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【社畜貴族の成り上がり】転生したらパワハラ令嬢に婚約破棄されたので、嫁いできた白い令嬢と幸せになります  作者: 昼行燈


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第7話 香辛料不足


 ポルシェノール領にある屋敷の執務室で、俺は領地の仕事をしていた。

 あれからアリスが仕事を手伝ってくれていることもあって、比較的内容は楽になった。


 ご飯を一緒に食べたいから、と頑張ってくれているようだ。


 とても素直で可愛い子に俺には見えていた。

 こんなにもいい子を迫害されていたなんて、信じがたいな。

 

 近いうちになんとかしないと。


 そうしてアリスから受け取った書類に目を通す。


「香辛料不足による不満?」

「はい。我が国では香辛料があまり多くは採れません。そのため他国からの輸入で補っている面があります。しかし、今年は災害や大雨による影響で育ちが悪かったようで、入ってくる量が少ないのです」


 味付けは確かに、毎日同じ味ばかりだと飽きてしまう。


 そういう積み重ねは心に大きな影響を与えてることになる。


 何か嫌なことがあっても、美味しい食べ物を食べるだけで気分はスッキリしたりするものだ。


 現代を生きてきた俺からしたら想像し難いが、この世界にとって香辛料や調味料は心の糧と言ってもいい。


「香辛料か……王都からは?」

「ないものは仕方ないので、他の領地でも耐えるようにとの通達です」

「耐えろって……代案はないのか」

「ないようですね……」


 国にある数少ない香辛料は、金持ちが既に買い占めたか、自分たちで使う用だろうな。

 頑張って働いている農民や領民、階級の低い者たちには届くはずがない。


 彼らが毎日働いているお陰で、世界は回っている。


 せめて、そんな人たちの助けになるような……。


「……あるかもしれない」

「え……?」

「アリス様。代案、あるかもしれないです」

「アミノ様、何を仰るんですか? 出来る訳がありません。香辛料が育つ環境はこの土地にはありません。それを整える時間も足りません……最低でも三年はかかります」


 俺が思いついたのは、少しばかりこの世界の意表を突く方法だ。

 もちろん、誰も苦しまず、それでいて時間があまりかからない。


「アリス様、土地も時間も必要ありません」


 俺は現代を生きて転生してきた人間だ。

 添加物や調味料。香辛料なんて腐るほど口にしてきた。


 これらを生み出してきた偉人に感謝しなくちゃな。


「三年もかかりません」

「では、一年……?」

「いいえ」


 俺には【薬祖の祝福】がある。

 指を三本立てる。


「三分です」

「さ、三分……!?」


 この祝福は何も、薬を作るだけではない。

 

「まぁそのためには材料が必要ですけどね……アハハ」



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