表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄を希望しておりますが、なぜかうまく行きません  作者: Karamimi
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/48

第31話:今度こそ失敗は許されません

「クロエ様、この錠剤は一体何ですか?まさか、猛毒?」


さすがに猛毒は勘弁ですわ!そう思っていると


「そんな訳ないでしょう!私がこの薬を手に入れるために、どれほど苦労したか…これはね、一種の麻酔みたいなものよ」


「麻酔?」


聞き覚えのない言葉が飛び出す。


「そうよ、手術とかするときとかに、痛みを感じないようにする薬よ。この国では、錠剤として販売されているの。まさか錠剤で麻酔を手に入れられるなんてね」


痛みを感じにくくる薬?それが不治の病と一体何の関係があるのかしら?さっぱり分からない。コテンと首をかしげて考えていると。


「オニキス、あなた本当にわかりやすい性格ね…いい、この薬はね。飲むと体が動かなくなるの。ただ、意識はあるから話は出来たりするの。また、誰かに体を触れられても、何も感じなくなるのよ。体も動かなくなるし、何も感じない。まさに不治の病でしょう?」


なるほど、確かに急に感覚を失い、体が動かなくなったら、きっと何らかの病気にかかったとみんなが思うわね。


「ただ、この薬は12時間しか効果がないの。だから、12時間たって体の感覚が戻り始めたら、また飲まないといけないのよ。一応ずっと飲み続けていても害はない様だから、安心して頂戴」


「そんな便利な薬があるのですね。それではこの薬を飲めば、私は体が動かなくなるのですね。でも、急に私の体が動かなくなり、不治の病と知ったら、お父様たちはきっと悲しむわ…」


お父様の事だ、きっと世界中から医者を呼び、必死に治そうとしてくれるだろう…お母様もきっと悲しむわ。お兄様やお義姉様だって…


「オニキス、そんな事を言っていたら、婚約破棄は出来ないわよ。いい?確かにあなたが病気になったら、あなたの家族は悲しむわ。でも、ブライン様と婚約破棄をし、私がブライン様と新たに婚約を結ぶまでの辛抱よ。それまでは、なんとか病気のフリをして頂戴。無事全てが終わったら、あなただって誰かと結婚する事が出来るのだから」


確かにクロエ様の言う通りだ。私がブライン様と婚約破棄をするという事は、どうしても家族を悲しませてしまうという事。


そう、何かを必ず犠牲にしないといけないという事なのだ。であれば、私の答えは1つ。


「クロエ様、私の為に色々とありがとうございます。分かりました、私、この薬を飲んで、不治の病にかかった風を演じますわ」


「よかった。さすがにどんくさいオニキスでも、薬を飲む事くらいは出来るものね。いい、12時間経ったら効果が切れるから、必ず飲み続けるのよ。それから、この薬の存在は誰にもバレてはいけないわ。もちろん、メイドたちにも。すぐに飲めるよう、ベッドの近くに隠しておくといいわ。そうね、マットレスと布団の間なんてバレにくくていいかもしれないわね」


「分かりました。あの、協力者がいた方がいいと思いますの。だから、専属メイドのマリンには、薬の存在を話してもいいですわよね?」


私1人だと、飲み忘れたりしそうで不安だ。そう思って提案したのだが…


「ちょっとオニキス。メイドなんかに話したら、公爵に話されるでしょう!本当にあなたはおバカなんだから。もしかして、以前の作戦もメイドたちに話をしていたとか?」


「ええ…専属メイドのマリンには話しておりましたわ」


「何考えているのよ!そう言うのは、ふつう内緒にしておくものでしょう!きっと公爵の耳にも入っているわよ。このおバカ!」


急に怒り出したクロエ様。


「でも、お父様からはその件に関して、何も言われておりませんわ。それに、マリンはそんなおしゃべりではありませんし…」


「おしゃべりじゃなくても、メイドというものは、何かあれば主人でもあるその家の主に報告するものなのよ。本当にあなたは、何にも知らないのね!いい、絶対に今回の薬の件は、メイドにも内緒にするのよ。いいわね。とにかく、途中でバレてもアウトなんだから。絶対に失敗は許されないの。分かったわね。屋敷に帰ったら、すぐにマットレスと布団の間にすぐに隠すのよ!」


「はい、分かりましたわ」


クロエ様のすごい迫力に押され、つい大きな声で返事をしてしまった。


「万が一バレたらあなたは、何らかの厳しい処罰を受けないといけないかもしれないのよ。王族を騙して、婚約破棄をしようとしているのだからね。もしかしたら原作通り、あなたは処刑、公爵家はお家取り潰しになるかもしれないわね」


「えぇぇ!それは嫌ですわ!我が家がそんな事になったら私…」


私のせいで公爵家が潰される…そう思ったら、涙が溢れる。


「だから、ビービー泣かないでよ。まあ、私はヒロインだから、お咎めなしだろうけれど。あなたはただでさえ、悪役令嬢という不利なポディションなんだから、十分気を付けなさいよ。分かったわね」


「はい、分かりましたわ!気を引き締めて頑張ります」


これは何が何でも、失敗は許されないわね。気を引き締めて行かないと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ