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38.ささえる男



 私たちは野営をしている。

 ドワーフたちは飯を食って、早めに就寝していた。


 結界内は温かく、また魔物も襲ってこないということで、皆安らかな眠りについていた。

 私は一人、通信機で、現状を報告する。


「という感じだ。そっちはどうだ、アスベル?」


 通信機から聞こえてくるのは、街に残してきた夫アスベルの声だ。


『こちらは問題ないですよ、セイコ』

「そうか。アンチは?」

『もっと問題ないです。おとなしくしてますよ』


 アンチはできる息子だからな。

 自分の様子を、父を経由して、私に伝わるとわかってるんだ。

 だから、父親の前でも良い子ちゃんにしてる。


 ……でも、アンチはさみしがり屋さんだからな。

 さみしくても絶対に態度に出さないのだ。賢い子だ。……帰ったらうんと甘やかせてやろう。


『セイコのほうはどうです?』

「今野営中」


『魔物は平気ですか? 寒さも』

「どっち問題ない。結界のおかげでね」


 聖女に与えられし特殊能力、結界。

 これのおかげでだいぶ助かっている。


 ……が。


「もうちょっとこの能力、発動に短縮できないもんかね」


 結界構築には複数の薬剤を混ぜる必要がある。

 また、化学反応が始まってから、結界が広がるまでにもタイムラグがあるのだ。


『でもたしか、セイコの結界構築速度は、歴代の聖女のなかで最速と、マギが言ってましたよ?』


 普通の聖女は、神に祈りを捧げることで結界を発動させる。

 だが、発動までに私が結界を造る以上の時間がかかるのだ。それはもう、1日がかりとかである。


 それと比べれば、私の結界は発動に1時間くらいかかる。

 が、裏を返すと1時間もかかってしまうのだ。


「もっと早く構築する方法を見つけたいもんだ」


 まあ、現状に不満がないわけじゃないんだがね。

 するとアスベルが、優しい声音で言う。


『大丈夫ですよ。セイコなら、きっとすぐ理想をかなえることができます』


 アスベルの力強い言葉。

 私の心に、暖かな気持ちが広がっていく。


「そうかね?」

『そうですよ! セイコは今まで何度も何度も、奇跡を起こしてきてるんですから!』

「そっか……」


 アスベルの言葉がスッ……と胸にしみる。

 弱気になりかけていた気持ちが、元に戻る。


「ありがとうな、アスベル。愛してるよ」

『うぉおお! 俺も愛してますよ、セイコぉ!』


 ったく、バカな男だよ。

 でもほんと、愛してる。バカな子程可愛いっていうからかねえ。


「それにしても……結界、どうにかできないもんかね」

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