第41話
シリアス。
R15まではいかないですが、残酷な内容ではあります
「あ!お帰り〜ラット!お疲れぇ!」
「・・・疲れた・・・本当に・・」
ありゃ?珍しい。
まぁ、あれだけサンチェスト中くまなく調べてたら、そりゃあ疲れるよね?よしよし?いい子いい子。
「・・・・お前。それ、ヤメロ。俺もそうだけどよ?ササラにも未だにしてるだろ?こういう事。気持ち悪りぃ」
え?そうなの?ちょっとハグして頭撫で撫でするだけでしょ?エリスは喜んでるよ?
「そうなの?寧ろ待ち構えてるのかと思ってた。最近は抵抗しないから」
「諦めたんだよ!!いくら言ってもアンタやめないだろが!!」
「やめなーい!面白ーい!ラットの反応」
もっと抵抗してもいいんだよ?最近は皆全く反応しなくなってつまんない!!僕は嫌がる皆を弄りたい!!
「・・・・・アンタさぁ・・・前から気になってたんだけど・・」
「ん?」
何?本当に疲れてそうだね?
これはもう休ませた方が良さそうだ。
「もしかして、アンタも奴隷だった?」
「カスバールで?そうだね?まぁそれに近い状態だったよ?」
あの地で親が居ない子供の境遇を考えれば、まぁそうなるよね?なんとなく気付いてるとは思ったけど、どうしたの?
「ラット、もう休んだ方が良さそうだね?部屋行こう」
「・・・・どんな目に合った?」
「どうしたの?もしかして、何か嫌なこと思い出した?」
コレは強制的に休ませた方が良さそうだ。よっこいせ!
「うお!!ちょっ!担ぐんじゃねぇ!オイ!」
「はいはーい通りますよー?ラットちょっと最近真面目に働き過ぎだね?無理して脳がパンクしたかな?」
いや、フラッシュバックかな?
多分ここでの生活と前の生活とのギャップがありすぎたんだね。怖くなっちゃったかな?
「ほら、ちょっと横になって寝た方がいいよ?あ、絵本読んであげようか?」
「俺は子供か!!要らんわそんなもん!!」
「えーー?僕からしたら君は子供だよ?小さい子供」
ラット?大丈夫だよ。そんな不安そうな顔をしなくて。
「デズロ・・・・俺、なんでここにいるんだ?」
「それは、僕が君を欲しがったからだよ?君とエリスをここに留めたのは僕だからね?」
大丈夫。どこにもいかないよ。
「デズロは・・・いつ、俺達を捨てるんだ?」
「そんな日は来ないよ」
「・・・・嘘だ。嘘つくなよ」
・・・・ラットを宮廷で働かせたのは、失敗だったかな?
才能があったからと呼び寄せたけど・・・ハマり過ぎたのか。
「ラット・・・・ここはカスバールじゃない。君はもう、サウジスカルの宮廷魔術師だ。誰にも支配されない。誰も君に手を出せない。君が僕の側に居たいと言うなら僕はそれを受けいれるよ?」
「嘘だ。いつか、アンタも俺を切り捨てる」
「捨てない。そんなに不安なら、君も僕の子供になる?それでも構わないよ?ラット、何をそんなに怖がっているの?」
なんで泣くの?これは、かなり弱ってる?
「あ、朝・・・起きると、暖かいご飯が用意されてて」
「うん」
「馬鹿みたいに、優しい顔で声をかけられる。それで、仕事から帰って来ると当たり前みたいに出迎えられるんだ。関係ないのに心配されて、気遣われる。そんな事したってアイツらには、なんの得にもならない」
「うん」
「でも、毎日そうやって暮らしてると分からなくなる。どっちが現実なんだ?これは、いつか終わるんだよな?俺はこんな世界を知らない。俺達は使い捨てられる人間だろ?」
やっぱり・・・少し、早過ぎたのかな?
でも、いつかは通る道だよ。
ラット、君がまだ生きて行きたいと思うのなら。
「僕の両親は僕が5歳の時、僕を知り合いの家に売った。僕には弟がいるの、知ってるよね?弟はまだ3歳。そんな子供が売られていく理由、ラットは理解出来るよね?」
そう。僕達にとってあそこは奈落の底だった。
僕達は、そこから始まった。
「そこから逃げだしたのは僕が10歳になる頃。でも、10歳の子供にまともな生活が出来る訳がない。その、手段もわかるよね?」
「・・・・それで、どうやって?」
「それがさぁ?ある日、突然パトロンが現れた」
「は?」
アレは驚いた。
突然僕の客を刺したと思ったら平然と言い放ったもんね?
「金が欲しけりゃくれてやる。その代わり俺の物になれって。頭いかれてるよね?僕と年が変わらない子供がそんな事言い放って来たんだから」
「それで、そいつの奴隷になったのか?」
「いや?友達になった」
「・・・・は?」
だって。金だけ貰って何も無しじゃねぇ?
だから、お金は出世払いする約束で借りる事にした。
「それから、色々。本当に色々あって。僕はここに来た。僕もね、思ったよ?これは夢で、いつかまた、あの奈落の底に落とされる。何度も何度もそう思って、でも現実はそうはならなかった」
「・・・・デズロは、俺をどうしたいんだ?」
僕は、望んでここに来たわけではなかったよ。
でも、ここに来なかったら、僕はきっと分からなかった。
「ラット。君はこの世界に生まれてきた。生きていいんだよ? 君にはちゃんとその権利がある。幸せになっていいんだ」
僕は、生きて幸せになっていいんだと。
それが許されるのだと。
それを、エルハドが僕に教えてくれたんだ。
だから僕も君達に教えてあげるよ。
「幸せに、なっていいんだ」
君がそう思えるようになるまで、君達をちゃんと見守ってあげる。僕は、一度懐に入れた人間は手放さないと決めているからね?
もう、二度と。




