042:必殺完
もうすぐオークの迷宮に馬車が着く
どうしようかな、考えながら大地の守りを発動する
対象のHPとVITの量に応じて一定量のダメージを肩代わりしてくれる
効果時間が長いので今発動していてもダメージを受けて消えない限り
大地の守りの効果は数時間は持つ
風の守りと自動回復はまだだ、効果時間が数分しかない
風の守りは受けたダメージを何割か軽減してくれる
自動回復はスキルのHP回復と同じだ、一定時間毎にHPが回復する
俺は既にHP回復5がある、これに自動回復がプラスされる形になる
どういう計算かは解らないが、大体10秒で最大HPの1割回復する
この必殺さんは、殺気による攻撃をする事で相手に恐怖を植えつける
攻撃を避けられないと言う意識を植え付けられると実際の戦闘時に
無意識に体が萎縮し本来の力を出せない
頭と胴を一撃で切り離させられなければ、どうとでもなる
スキルも固有スキルで居合いとかだろう、どうせ強奪できない
今殺すか?
違う、ずっと殺気に晒されてるから気が立っているな
ここで殺したらただの殺人者だ、同乗している冒険者と御者が居る
ギルドに報告されたら冒険者の資格を剥奪されるだろう
じゃあこいつ等も殺すか?、それこそただの殺人者だ
馬車が戻らなければ捜索されるだろうし遠からず事実が判明する
必殺が今殺気だけ放っているのも同じ理由だ
オークの迷宮に入ってから殺るか?
同じか、冒険者達に見られることになる
さすがに証拠が無いといっても目撃者が居たらダメだろう
俺が殺された場合、おそらく必殺は冒険者達も殺す
一緒に居ないほうがいい
「なあ」
必殺に声をかける、そういえばこいつの名前知らないな
「なんだ?」
殺気と共に返事が来る、首を斬られた
「俺、金持ってないし装備も別にマジックアイテムじゃないんだが
なんで標的になったんだ?」
必殺が同乗している冒険者達をちらりと見る
「...なんでだろうな?」
聞くタイミングが悪かったか、見る限り依頼されたみたいだが、、
もう着く
空気がピリつく
冒険者も外に居る御者も己が殺される可能性が有るのをわかっている
冒険者達にも大地の守りを掛ける、魔法使いからだ
「!」
気づいたよな、PTなんだからお前らだけのサインがあるだろう?
リーダーらしき人にも掛ける、驚いた顔で魔法使いを見る
正しい反応だ、魔法効果が掛かった場合自分のPTの仲間を見るよな
冒険者PTで無言の打ち合わせが行われる
魔法使いがこちらを見てうなずく
うん、うなずかれても何をするか全然わかんね!
まあ、なにかアクションを起してくれればいい
他の冒険者にも大地の守りを掛けていく
馬車が止まる
扉に近いのは、俺と、必殺、扉を挟み対に座っている
「お先にどうぞ?」
必殺が嗤いながら言う
風の守りと自動回復を掛け、扉を
「おっと、お先に失礼する」
冒険者PTの盾持ちが割り込んでくる、いいね!
すっ、と先に扉を抜ける
「チッ!、邪魔だどけ!」
殺気が飛ぶ、、さすがに剣は抜かなかったみたいだな
ダッシュ!
走る!
馬車を降りたと同時に全力疾走だ!
おっと、まだ朝なのに帰りの馬車待ちPTがいる泊り掛けか、いいね!
俺が逃げた後、腹いせに皆殺しを心配したが、この人数だと無理だな
おおぅ、追っかけてくる、走る必殺!
頑張れ!
次元の迷宮:
軽い浮遊感と共に景色が変わり、目の前に魔物が居る
むくむくむく、なにかが起き上がる
「ぎゃー!」
鑑定するまでも無い、オークの迷宮だ
「おのれ、フジワラぁぁぁ爆炎!」
クロの魔法で消し飛ぶ、え、ここって藤原君の迷宮なの!?
「出ようかー」
「うむ、フジワラめ許すまじ!」
なんかテレスさんから藤原君の情報が入ったのです
女性に興味が無いとか、オークが大好きでオークの主と言われてるとか
何故か判らないけどクロ的に藤原君、小僧からフジワラに格上げみたい
格上げだよね?
「クロ、いくよ転移!」
景色が歪み、軽い浮遊感と共に、、
一気に引き離してもよかったが、都合がいいので距離を保つ事にする
必殺が見失わないように走る、頑張れ必殺!
ピンチを演出して知ってる事を聞き出したいのだが
実際のところ必殺の本当の強さを判断しかねる
持っているスキルが居合いと言うのも俺の予想だし
他のスキルの可能性も複数持っている可能性もある
もうすぐ次元の迷宮についてしまう
しょうがない、危険はあるが裏を知っておきたい
必殺を少し離れた場所へ誘導する、このあたりでいいか
待つ、、
「追い、はー、かけっこは、はー、終りか?、はー」
うーん、息を整えてから格好つけろよ?
「さっきの話の続きがしたくてな」
ここなら誰も居ない、あ、俺も疲れた振りしとけばよかった
そうすれば、逃げられないと観念してピンチと言う状況が出来たのに!
「俺からは、逃げられないと観念したのか?」
そうそう、それ!、まさにそれ!
「ああ、もう走れそうに無いぜ、はー、はー、はー!」
にやりと嗤う必殺
背後が光る、ん?
後ろを振り返ると、楠木とネコ
「あれ、藤原君?」
おおおお、楠木!、白いローブが似合ってるな、可憐だ!
「きさまぁぁ!、成敗だ!、爆縮!」
火の矢が飛んでくる!
なんだ、火の矢にしては魔力がおかしくないか?
「ちょ、クロなにしてんの!」
楠木が慌てて手を振っている、なんだ?
「うお!」
体が勝手に横に動く、というか引っ張られるなんだ!、楠木か?
火の矢が俺の横を通り過ぎて行き
「ふ、その火の矢、死んだぜ?」
必殺が目にも留まらぬ速さで剣を抜いたのだろう、火の矢が、、
カッ!、ドドドド!
一瞬爆発し広がった後、爆発が一定範囲内で内側に向かって起こる
なにあれ?、やばくね?
あたったら俺必殺だったよね?、やばくね?
必殺さんが必殺されちゃったよ、何も聞いてないのに、、、
「あの、、」
楠木が申し訳なさそうに声をかけてくる
「今の人って、知り合い?」
ああ、そういうことか
「俺を狙ってた殺し屋だな!」
ふっ、殺し屋に狙われるなんて、俺かっこいい!
「え?」
「リン、殺し屋に狙われるような奴は殺すべきだ!」
あれ?
休憩中:
「藤原君、なにか命を狙われるような事したの?」
私は女と言うことと光魔法使えるのもあり、色々あるけど
そういえば藤原君も光魔法使えるっけ
「心当たりは無いんだが」
まあ、俺は自覚無く敵を作ってしまう事は自覚してるが
「うーん、心当たり無いならスキル強奪かなあ、誰かに話したか
知らない間に鑑定でばれたか、そんなところかな?」
今鑑定したけど、藤原君鑑定された事に気づいてない
鑑定はINT判定で阻害出来るみたいだけど、INT65だもんね
カーサでも鑑定出来ちゃう、というかすでに鑑定してたっけ
「あー、そっち系かあり得るな、魔法とかコンプしてるし」
俺、すごくね?
「あー、うん、そうだね、空間魔法っていうのが無いけどね」
「なにそれ?」
「宝箱の開錠とか転移とか出来る魔法だね」
「なにそれー!」
俺、恥かしくね?
「それで、、、クロ謝らないとダメだよ?」
フードの中で不貞腐れているクロに言う
「つーん!」
拗ねている
「もー!」
フードからクロを取り出す
「はーなーせー、リーンー!、じたばた!」
じたばたしている
(何であんなことしたのさ?)
念話で聞く
(リンを見て嬉しそうな顔をしたからムカついた、後悔はしていない!)
もー、それって嫉妬なの?
(じゃあ、反省はしてね?)
(むむ?)
「不本意ながら謝罪する、感謝するように!」
私の頭の上に乗って藤原君を見下ろしながらクロが言う
(クロ、ちゃんと謝らないとダメです)
頭から降ろして頭をひと撫でする
「ごめんなさい?」
何でこっち見て謝ってるの?
「別にいいさ、楠木が助けてくれたしな」
藤原君がクロを無視して言う、わかったんだ鋭いね
こちらを見てにこりと笑う、あれ?、笑顔見たの始めてかも
「リン、殺意の波動に目覚めそうなんだが?」
クロから禍々しいオーラが立ち昇る
ちょ、なにそれ?
なんか無言で睨みあってるんだけど、なんだかなあ
「クロ、肉串食べる?」
「くれくれー!」
ちょろいな、クロ君!
藤原君にも振舞う、クロのお気に入りの店の肉串です
「お、美味いな、これって貴族街の高いやつか?」
「違うよ、貴族街出たとこにある出店のだよ、今度教えてあげるね」
「お、おう!」
「却下だ!、肉が汚れる!」
クロ、藤原君の地位格上げしたんじゃなかったの?
「楠木も次元の迷宮潜っているのか?」
藤原君が聞いてくる
「うん、他の冒険者に会わないで済むから丁度いいしね」
「不許可だ!」
クロが不許可を出す、ん?
「よければ一緒に潜らないか?」
藤原君がクロの発言をスルーして言ってくる
「リン、こいつはこの前リンに裸を見せたいとか叫んでたやつだぞ!」
あ、そういえばそうだった
「は?、なんだよそれ、そんなこと叫んだことねーし!」
「ホモのくせにリンにちょっかい出すな、ホモワラ!」
「ホモじゃねーし!」
「じゃあ、よけいダメだバカワラ!」
「バカじゃねーし!、俺は紳士だから変なことしねーし!」
「変態紳士か!、よけいダメだ!、とりあえずしね!」
「変態じゃねーし!、しなねーし!」
なんか、仲良いよ、、、、ね?
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名前:楠木 凛 種族:人族 性別:女 年齢:16
レベル:7
HP:130/130 MP:240/240
STR:75 VIT:90 DEX:75 MND:90 INT:240
スキル:(特殊)言語翻訳、アイテムボックス、鑑定
(技) 罠解除1
(魔法)召喚魔法(式神)、空間魔法2
火魔法1、水魔法2、雷魔法1、土魔法1
光魔法3、闇魔法1
(自動)HP回復
装備:普通の服、偽りの宝石、魔法の鞄
聖なる糸 :HP50、VIT25、MND25、HP回復
白のローブ:INT20
素早さの靴:DEX10
魔力の腕輪:MP20
力の腕輪 :STR10
金貨:24225
使い魔:クロ
スキル:(魔法)火魔法3、風魔法2、土魔法1、光魔法2
(自動)HP回復
名前:藤原 秀平 (フジワラ ヒデヒラ)
種族:人族 性別:男 年齢:16
レベル:7
HP:80/80 MP:65/65
STR:65 VIT:65 DEX:65 MND:65 INT:65
スキル:(特殊)言語翻訳、アイテムボックス、スキル強奪
(武技)剣術2、弓術1
(技) 隠密1、罠解除1
(魔法)火魔法3、水魔法3、風魔法3
土魔法3、光魔法2、闇魔法1
(自動)HP回復5
装備:普通のローブ
金貨:160
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