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Youもダンス?Meもダンス!! 上

*注意*


この話では未成年による飲酒のシーンがございます。作中の世界においては、未成年でも飲酒が可能な世界となっています。


無論、日本国における飲酒は20歳になってからとなりますので、未成年の良い子は決して真似をしない様に。



青と白の空間に、響き渡る重低音。


この世界にある筈も無い、禍々しくも強くて綺麗な光たち。


知らないけど、知っている景色だった。というより、目にした事があると言うのだろうか。かと言って、入った事すらないし、こんな場所が、この馬鹿げた世界にあるとは思いもよらなかった。


「よーし!神山くんに中井くん!町田もマリスさんも!ニルギリさんも!グラス持ったかー!?」


「はーい!持ちましたー!」


「招待されたフェディカさんに、あー、三木原!三木原くんも持ったかー!」


「あ、あはは」


「はい!持ってます!」


「それじゃあ、TEAM PRIDE祝勝パーティー!はーじめましょー!!」


河上がゴブレットを抱え上げ、中の最早何かも解らぬ液体を散らしながら音頭を取った。


ここは、河上静太郎が行きつけとしている。シダト東区域ラインの大型クラブ『ポセイドン』この馬鹿げた異世界の中で、この空間だけはまるで、現代日本や世界の夜を騒がしく楽しく過ごす社交場『クラブ』として営業している店舗だ。


店内は一階二階とあり、一階に通常の席にダンスフロア、DJブースが。


そして、TEAM PRIDEが居る2階はVIP席として、本来ならば敷居となる薄い壁の箱状に区切られた席がある。しかし今日は、そのVIP席が貸し切りにされ、二階への階段に立て看板にて『本日貸し切り』と遮られていた。


そこで、TEAM PRIDEは祝勝会を挙げることになったのだ。下の階では、EDMが鳴り響き二階まで響かせ、いつも通りの客たちが酒に酔い、音楽にステップを踏み出している中、TEAM PRIDEと数少ない関係者が二階のVIP席で、長テーブルに並べられた料理に、現地人はまず見た事もない酒瓶、ジュースが入った水差しが幾つも置かれていた。


「う、迂闊だった、河上さんパリピの陽キャだったの忘れてた」


「いやー……その辺考えてなかったわ俺も」


パーティーと聞いて安易に河上に任せた事を、中井が悔いて、顔を俯けながらオレンジジュースを飲んでいて、隣で神山もザクロジュースを煽りながら、しまったなと、早速ゴブレットを開けた河上を見て苦笑した。


「しかし神山くん、誘われてなんだけどさ、僕も来て良かったのかい?」


と、対面の椅子に座っていた、三木原康太に問いかけられた。


「あー……三木原には最初世話になったし?お前が街の賭け試合と安宿教えてくれなかったから、マリスさんとも会えなかったからさ、その礼もある」


河上より、友人も呼べと命令された為に神山は、知る人間として最初に出会った三木原を招待した。三木原からすれば、せいぜいが中井が来た後の代理決闘後に、ささやかに初勝利を祝った後に来たくらいで、呼ばれる程でもなかったが、こうして呼ばれたならば楽しむ事にした。


「そっか、けど遂に展覧試合に出たなんて……言ってよ、次は応援に行くからさ?」


何よりも、予選を見逃してしまったし、聞いてなかった。次は絶対に言って欲しいと、黄色の液体が注がれたグラスを神山に向けた。


「すまんな、色々あったからさ、試合まで1日だったし……」


ざくろの赤紫に染まるグラスを軽くぶつけて、神山は三木原と乾杯した。その横で、中井はため息混じりに立ち上がる。


「適当にぶらついてくる、音楽で頭おかしくなりそうだ」


「おー、気をつけて」


中井はやはり、根っこからこのような場所は苦手らしい。立ち上がり少し歩き、二階の手すりから下の踊る客達を眺めつつ、オレンジジュースをただ飲むだけとなりつつあった。


の、だが……。


「あのー、1人ですかー?」


「え?」


「お隣いいですか?」


そんな中井の両隣に、この店の女性コンパニオンが2人間髪入れず詰め寄ってきたのだ。


「あ、え?あの……」


「店長から聞いたんですよ、VIPさんでー、展覧試合の闘士って」


「お強いんですね」


神山は、なんとまぁ羨ましく、そして何より中井の慌て様にグラスを傾けてニヤニヤ笑った。明らかに年上の女性が、体を擦り寄せては笑顔を中井に向けて話しかけに来た。現世でも周りが皆、女すらも敵であった陰キャラと自己申告していた中井だが、こうして下着に近い露出ある大人な女性に猫撫で声ですり寄られたら固まってしまうものだろう。


「宜しかったらお話ししませんかー?」


「え、あ、僕はその……つまらないかと……」


「それは話しないと分かりませんよっ、いきましょう?」


2人の大人の女性に、左右から両腕を抱かれ、オレンジジュースも持ってもらって、中井はまたこちらに戻ってきた。赤面してカチコチになり、ぎこちなく、けどコンパニオンはキラキラな笑顔で中井と話をし始めた。


一瞬、中井が神山を見たが、神山は親指を突き立て、さらに人差し指と中指の間に入れた。それを見るや中井は余計にカチコチとなり、両隣の女性から逃げること叶わず、ひたすらに話をする羽目となった。




「マチダくん、君もこの店に通ってたの?」


「いや、僕は通って無いです……河上の行きつけで」


「ふーん、そうなんだ」


対して離れた所で町田さんが、スラムの酒場の主人の娘、フェディカさんとサシで対面して談笑していた。町田さんもキウイジュースでも飲んでいるのか、緑色の液体を煽りつつ、フェディカさんの顔色を伺っている。フェディカさんは……化粧にドレスと気合いを入れてきているが、町田さんがそれに気付かないのを少し気にしている様だ。


まぁ、町田さんも修行一筋女っ気なしが見えたし、そんなものだろう。というか、このTEAM PRIDEで女性に対して免疫あるの河上さんだけだわ。それを踏まえたら、あの時止めるべきだったかなぁと、その開催者たる河上さんを見ていると……。


「っしゃあ!まずは〜?このエバークリアを3本!3本入れちまうぜ〜」


「やー!すっごい、大丈夫なの!?」


「大丈夫だいじょーぶ!フルーツもジュースも入れて混ぜ合わせるから!そこに、こいつら!パイナップル、ストロベリー……オレンジと!」


何か、召喚儀式を始めそうな酒を作り出していた。ガラス製の壺?いや、水瓶か?そこにこの世界ではまず()()()()()()既製品じみた酒を左手に1本、右手に2本持って逆さまにし、ドボドボと入れて、スライスした果物たちを落としている。


「あぶっ、あー、目が染みる……よーし!じゃあこいつら入れていくぜー、ウォッカ3本!」


「ウォッカいれちゃうの!?」


「まだまだいくぜ〜、テキーラ!テッキールァ!3本!ラム3本!」


目が染みる酒を入れながら、女の子達の前で、何やら恐ろしい品物が出来ようとしている。これだけ見てしまったら、未成年ながら何をやらかしてるのか気になって、俺は立ち上がり河上さんの所まで歩いて行った。


「あー、河上さん?」


「そしてパイナップルジュースと……お!?神山くんも飲むか?」


「いや未成年ですし……ていうか、この酒の瓶……」


俺はテーブルで物々しい雰囲気を醸し出す、パイナップルの黄色の中に漂うフルーツを見て、傍に置かれた空の酒瓶を見て、怪訝な顔を浮かべた。


何故ならそれらは、明らかにこの世界には存在しない筈の『現世の酒』の瓶であったからた。整った形の瓶にラベルの英語、この世界の物は今入れているオレンジジュースと、漂うフルーツくらいだった。


「あぁ、これはこの店のバーテンダーの能力だよ、ユニーククラス"バーテンダー"指定した陣地内に、記憶と知識の中にある酒を転送できるんだ」


「いよいよもって、なんでもありじゃないですか」


自動防御、自動回復ならまだしも、酒を呼び出すユニーククラスとはこれいかに。仕入れとか税収とかどうしてんだと、現実世界の介入は他所に、ガラス製の大きな水瓶の中へ、河上は最後の仕上げとこれまた赤い不健康な甘い匂いのする液体を、ドバドバ入れていく。


「最後に……僕手製、ベリーベースのハワイアンパンチジュースをしこたま入れてぇ〜、かき混ぜれば〜……出来上がりだ、エピックジャングルジュース!」


そして錬成が終了した、出来上がった赤に染まる液体、漂うパイナップル、ストロベリー、オレンジ……漂う匂いはそれこそジュースの甘さが鼻をくすぐるが……微かなアルコール臭が危険を知らせて来る。


「さーて、神山くん?駆けつけ一杯は君が飲みたまえ!」


さて、悪い大人のお誘いが来た、河上さんが水瓶からお玉を使ってすくいあげ、ゴブレットに並々注がれたそれを俺に渡してきたのである。


現在、俺は16歳の未成年だ、お酒は20歳になってからが日本の法律である。かと言ってだ、興味がないわけではない。親父が偶の晩酌に缶チューハイやらビールやらを開けているのを見て、試しにと幾度か思ったが手は出さなかった。煙草にいたっては、両親が嫌煙家故に触れる事すら無かった。目の前の赤い液体を前にして、俺は躊躇いを見せる。


「い、いやだから未成年……」


「神山くん!大丈夫だ!この世界、シダト国での飲酒可能年齢は明記されていない!つまり君は今外国に居るのと同じ、ヨーロッパも飲酒が16歳からOKな国もある!即ち君はこの国から飲酒を認められているのだ!」


河上さんが最後の一押しを仕掛けてきた、国が君の飲酒を認めている!そう、国が『いいよ』と言っているのだ。そしてここは異世界、日本の法律など無いのだから、酒を飲む自由があると。


そう言われたら、国が認めているし、日本でも無いなら……俺は初めて、酒を身体に入れる事になった。ゴブレットに口をつけ、ゆっくり傾けて一口……。


「……あ、美味しい?いや、え!?うわっ熱うっ!?」


口に広がるベリー系フルーツのテイスト、それが喉を通った瞬間確かな熱となって、食堂から胃へと流れ込み、そのゴブレットを俺はテーブルに置いた。


「かはぁー……あぁー……な、なんですかこれ、甘いと思ったら、一気に身体を熱が」


「まーウォッカにテキーラにラム、さらにエバークリアも入れたからね!割合的にはフルーツが多くて甘いし飲みやすいが、度数は凄まじいよ!」


さて、酒の名称にてウォッカ、テキーラ、ラムに関しては僕も名前は知っていたが、エバークリアなる酒に聞き覚えが無かった。


「エバークリアって何ですか?」


「度数95%のアメリカのお酒だ、世界二番目のアルコール度数で、アメリカの田舎の学生が度胸試しわ安く少量で酔うために使う酒さ」


「き、95ぱぁ……」


世界で二番目の度数の酒に、ウォッカ、テキーラ、ラムを混ぜ合わせた酒、飲み口はフルーツにて甘く、悪酔いどころではない。まさか、初飲酒がビールやチューハイではなく、化け物じみた特製カクテルになろうとは、神山は火照りだす身体に酔いを感じながら、ゴブレットの中の特製カクテルを眺めた。


「まぁ無理するな、残していいしゆっくり飲め、さぁ!飲みたい人ー!」


「河上さん!一杯ください!」


「わたしもー!」


河上特製カクテルを前に、VIP席の相手をする女の子達が群がって来る、これじゃどちらがスタッフか分かったものじゃないが、河上さんは構わずゴブレットに注いで行った。


俺はこのまま、どうしたものかと取り残されてしまったので、せっかくだから下に降りてみる事にした。ゴブレットを片手に、階段を降りて一般ブースに降りて行けば、EDMのリズムに乗り踊り明かす客達と、あちらこちらのポールが立つステージで、艶かしいダンスを披露するダンサーが、もはや帰れない現代を思い出させた。


しかしだ、客層も若い……下は俺と同じくらい、上は20近くに見える男女も居る。現地人もちらほら見えるが、この店は召喚者ばかりなのだろうか?


となれば……今もあの城で、姫は召喚を繰り返し続けているのだろうか?


何故……俺達は召喚されたのだろうか?理由があるなら知りたいし、帰れるなら帰りたくなるものだ。特製カクテルを再び煽り、階段近くの手すりに体を預け、ダンスフロアを眺める。


「神山くーん、ナンパでもするのかい?」


そうしていると、上からニコニコと笑って河上さんが降りてきた。


「ナンパ……いや、ただダンスを見てて」


「踊るのかい?」


「踊れませんよ、こんな店自体が初めてですから」


ジムと学校の通い詰め、その他にも色々したが、遊びは無かった。いや、目もくれなかったの間違いか……友達が携帯ゲームで一面をクリアしている間にランニングして、友達とジャンクフード店で団欒している間にサンドバッグを打っていた日々だった。


「そうか、なら教えてやろう、ついでにいい子が居たら話しかければいいさ」


ならば、今ここで踊ろうと河上さんが先に歩き出した。俺は最初、えっ?と躊躇いを見せたが、河上さんが首をクイと動かして、有無を言わせてくれない。


「来なよ、ダンスの一つくらい覚えるのは簡単だろう?」

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― 新着の感想 ―
[一言] このカクテル作っている動画見ました。カクテル名ハンチパンチ。梅酒やかりん酒みたく長期保存が出来そうなカクテルですね。ギャグパートは長めがいいな~収拾が付かなくなっていくところを詳細にお願いし…
[一言]  とりあえず。  この機に乗じて闇討ちという『お約束』をかます輩はいるんでしょうか?  まぁコイツらの事だから、 「酔ってるからさ・・・・・・、手加減が効かねぇんだよぉ」  なんて言いそ…
[一言] 河上さん…なんて危険で旨そうなカクテルを創造するんだ。 町田さんや中井くんのグラスにもジュースのおかわりだと偽って注いでみたい。誰か酒乱はいないかな~
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