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地球と分子に挟まれて  作者: 半ノ木ゆか
第4章 代謝
23/28

4-0. 代謝とは

挿絵(By みてみん)


◆あらまし◆


 この章では、物質とエネルギーの流れについてまとめます。



◆代謝◆


 生き物は、ものを取り込んだり吐き出したりしています。例えば、ヒトは空気を吸ったり吐いたりしています。肉や野菜を食べたり、便や尿を出したりもしています。


 ヒトが吸い込む空気と吐き出した空気とでは、内訳がすこし異なっています。ヒトの食べ物と便を比べてみても、中身が違っているのがわかります。ヒトの体の中では、取り込まれたものがばらけたり、組み合さったりしているのです。それで、入ってくるものと出てゆくもので様子が変ってしまうのです。



挿絵(By みてみん)

▲図4-a:代謝



 生き物が物質を取り込むことを吸収きゆうしゆう (absorption) といいます。生き物の体の中で、物質がばらけたり組み合さったりすることを代謝たいしや (metabolism) といいます。要らない物質を吐き出すことを排出はいしゆつ (excretion)、必要な物質を送り出すことを分泌ぶんぴ (secretion) といいます。


 代謝には異化いか (catabolism) と同化どうか (anabolism) という2種類があります。異化は、複雑な物質がばらけて簡単な物質になることです。同化は、簡単な物質が組み合さって複雑な物質になることです。



◆代謝の目的・代謝の仕方◆


 生き物は代謝をすることで、体の材料とエネルギーを手に入れています。


 体の材料を手に入れるには2通りのやりかたがあります。1つは、自分で材料を作り出すやりかたです。これをおこなう生き物を独立栄養生物どくりつえいようせいぶつ (autotroph) といいます。もう1つは、出来合の材料を吸い取ってしまうやりかたです。これをおこなう生き物を従属栄養生物じゆうぞくえいようせいぶつ (heterotroph) といいます。


 エネルギーを手に入れるのにも2通りのやりかたがあります。1つは、おひさまから光のエネルギーを仕入れるやりかたです。これが光合成こうごうせい (photosynthesis) です。光合成をする生き物を光合成生物こうごうせいせいぶつ (phototroph) といいます。もう1つは物質を組み直して、そこからエネルギーを取り出すやりかたです。これを化学合成かがくごうせい (chemosynthesis) といいます。化学合成をする生き物を化学合成生物かがくごうせいせいぶつ (chemotroph) といいます。


 生き物は、代謝の仕方によって4種類に分けられます。多くの植物は、空気や水から体の材料を作り出して、光からエネルギーを仕入れていますから、光合成独立栄養生物こうごうせいどくりつえいようせいぶつ (photoautotroph) と呼ばれています。動物は、他の生き物から体の材料を吸い取って、物質を組み直すことでエネルギーを取り出しているので、化学合成従属栄養生物かがくごうせいじゆうぞくえいようせいぶつ (chemoheterotroph) と呼ばれています (図4-b)。



挿絵(By みてみん)

▲図4-b:代謝の仕方にもとづく生物の分類



◆他の章とのつながり◆


 代謝は、生き物が生きてゆくのを支えています。


 まず、代謝は生殖 (→第5章) を支えています。体の材料が手に入るということは、子をつくる材料が手に入るということだからです。


 代謝は運動 (→第3章) も支えています。例えば、手に入れたエネルギーをつかって筋肉を収縮させることができます。筋肉を動かすことで、動物は泳いだり歩いたりできるのです。




 生き物の体はどうやって組み上がり、どうやって土に還ってゆくのでしょうか。また、エネルギーはどこで生れてどこへゆくのでしょうか。大きなまとまりから順に見てゆきましょう。

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