45.助け求める精霊
大精霊セルシウス。
体から発する冷気は周りに居るすべてを凍らせいる。
結界で冷気を防いでいるはずなのに、冷たさが伝わってくるようだ。
「あんた……何しにきたんだい?」
まずは、対話だ。相手が私に対してどんな感情を抱いているのかを探る。
……絶対に生きて帰るんだ。アスベル、アンチ。おまえらの顔をもう一度見るんだ!
【…………】
セルシウスはしかし、私の問いかけに応えようとしない。
わたしがこの場に居ることに対して怒りを覚えてるのだろうか……?
……ふと、目が合う。
いいや、違う。怒ってない。悲しんでいない。……その目は、知ってる。よく、知ってる。
助けを求める目だ!
そういや、この国がヤバい状況になっているのは、大精霊が関係してるってドワーフたちが言っていた。
大精霊が悪意から、この国を危機的状況に陥れているのだと思った。
でももし……違うとしたら……?
この子は何かに苦しめられていて、結果的に災害を起こしてるのだとしたら……?
……これはバカな妄想かもしれない。でも、私の目には、確かにセルシウスが私に助けを求めてるように見えちまったんだ!
セルシウスは幼い子どもの姿をしてる。
どうしても、私の愛し子とその姿がかぶってしまう。
「待ってな。セルシウス。あんたを……助けてやるよ」
苦しんでいる子供を助けることに、理由なんているかい?




