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獣達の騎士道  作者: 春野隠者
シンデレラへの挑戦
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灰被りの少女からの依頼

 対外戦争も落ち着き、動員令も解除されたある日、ロズヴェータは、戦勝に沸く王都の貧民街を歩いていた。王都の高級住宅地を占めるのが王侯貴族や商人等の一部の人間だとすれば、そのおこぼれを貰うべく周りをぐるりと取り囲むように大多数の貧民が存在する。

 それがそのまま王都の形となったように王都の市街地を形成していた。

 犯罪の温床となったり、疫病の発生の原因となったりするものの、人が集まるからには商売のタネが転がって居たり、地方から出てきた人の受け入れ先になったりと必要だからこそ形成されているものだとロズヴェータは、認識していた。

 無論ロズヴェータは、暇を持て余して貧民街を歩いているわけではない。

 歴とした依頼があったために、依頼主の元へ向かっている。護衛には、いつものように副官のユーグ。この国(リオングラウス)で美男子と言えば、10人が9人は振り返るであろう美貌の少年である。

 ロズヴェータとは同い年のユーグは、自分の美貌を意識しており、普段から摩擦を回避するためフードを深く被りながら、周囲に鋭く視線を走らせるのが常だった。

 この日は、もう一人帝国(エルフィナス)出身の元傭兵❝(ミグ)❞のルルも同行していた。

 曰く、二人っきりだなんて危ない。

 帝国語と王国語を使い分ける彼女であったが、普段話す言葉は少女のようにあどけない。

 王侯貴族が使うような上流階級の言葉というよりは、庶民の使う言葉を習い覚えたために、彼女は見た目に比してあどけない言葉使いであった。

 そしてもう一人、人を定期的に斬らないと言動の怪しくなる狂人バリュードの分隊から、最近加入したネリネが同行する。

 騎士ショルツの養い子の一人で、彼曰く我が娘、といって可愛がっていると、ロズヴェータは認識していた。後学のために騎士見習いとして三頭獣ドライアルドベスティエに参加している。

 今回の依頼に際しては、本人が熱烈に希望したことと分隊長のバリュードから、俺向きの依頼じゃないから嫌だ、となんとも締まらない回答をもらったからだった。

 ネリネ自身は短槍が得意であり、同年代に比して大人びている肉体から繰り出される槍の刺突は、その速度と威力において騎士隊の中にあっても有数である。

 今回の依頼では護衛としてロズヴェータに同行している。

 彼等4人が貧民街を抜けて王都の北側に広がる森に入っていく。

 王家から代官が派遣されて管理されている王都周辺の土地であったが、半日も歩けば個人が所有する土地にたどり着く。

 初夏の照り付ける陽射しが木々にさえぎられ、吹き抜ける風が頬に涼をもたらす。

 人の目が届かない所まで来て、やっと美貌の副官ユーグはフードを脱いで辺りを見回した。

「そろそろですが……あれでしょうか」

 ユーグの言葉に、4人が一斉に森の木々の隙間から覗く尖塔に目をやる。

「確か、廃教会でしたよね?」

 ネリネの言葉を受けてロズヴェータが頷く。

「行こうか」

 一度目を細めて周囲を見渡し、危険がないことを確認したロズヴェータが先を促して進む。

 周囲には魔物の気配はなく、虫の声があるだけだった。

 木々の隙間から見えた尖塔までそれほど時間はかからなかった。誰かが定期的に使っているであろう道は、山野の戦いを得意とする彼らにしてみれば十分に進みやすい。

 廃教会への道を隠すように夏草が伸び放題に伸びている。その道を慎重にネリネが露払いをしながら進む。彼女が腰にさしていた細剣は休むことなく道に伸びた夏草を払い、後ろに続く者達が歩きやすいように道を整えながら進んでいた。

 露払いと魔物への警戒を同時しながらも、決して遅すぎることはない速度で廃教会に到着する。

 見れば朽ちた扉の傍らに、フードを目深にかぶった依頼主が佇んでいた。

 手にした籠には、初夏の頃に食べられる野草が摘まれている。

「あの、依頼を受けて頂いた方でしょうか?」

 声をかけてきたのは依頼主の方からだった。

「そうです。ニャーニィの紹介で依頼を受けた騎士ロズヴェータと申します」

 依頼主の前に進み出るロズヴェータが挨拶をすると同時に、周囲に対して警戒の態勢を取るロズヴェータ以外の3人。

 そこで初めて依頼主がフードを外して素顔を表す。

「初めまして、エラと申します」

 灰で汚れた髪に顔には取り切れなかったであろう煤に塗れていたが、造形自体は悪くないのではないかと思わせる少女がそこにはいた。

「このような格好で失礼します」

 灰に塗れた格好と、貴族に対する礼儀としてしっかりとカーテシーをする少女のギャップにロズヴェータが僅かに驚いていると、伏せられていた瞳が合う。

 その時ちょうど日の光が差し込み、少女エラの新緑色から碧玉色への変化する瞳を、意図せずロズヴェータは覗き込む形になった。

 ぶれることなくロズヴェータを見つめる瞳は、野心的で強い意志を感じさせる瞳だと、ロズヴェータは直感的に感じた。あどけなさを感じる素顔の奥に、印象的な瞳の少女。それが少女エラへの第一印象であった。

「早速依頼の確認をしましょう」

 見惚れているわけにもいかないと気分を変え、ロズヴェータはニャーニィ経由で紹介された少女エラの依頼を確認する。

「王宮で開かれる舞踏会に参加したい、これで構わないのですよね?」

「はい。よろしくお願いします」

 対ロズデリア帝国の対外戦争を勝利で終わらせた獅子の紋と王冠の王国(リオングラウス)では、勝利を記念して3日間の祝祭日を設けることを決めていた。

 各地を治める貴族は、その規模によって祝祭日に領民に対して酒と食料を振る舞い、国としての勝利を祝わねばならない。

 若き少年王とその側近から出された布告によって、国中の貴族達は備蓄していた食糧庫を解放し、領民に対して振る舞いを実施していた。

 無論それは王家としても例外ではなく、むしろ率先して祝祭日を祝うための行事を布告していた。一部例外はあるものの無線通信など存在せず、広場に高札を立てて布告する形での情報伝達が一般的なリオングラウス王国において、祝祭日を設け、前後一日は祭日にするという王家の決定を領民に徹底するにはかなりの時間を要する。

 むしろ来年以降が本番であり、王家とそれを形成する貴族達で近親者を集めて内輪の祝日とすべきという声も上がったが、そこは断固として王家派閥が譲らなかった。

 彼らをそこまで頑なにしたのは、武官派閥の躍進である。

 対外戦争において活躍した英雄の弟子ディルアン将軍を筆頭とした彼らに、権力が集中する期間が半年も続いてしまっていた。

 無論、ディルアンは、権力を握るなどと言うことを考えてはいなかった。戦争が終われば自身に集中していた権限は即座に手放し、自由奔放に過ごすただの中年の不良騎士となって主に宰相の頭痛の種となっていたが、周囲はそれを良しとするほど純粋無垢ではなかった。

 だからこそ、王家派閥はこの祝祭日を利用して国としての一体感を演出し、武官派閥に傾きかけた権力の流れを自身に取り戻すつもりであった。

 これを摂政と少年王に説いたのは、ルクレイン公爵家のノイン。

 若く才気にあふれたその姿は、若き獅子の紋に翼に盾(リオンセルジュ)の末の弟として周囲の視線を自然と集める。兄ガベルの庇護下にあって挫折を知らずに育った若き才能は、中小の貴族、商人達を中心に広く支持を集めていた。

「国とは民とあるべきです。王家とはその中心」

 瑞々しく流れるような弁舌は、少年王を取り巻く派閥の人間達の耳目を集め、その心を王家を中心とした国家の建設と言う崇高な使命に、奮い立たせる。

 しかし、当の少年王だけは、どこか鬱々として楽しまない様子であった。

 それを心配した摂政により提案されたのが王家主催の舞踏会。

 国中の見目麗しい少女と出会いがあれば、少年王も少しは元気が出るのではないかと囁かれた結果であった。

 それを少年王は裁可する。

 元々彼に王家派閥を御するだけの手腕はない。自身の意見を表明することなく、それが派閥の総意であるならと王家主催の舞踏会の開催を許可した。

 慌てたのは国中の、特に王都に住まう年頃の子女を持つ者達だ。

 王家主催の舞踏会。

 特に中小の貴族家は色めき立った。富裕層たる商人達もまた同様であった。

 少年王に見初められれば、一気に出世又は王家の親戚となれるまたとない機会。甘い蜜に群がる虫のように国中の子女を持つ親が我が娘をこそ、と仕立て屋に通い宝飾品を見繕って活況を呈した。

 そんな中、少女エラの家にも王家からの招待状が届く。

 ──三日間ある祝祭日の最終日、舞踏会に参加されたし。

 彼女の家は、王都郊外に領地をもつ小さな貴族家である。

 既に当主はなく、彼女の実母も病没している。

 今彼女の家を取り仕切っているのは継母。

 二人の血のつながらない姉と継母は、当主が生きている間は少女エラをこそ家の後継者としていたが、当主が死んでから雲行きが怪しくなった。

 彼女の家に忠実であった複数の使用人たちは解雇され、新たに雇い入れることもしない。

 その分のしわ寄せは、末の娘であり、当主の地位を継ぐエラに向かった。

 彼女は継母と二人の姉たちにまるで使用人のように扱われ、今もなお扱われ続けている。

「王国の宰相府には? 王国の継承法に違反する不当な乗っ取りだと訴えれば……」

 ロズヴェータの疑問に、エラは頭を振る。

「私のような成人未満の娘の主張はまともに取り合ってもらえませんでした」

 以前文官を目指していたため、ロズヴェータには継承法の知識もある。貴族家を継ぐのは、女性であっても構わないが後ろ盾が必要だった。

 自身がそれになれるかと問いかけて、ロズヴェータは自ら否定する。

 辺境伯家の三男程度に、社交界でいかほどの力があるだろう。

 逆に訴えられ、辺境伯家自身を追い込む結果になりかねない。なにせ、辺境伯家は力もあるが、その分だけ敵も多い。辺境で独立不羈の気風を貫くには、制約が多かった。

 悔しさから目に涙を浮かべるエラにロズヴェータが声をかける。

「遮ってすまなかった。続けて」

 頷いて話を再開する少女エラの声は意外としっかりしており、彼女が強い意志で自分の感情を抑え込んだのだと分かる。使用人の者と見紛うスカートをぎゅっと握り締める手に力が入る。

「そこで、王家主催の舞踏会です」

 彼女の目的は、この周辺で力を持つ王家派閥の長ルクレイン家。

 王家主催の舞踏会なら、そのうちの誰かが参加するであろう。長男ガベル。長女シュミナ、あるいは末の弟ノイン。いずれかに訴えらえれば、勝つ見込みはある。

「……ルクレイン家が貴女の味方をするとは限らないのでは?」

 複雑な感情を胸に抱きながら、それでもなるべく表には出さないようにロズヴェータは問いかける。逆境から這い上がろうとする彼女には、親近感を覚えるものの、仇敵ともいえるルクレイン公爵家が彼女を救うのだとしたら、それはそれで収まりがつかない。

 だが、自身にその力があるのかと問われれば、その力はなかった。

 仇敵にあって、自身にはない。

 それはロズヴェータの心に言いようのない屈辱を感じさせるに十分だった。

「確かに。しかし、末弟のノイン様は中小の貴族に理解のあるお方と聞いています。その評判を裏切るようなことはないと思います」

「……」

 そんなわけはない、と内心で反論するもロズヴェータの声は口からはでなかった。胸中に渦巻く感情はルクレイン公爵家を否定するが、脳内では冷静になれと理性が囁く。

 なんとか反論の為の言葉を出そうとしたとき、それよりも早く、彼の意識を別に向ける声が聞こえた。

「ロズ」

 鋭く声をかけた副官美貌のユーグの声に視線を転じれば、草木をかき分けて二人の少女が廃教会の敷地に入ってきたところだった。

「あ、ごめん。遅れちゃってた?」

「あ、ニャーニィ様」

 ぺこりと頭を下げる少女エラの声に、にへらと笑った顔を向けるニャーニィ。

 付き添いに来ているのは、長いくすんだ金色の髪の乙女ターニャ。以前エメシュタンという不良貴族の家を襲撃した際に、救出したことで縁が出来たニャーニィの幼馴染。

「……ああ、先に話を聞いていた」

 ロズヴェータの微妙な表情の変化に気が付いたらしく、疑問符を頭に浮かべて首を傾げるニャーニィ。

 隊商の護衛を中心に依頼を請け負っていたからだろう。久しぶりに会ったニャーニィは、日に焼けた小麦色の肌が、眩しい程に健康的な美しさで魅力的に映る。

「ごめんけど、また聞かせてくれる?」

「はい」

 コクリと頷いて、少女エラはロズヴェータに話した依頼の内容を繰り返す。

 話を聞いてるうちに、ニャーニィの顔色の方が段々と悪くなっていき、ついには横目でロズヴェータを確認すると、思わず彼女は天を仰いだ。

 あちゃー、と顔に書いてあるニャーニィは、自分が地雷案件を踏んだことをその時点で悟った。

「……あの、私何か?」

 事情の呑み込めない少女エラは疑問に首を傾げる。

 大まかな概要は、既にニャーニィに伝えてあったのだ。だがその内容は、王家主催の舞踏会に参加したいということだけだったから、自身の伝えた内容に何か問題があったのかと首を傾げる。

「……いやー、なんというかルクレイン公爵家ね」

 小さくとも貴族家の出だ。

 少女エラも、ルクレイン公爵家が何かニャーニィとロズヴェータに問題のある家なのかと勘を働かせる。ニャーニィに同行してきたターニャも、彼等の微妙な空気に首を傾げていた。

「いいや、別に問題はない」

 ニャーニィの視線を受けながら、ロズヴェータが口を開いた。

 理性が感情を押さえつけていた。

 別に直接会って頭を下げるわけでもない。ただ舞踏会に参加したいという少女の願いをかなえるだけだ。気持ちを無理矢理切り替えたロズヴェータに、今度は微妙な顔でニャーニィが頷いた。

「まぁ、私も問題ないよ」

 少女エラは愚鈍な性質ではない。むしろ人の心の機微には敏い方であった。

 だからロズヴェータとニャーニィの漂わせる微妙な雰囲気に、何かしら触れない方が良いものを感じ取り不用意な発言は控える。

「……それでは、よろしくお願いします」

 舞踏会までは後三十日ほどある。

 これは、王国全土に布告し貴族達に準備の時間を与えるための処置だった。

 十分な布告他の時間と、準備の時間を与えたのだから、王家に従わぬ理由はないだろうという半ば恫喝じみた貴族家への布告である。

 少女エラがその場から去った後、ニャーニィはその場で土下座する勢いでロズヴェータに頭を下げた。

「ごめん!」

「ああ、いいよ。別に気にして……はいるけど、それで依頼を断ったりはしない」

 今回の依頼、報酬はさして高くない。

 ロズヴェータが受けた理由も、ニャーニィ経由であったからと言う理由が大きい。

「それじゃ、具体的な作戦を詰めて行こうか」

 頷くロズヴェータは、心に僅かなしこりを残しながらも、ニャーニィとともに、少女エラを王家主催の舞踏会へ送り込む作戦を練ることになった。

「……ちなみに、成功すると思ってはいるんだよな?」

 ふと気になって口を開いたロズヴェータの疑問を、ニャーニィは一刀両断に斬って捨てた。

「いや、不可能だと思うよ」

 思わず目を剥くロズヴェータに、ニャーニィは不敵に笑った。

「ククックック……不可能への挑戦。燃える」

 最近何か変なものでも食べたのかと、疑うロズヴェータの視線を横目に、なぜかニャーニィは燃えていた。


ロズヴェータ:駆け出し騎士(銀の獅子)


称号:同期で二番目にやべー奴、三頭獣ドライアルドベスティエ隊長、銀の獅子、七つ砦の陥陣営

特技:毒耐性(弱)、火耐性(中)、薬草知識(低)、異種族友邦、悪名萌芽、山歩き、辺境伯の息子、兵站(初歩)、駆け出し領主


同期で二番目にやべー奴:同期の友好上昇

三頭獣ドライアルドベスティエ隊長:騎士隊として社会的信用上昇

銀の獅子:国への貢献度から社会的信用度の上昇

毒耐性(弱):毒からの生還確率が上昇。

火耐性(中):火事の中でも動きが鈍らない。火攻めに知見在り。

薬草知識(低):いくつかの健康に良い薬草がわかる。簡単な毒物を調合することができる。

異種族友邦:異種族の友好度上昇

悪名萌芽:行動に裏があるのではないかと疑われる。

山歩き:山地において行動が鈍らない。

辺境伯の息子:辺境伯での依頼で影響度上昇

陥陣営:連続で落とし続けている限り、味方の能力に強化効果。(連続7回)

兵站(初歩):兵站の用語が理解できる。

駆け出し領主:周囲から様々な助言を得ることが出来る。


信頼:武官(+20)、文官(+23)、王家(+14)、辺境伯家(+30)


信頼度判定:

王家派閥:少しは王家の為に働ける人材かな。

文官:若いのに国のことを考えてよくやっている騎士じゃないか。領主として? 勉強不足だよね。派閥に入れてあげても……良いよ?

武官:以前は悪い噂も聞こえたが……我慢も効くし。命令にはしっかり従っているし戦力にはなるな。

辺境伯家:このままいけば将来この人が辺境伯家の次代の軍事の中心では?


副題:ロズヴェータちゃん、ミッションインポッシブル。

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