに…。


「どうかしたの?」


「あっ、いえ。魔物の気配がしたような気がして…」


「ちょっと待って!…私の魔法じゃ何も感じないわ。本当に?」


「き、気のせいかもしれませんけど」


「いいわ、休憩ばかりってのも性に合わないし。ジャネットさんもそれでいい?」


「あたしは別にいいよ。一通りのことは慣れてるからね」


「それじゃあ、気配がしたところに案内してくれる?」


「はい」


私はこそっとリュートの後ろについて行き、ちょいちょいと方角を示す。意図さえわかれば私はできる子なのだ。


ピィ


んにゃ


「アルナ、キシャル。急にどうしたの?えっ!?魔物がこっちに」


どうやらフォレストハウンドは臭いをかぎ分けられるようで、すでにこちらを捉えたらしい。音もないし、視覚では捉えられない範囲から探知しているんだから、かなりの実力の持ち主のようだ。


「まだ見えないけど、従魔の野生を信じましょう。全員配置に」


「はいよ。リュート、ここは森だからやや下がり気味に」


「ジャネットさんは?」


「あたしは心配されるほどじゃないんでね。いざとなりゃ、お姫様がいるし」


「了解です。皆さんも上に気を付けてください」


「ええ。私たちは戦闘経験があるから頼りにしてね」


「はいっ!」


「リュートがお姉さんたちにデレてる。やっぱり男の子なんだね」


「どうしてそうなるのさ」


「アスカ、上は頼む」


「はい。アルナ、上に気を付けて飛び上がって!キシャルは私の肩に。いざという時はお願いね」


んにゃ


アルナは上空から、キシャルを跳びかかられた時の護衛にして私は背の高い木の上に陣取る。


「数は…7体。正面は5体。みなさん、正面から5体、木の上は2体です。左側には注意してください!」


「分かったわ。それだけ情報があれば十分よ」


森を駆ける音が聞こえてくる。


「あれがフォレストハウンド…」


大きさは普通のウルフと同等か、やや小さいぐらい。ただ、身のこなしははるかにこちらの方が上だ。森だというのに迷うことなく駆けて来る。


「行くよ、アルナ!」


ピィ


上空に飛び上がり、一気に下に向かって矢を放つ。アルナは先行して風魔法だ。


スパッ トストストス


木の上から襲撃をかけようとしたフォレストハウンドに向かって、先手を打って放った魔法は避けられたが、矢の方は1頭の頭に当たり、致命傷を与えた。


「よくやった!」


自分たちこそがこの森の支配者だとなだれ込もうとしていたフォレストハウンドの機先を制し、流れをこちらに引き寄せる。


「行くよっ!」


スパッ


戦いは入り方とはよく言ったもので、動揺が収まらないうちにジャネットさんによってリーダーらしき個体を倒し、そこからはカティアさんたちもなだれ込むように攻めていった。


「やれやれ。相変わらず、引くことを知らないわね。アスカちゃんは冷静に見てて偉いよ」


「いえ、私は後衛なので…」


「あっちにサティーとか言う後衛職が混ざってるんだが」


「まあまあ、治癒師は出番がなくていいでしょ?」


「そこだけはな。こっちには心強い護衛もいるからな」


「護衛?」


「さっきからリュート君だったか?彼がちらちらとこっちを気にしてくれるからな。彼がいるうちは安心だ」


「リュートったら心配性なんだから」


「ま、お姫様は守られてなんぼってこと」


「アスカ、素材を入れるからバッグの準備だ」


「は~い!魔石はどうですか?」


「2個だけあるね」


「ウルフ種は魔力が低いからそんなものね」


カティアさんの話によると10匹倒して4つぐらいが普通みたいだ。今回は7匹だったから2個でもまあ仕方ないのかな?


「魔石はアスカちゃんが欲しいのよね?譲ってあげるわ」


「いいんですか!?悪いです」


「じゃあ、状態のいい毛皮をもらえるかしら?ちょうど、冬用のコートを新調したかったのよね」


「構いませんよ。私たちはもう持ってますから」


別にいい毛皮が向こうに行くだけで、3頭分はこっちのものだし、魔石の件も含めればむしろ儲かっていると言える。単純にカティアさんたちのパーティーに魔道具を作る人がいないのが原因だけど。


「さて、解体も終わったし、次に行きましょう」


「そうだね。のろのろして夜になってからの野営は避けたいしね」



「う~、疲れたぁ~」


「ほんとよ!どうしてこんなに魔物に遭うのかしらね。運がいいのか悪いのか…」


あれから私たちは東へと進んでいき、魔物の討伐をこなした。進む方向ごとに魔物が出てきて困ったなぁ~。


「アスカ、本当にこれでよかったのかなぁ。みんな疲れてるし」


「明日はゆっくりしながら行けばいいよ。それに、元々明日のルートは魔物が少ないって話だし」


そう、もちろん魔物に簡単に遭うわけがない。探知魔法を使いながらさりげなくそちらへみんなを誘導していたのだ。聞けばフォレストハウンドの出現地域は狭く、有用ではないが貴重な魔石らしいからね。最初に戦い方は掴んだし、そもそもそこまで大きな群れを作らないらしいからちょっとだけ欲張っちゃった。


「アスカ~、飯の準備だよ」


「は~い!」


さて、今日の夕飯は何かな?



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