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36.ビバーク



 私らは不死山ふじさんへとひたすらにまっすぐに進んだ。

 神獣アトーフェの足があったおかげで、数時間でカイ・パゴスの真ん中あたりまでやってきた。


「姐さん! 凄い早さですぜ! この調子なら深夜には不死山ふじさんの麓までいけるかも!」


 この国のドワーフであるジョッパリーがそういう。

 私は……。


「この辺で野営だな」

「んえ!? どうしてですかいっ? いち早く精霊の下へ行った方がいいんじゃ……」

「ふぅ~……バカかいあんた。深夜に山登りだって? ふざけろ。仲間を遭難させたいのかい?」


 不死山ふじさんはかなり標高が高いらしい。

 しかもこの猛吹雪だ。山頂はさらに気候が荒れてるのが目に見えている。


「それにもうすぐ日が暮れる。そんな中で無理して怪我とか凍傷になられて困るんだよ」

「姐さんのポーションがあるじゃん……」

「あほ。ポーションで直せてもな、痛いもんは痛いんだよ」


 知り合ったばかりとは言え、私はもうこのドワーフ連中と無関係な顔をしてやれない。

 

「なるほど……わかりました!」


 ジョッパリーほか、ドワーフ連中は納得したようだ。


「ジョッパリーがすまんかったの、聖母」


 ガンメイジがため息交じりに言う。

 こいつもジョッパリーに手を焼いてるっぽいな。


「ま、いいさ」

「ジョッパリーは若くてな。どうにも無鉄砲なところがあるのじゃ」

「お、おう……」


 ジョッパリー、普通にひげもじゃだし、年老いてるかと思ってた……。

 まさか若いとは……。


「ま、そんなわけで、開けた場所でビバークすんぞ」

「「「おう!」」」


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