4-0. 代謝とは
◆あらまし◆
この章では、物質とエネルギーの流れについてまとめます。
◆代謝◆
生き物は、ものを取り込んだり吐き出したりしています。例えば、ヒトは空気を吸ったり吐いたりしています。肉や野菜を食べたり、便や尿を出したりもしています。
ヒトが吸い込む空気と吐き出した空気とでは、内訳がすこし異なっています。ヒトの食べ物と便を比べてみても、中身が違っているのがわかります。ヒトの体の中では、取り込まれたものがばらけたり、組み合さったりしているのです。それで、入ってくるものと出てゆくもので様子が変ってしまうのです。
▲図4-a:代謝
生き物が物質を取り込むことを吸収 (absorption) といいます。生き物の体の中で、物質がばらけたり組み合さったりすることを代謝 (metabolism) といいます。要らない物質を吐き出すことを排出 (excretion)、必要な物質を送り出すことを分泌 (secretion) といいます。
代謝には異化 (catabolism) と同化 (anabolism) という2種類があります。異化は、複雑な物質がばらけて簡単な物質になることです。同化は、簡単な物質が組み合さって複雑な物質になることです。
◆代謝の目的・代謝の仕方◆
生き物は代謝をすることで、体の材料とエネルギーを手に入れています。
体の材料を手に入れるには2通りのやりかたがあります。1つは、自分で材料を作り出すやりかたです。これをおこなう生き物を独立栄養生物 (autotroph) といいます。もう1つは、出来合の材料を吸い取ってしまうやりかたです。これをおこなう生き物を従属栄養生物 (heterotroph) といいます。
エネルギーを手に入れるのにも2通りのやりかたがあります。1つは、おひさまから光のエネルギーを仕入れるやりかたです。これが光合成 (photosynthesis) です。光合成をする生き物を光合成生物 (phototroph) といいます。もう1つは物質を組み直して、そこからエネルギーを取り出すやりかたです。これを化学合成 (chemosynthesis) といいます。化学合成をする生き物を化学合成生物 (chemotroph) といいます。
生き物は、代謝の仕方によって4種類に分けられます。多くの植物は、空気や水から体の材料を作り出して、光からエネルギーを仕入れていますから、光合成独立栄養生物 (photoautotroph) と呼ばれています。動物は、他の生き物から体の材料を吸い取って、物質を組み直すことでエネルギーを取り出しているので、化学合成従属栄養生物 (chemoheterotroph) と呼ばれています (図4-b)。
▲図4-b:代謝の仕方にもとづく生物の分類
◆他の章とのつながり◆
代謝は、生き物が生きてゆくのを支えています。
まず、代謝は生殖 (→第5章) を支えています。体の材料が手に入るということは、子をつくる材料が手に入るということだからです。
代謝は運動 (→第3章) も支えています。例えば、手に入れたエネルギーをつかって筋肉を収縮させることができます。筋肉を動かすことで、動物は泳いだり歩いたりできるのです。
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生き物の体はどうやって組み上がり、どうやって土に還ってゆくのでしょうか。また、エネルギーはどこで生れてどこへゆくのでしょうか。大きなまとまりから順に見てゆきましょう。




