第37話
しっかりと準備をしなければ、レイブハルトを倒すことはできないだろう。
「オルフェ。何か計画があるのか?」
「まず、クレストの暗黒騎士を何とかしてレベルMAXまで上げる必要があるだろう?」
「ああ、そうだな」
レベルをMAXにすることで、万全の状態でレイブハルトに挑むことはできるだろう。
だが、それには新種の魔物が必要だ。
「そこで、考えたが……今は北の拠点に亜人たちもいないだろう?」
「……なるほど。今なら、さらに北のエリアの捜索ができるってことだな?」
「そうだ」
オルフェの言いたいことは分かった。
だが、それには、
「でも、今すぐにリビアの救出に向かわないと何をされるか分からない。悠長に魔物と戦っている暇はないだろ?」
「そうだな。だから、二手に分かれようと思っている。数人には北の新種の魔物を探して討伐を行ってもらう予定だ」
「その間に、俺たちは上界へと移動する、か。でも、そうなると今度はレイブハルトの軍勢と交戦したときの戦力的問題が出るんじゃないか?」
「そこは、問題ありませんわ」
エリスが口を挟んできて、視線を向ける。
「どういうことだ?」
「わたくしとクレストがいれば、上界の人間側を味方につけることができますわよね? 多少不甲斐ないとはいえ、上界にはたくさんの人間もいますし、それにミヌだっていますわ」
「……彼らと協力して、レイブハルトたちと戦う、ってことか」
「ええ」
確かに、彼らの計画は……闇雲にレイブハルトたちを追うよりもずっと可能性が高い。
エリスの後を引き継ぐように、オルフェが声を上げる。
「クレスト。皆にはもう計画を話している。最後は、おまえの判断に任せる。一人で戦おうとしなくてもいいんだ、クレスト」
「……オルフェ」
俺はオルフェとエリスの二人を見て、それから部屋の外へと向かう。
「皆に話したいことがある。すぐに、皆を集めてもらってもいいか?」
「ああ、分かった」
オルフェは笑顔を浮かべてすぐ、部屋を出る。
すぐにその後を追おうとしたとき、エリスがこちらを見てきた。
「クレスト……上界に向かうということでいいですのね?」
「ああ。リビアを助けるためにだ。……上界を守るために、じゃない」
俺の言葉にエリスは少し複雑そうな表情をしていた。
それは、一体どのような意味を持っていたのか、本心までは分からない。
しかし、彼女は俺が疑問への問いかけをするより先に、口を開いた。
「恐らくですが、レイブハルトたちは王都を目指して動きますわよね」
「そうなるな」
「それなら、わたくしが話をすれば王都までの足も確保できると思いますわ。わたくしは、一応クレストを連れ戻すため、というのを名目に下界に降りてきましたわ」
「……やっぱり、そうなのか?」
今となってはどうでもいいことではあるが、俺の予想は当たっていたということか。
しかし、俺の問いかけを否定するようにエリスは首を横に振った。
「あくまで、名目ですわ。……わたくしはあなたに会って、素直なわたくしの気持ちを伝えたかったのですわ。……そして、できるのならば、やり直したい、と」
「……エリス」
「ですが、それはもう難しいことだと……分かりましたわ。あなたには、もう大切な人がいて…………ですから」
そこで一度言葉を区切ったエリスは、うっすらと涙を浮かべながら笑った。
「わたくしがこれまでにあなたにしてきたことの罪への償いをできるのならば、なんでもしますわ。ですから、共にリビアを連れ戻すために……協力しますわ」
笑顔でそこまでの言葉を紡いだエリスに、余計な言葉は不要だろう。
「……ありがとう、エリス」
何の疑いの気持ちもなく、俺は心からの感謝をエリスへと伝えた。
外へと出ると、空はすっかり暗くなっていた。
レイブハルトと戦ってからかなりの時間が経ってしまっているのを理解し、同時に不安も抱く。
今こうしている間にも、リビアの身が危険に晒されているのだと。
外に出てすぐ、俺は感知術を発動する。
反応を見れば、村の中央に亜人たちが集まっているのが分かった。
そちらへと向かうと、いくつかの光がついていた。
ヴァンニャたちが作ってくれた魔道具だろう。
そこへと視線を向けてみれば、集められた各種族の亜人たちが集まっていた。
俺が歩いていくと、少し遅れて亜人たちがこちらへと視線を向けてくる。
視線のいくつか……ゴブリン種たちの視線を感じた俺は少し緊張する。
リビアを守り切れなかったからだ。
しかし、彼らから責めるような視線は感じられなかった。
そんなことを考えていると、オルフェがこちらへとやってきた。
「クレスト、これで全員だ」
小さな声とともにそう言ったオルフェに頷いてから、用意された壇上へと上がる。
それで、すべての視線が俺へと向けられる。
一つ咳ばらいをしてから、声を張り上げた。
「皆、こんな時間に集まってもらってすまない。相談したいことがある」
そう伝えると、皆の集中力が高まった気がする。
全体へと視線を向けてから、俺は言葉を続けた。
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