第24話
「つまり、この集団からの離脱も構わない、ということでしょうか?」
俺の言葉の意味を確認するように問いかけてきたリビアに、頷いた。
「ああ。さっきのスフィーやヴァンニャのように、上界に対しての恨みがある者もいるはずだ。それを止めるつもりはないってことだ」
これが決定として正しいかどうかは分からない。
ただ、俺は個々の意思も尊重したいと考えている。
皆が皆、俺に従順なわけでもないだろうしな。
「分かりました。それでは、私はゴブリンの皆に確認をしておきます。ですが、先に宣言しておきますと、私は上界には行きませんからね?」
にこりと微笑んだリビアに頷いた。
続いて、オルフェも声を上げる。
「オレもだな。ワーウルフたちに確認はするが、オレはここでの生活が好きだ。上界に対しては別に思い入れもない」
オルフェの言葉に、スフィーがこくりと頷いた。
「私もここに残るつもりだわ。上行っても嫌なこと思いだすだけだし。何よりクレストのためにも残らないと」
俺のため、という部分には引っかかるが、無視させてもらう。
俺はそれから、ヴァンニャ、ゴルガ、カトリナに視線をやる。
「三人はどうする? 別に無理に俺たちに合わせなくてもいいが」
「オレは、ここにいさせてほしい。ゴーレム種は下界で生まれ、下界で育った者しかいないからな」
「そうか。ヴァンニャは?」
考えるように腕を組んでいたヴァンニャに問いかける。
「そうじゃのぉ……わしは下に残るつもりじゃ。じゃが、もしかしたらわしの部下には上界に行きたいという奴もおるかもしれぬ」
「分かった。それに関しては別に止めはしないから大丈夫だ」
そういった気持ちがあろうが、別に差別するつもりはない。
何かをされれば、恨みを持つのは当然だ。
どの程度行動として出すかは人によって違うというだけだ。
「カトリナはどうだ?」
「私は残りたい。いい?」
「ああ、大歓迎だ」
答えると、彼女は嬉しそうに微笑んだ。
普段からあまり感情を表に出さないため、その笑顔で心からの言葉なのだと思えた。
そして俺は、最後にエリスを見る。
この中では、恐らく俺よりも上界に対して思い入れが強いだろう。
「エリスはどうする?」
「わたくしはクレストがいる場所に行くだけですわ」
しかし、彼女は一切の葛藤などなく、即答してみせた。
「いいのか?」
「ええ、もちろんですわ。わたくしは別に上界に何も思い入れはありませんもの」
「家族や友人はいる……だろ?」
「家族は嫌いですし、友人だって表面上の付き合いくらいしかありませんわ。わたくしが公爵家でなくなればなくなる程度の関係ですわね」
「……そう、か」
あっけらかんと言い放ったエリスに、スフィーが手を挙げて質問する。
「もしかしてエリスって、友達とかいなかったの?」
「友達と心から言える相手はいませんでしたわね」
「わーお、ぼっちということね」
「そう言われると少し気になりますわね。一応、公爵家の娘という立場に群がる虫はいましたわ」
虫って。
確かに権力に惹かれる人は多くいたと思うが、何もそこまで言わなくても。
「あー、貴族とかって色々大変そうね。なるほどなるほどー。つまり、私は友達第一号ってことでいいかしら?」
「友達……ええ、構いませんわ」
エリスは少し驚いたようにスフィーを見て、微笑を浮かべる。
エリスが驚いたのはきっと、損得勘定抜きの関係というのはあまりなかったからかもしれない。
俺もエリスもそうだが、常に貴族としての立場が付いて回っていた。
そういうこともあって、俺たちに親しくしてくる人たちには大体の場合下心があった。
……ある意味で、エリスはそういった部分から歪んでいったのかもしれない。
だからといって、俺をストレスのはけ口にするのはやめてほしかったが。
「やったー、じゃあ今日は一緒に寝ましょう」
スフィーが席を立ち、エリスに抱きつくと彼女は驚いたように目を見開く。
「と、友達というのは一緒に寝るものですの?」
「ええ、そうよ」
別にそうでもないと思うが。
戸惑った様子のエリスは、とても珍しい。
……そのまま、彼女の凶暴性がなくなってくれれば、平和に過ごせるだろう。
「それじゃあ、話は以上になる。また何か分かれば、皆に伝えるからな」
俺はそれだけを言って、今夜の会議を解散させた。
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