表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ネコと私  作者: 昼行灯
魔法の一族編
60/143

059:炎の姫君

ゴブリンの迷宮行き馬車の中はガタン、ゴトンッと派手に揺れる

「痛って、くっそ、下手糞が!」

御者に聞こえないように悪態をつく、ケツがいてえ

「ゴブリン狩るより馬車に乗ってるほうがダメージでけえよな」

「たっくだな」

「貴族街の馬車に乗りてえぜ!」

もうすぐ到着だとわかっているので口数が増える


今日こそレアなアイテムをゲットするぜ!

既にレベル15になったPTにとってゴブリンなど雑魚に等しい

着いた後の問題は、最下層の4Fボス部屋の順番待ちだけだ


「今日は早めに来たんだ、5回は周れるだろうさ」

「金が入ったら装備を新調するんだ!」

「バカかお前、俺は冒険者辞めて店開くぜ」

「なあ、奴隷買おうぜ?」

「え、まじかよ、それもいいな」

いつもの会話だ、いったい何回目だろうか


ゴトンッ!

大きな揺れの後に、馬のいななきが聞こえる

「着いたな、行くか!」

速攻で4Fまで降りボス部屋に挑戦しないとな

外していた装備を着け、馬車を降りる


いつもの停留所じゃない、迷宮より相当前の道で停まってやがる

くっそ、御者の奴適当な仕事しやがって!

文句を言おうと振り向いた先に、何かか見える



赤だ、


それは血の色であり、全てを焼き尽くす火の色


その赤は馬車の形をしている、、、赤い馬車


そこにたなびく旗には、炎をかたどった紋章がある



「まじかよ、火の一族が来てんのかよ、、、」

「バカッ、あれをよく見ろ、炎だ」

「まじかよ、、」

「帰るぞ!」

「あ、ああ」


急いで戻る先には、先程の馬車が待っていてくれた

散々文句を言っていた御者が今は天使に見える、惚れそうだ!



今日はついてない、皆押し黙る中まだ日の浅いやつが聞いてくる

「なんで迷宮潜らないで帰るんだ?」

「見ただろ、火の一族が来てたんだ、潜れるわけ無いだろうが」

「貴族だろ?、火の一族ってことは火魔法の専門家がそろっていると言うだけだろ?」

別に問題ないじゃないかというアホに説明してやる


「殺されて迷宮に捨てられんだよ」

「は?」

「だから、邪魔な冒険者は、殺されて迷宮に捨てられんだよ」

「なんだよそれ?」

「貴族ってだけで滅茶苦茶な奴らだけど、あいつ等はその中でも別格なんだよ」



魔法の四大元素、火・風・水・土に特化した魔法の一族


その目的は魔法を極める事


魔物を殺しレベルを上げ魔法スキルを上げる

戦争で人を殺し魔法スキルを上げる

同属性の魔法スキルを持つものと婚姻し血を濃くする

一族で才能の無い者は捨てられ、才能のある者は英才教育を受ける

一般人でも才能のある男は一族の分家として迎えられ

女は更なる才能を作り出すためにあらゆる手段を用いて迎えられる


火は、炎へ

風は、雷へ

水は、氷へ

土は、鉄へ


更なる高みを目指す者達


求めるものは力、信じるものは力



「元が貴族じゃなかった奴らだから何でもありなんだよ、風と土の一族は貴族になってから大人しくなったみたいだけど、火と水はそれぞれの血族で炎と氷のスキルを持ったやつが出たこともありお互いどちらが最強かとか反発しあいながら抗争中なんだ」


「さっきのはおそらく炎のスキル持ち血族の令嬢だ、最近貴族街のギルドに所属したらしい、まだレベルは低いが火魔法のスキルが高く上手くいけば炎魔法まで行くんではないかと期待されているらしい」


「なんでわざわざ冒険者になったんだ?、貴族なら自分の領地に迷宮とかあるだろう?」


「これがまた、あっちのギルドに勇者が登録に来たらしいんだが、火魔法と光魔法持ちとかいうとんでもないのがいるらしい、スカウトというか旦那様にしようと思ってんじゃないか、とかな」


「貴族街ギルドってこえーな、かかわりたくねー!」

「ああ、まったくだ!」


「そうするとやっぱりあれか、4Fの光魔法狙いなのかね?」

「だろうな、レベル上げも兼ねてだろうし、しばらくあそこには行けないな」

「まじかよー、奴隷欲しかったなー!」

「だなー!」

「今日は昼からヤケ酒だな!」

「金無いぜ?」

「まじかよー」

ケツの痛みに耐えながらバカ話に花を咲かせる冒険者達





ゴブリンの迷宮:

「フレイア様、魔法陣が消えました」


「そう」

面倒くさそうに返事をし席を立つ

メイド達がその歩みの妨げにならないように装備を整える


火のローブと火のレイピア、そして、既に着用している火の衣

装備により火のセット効果が発動する、MPとINTの上昇

そして、火系統魔法の威力上昇


扉の前には、戦士が2人と狩人が1人

「行きます」


フレイアを先頭に戦士と狩人、そしてメイドが1人付き従う


背後で扉が閉まり、魔物が湧く

「フレイア様、ヒーラーとメイジがいます」

湧くと同時に、メイドが一瞬で敵の情報を判別し報告をする


「当たりね」

3回目にしてやっと出た魔物に、嬉しそうに微笑むフレイア


たったの3回でレアを引き当てる強運を指摘するものはいない


「戦士2人で敵全てを一箇所に集めなさい、狩人はサポート」

指示を出しつつレイピアを抜き放ち精神を統一する


その細長い刀身には刃がついていない

装飾品としてのものか、突く事のみに特化したのか

その刀身が赤く輝き出す


動き出す前に突っ込んでいった戦士が敵を巧みに誘導しているが


しかし、ゴブリンリーダーがいることで敵も連携をしている

なかなか上手く一箇所に集めきれない

「狩人、ゴブリンリーダーと刺し違えなさい」

「あ、う、、はい」

抵抗しようとしたようだが隷属の効果により忠実に命令を実行する

剣に斬られながら短剣でゴブリンリーダーを刺す狩人

短剣の一突きでは魔物は死なない、そのまま抱きつき倒れこむ


敵の連携が乱れ、戦士により部屋の奥に押し込まれる魔物達

眩いほどの輝きになっていた光が剣先に集まりだし

「ファイアーボール!」

ヒュンという音と共に、戦闘をしている集団に向かい剣を振る

人の頭ほどの大きさの火の玉が戦士に向かって飛んで行く

「あ、あ、助けて、、」

「フレイア様、やめ、て」

自分達に向かって飛んでくるそれを絶望の眼で見つめる戦士達

「そのまま戦いなさい」

奴隷の戯言など相手にしない


ズガァァァン!


戦士ごと魔物が吹き飛ぶ

迷宮探索のために購入した彼女達だが換えはいくらでもいる


フレイアのレベルが上がった!


生き残っている人数が少ないほうが経験値効率がいいのだ

フレイアにとって彼女達の命より経験値のほうが重要だ


ただそれだけの理由




宝箱と魔法陣が出現する

「あ、狩人がいないわ、使えないわね」

罠の解除をする者がいない事に気づく

「わたくしが」

影のように後ろに控えていたメイドが罠を解除する

「貴女ほんとに有能ね」

メイドを見ながら優しく微笑む


「フレイア様、巻物が出ました」

「あら!、けど鑑定できる者がいないわね」

希少スキルである鑑定持ちは少ない

代わりに未鑑定品専用の使い捨ての鑑定の巻物と言うのもあるが

非常に高価でそうそう市場に流通しない


「鑑定を待つのも面倒だし、使ってしまおうかしら?」

「フレイア様、おやめくださいせめて解呪の出来る場所で、」

巻物なので使用する事で呪われ、装備が外れなくなる事はないが

しかし、使用する事で呪い自体には掛かる可能性がある


有能な彼女が、目の前に傅き意見をする

そんなメイドを妖しく微笑みながら見下ろし、レイピアを抜く

「私に意見をするの?」

ジュッ!、と言う音と共に肉の焼ける臭いがする

「申し訳ございません!」

平伏するその背に赤い刀身のレイピアが押し付けられている

ジ、ジ、ジジと焼け過ぎた音と焦げた臭い


よく見ると彼女の肌には幾つも引き攣れがある

回復魔法がある世界だが、重度の損傷を修復するためには

高レベルの回復呪文が必要になる


貴族である炎の一族は、当然高位の光魔法持ち僧侶を雇っている

それでも完全に治せないほどの損傷


骨まで達した炎に満足したのかレイピアを鞘に収める

「今日は帰ります」

少し上気した声で扉の外でその光景を見ていた者達に伝える


回復を、、動かすな

早く、死にそうだぞ!


彼女は有能だ、もし死んだなら蘇生させよう

死ぬと隷属の呪縛が切れてしまうから再度の施術が必要ね


彼女の声を上げずに我慢する姿が気に入っている

思わず必要以上に痛めつけてしまう


どうせなら一族への隷属でなく私への隷属にしようかしら


ああ、気分が良い



レベルが10を超えたので管理迷宮と云う所にいけるようになる

冒険者も雇いなおさないといけないわね


今度はもっと長持ちする物がいい

平民の冒険者は面白くない、女性にしたが汚らしいし壊しがいが無い

やはり隷属させるなら貴族に限る、ああ勇者もいたわね

しかし、イレーヌ様がいなくなるまで手は出せない、もどかしい


あ、


そういえば風の一族の者が冒険者にいた、女みたいな奴だったわね

「ふふふ、名前はなんだったかしら?、ウィム?」


どうやって隷属契約を結ばせようか?

「隷属させたらメイド服を着せて女として扱いましょう、倒錯的ね」



仲間に平民がいたわね、その辺りから、、ふふ、楽しみね




ああ、


その前にランクアップ試験というのがあったわね

--------------------------------------------------------------------


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ