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ネコと私  作者: 昼行灯
新人冒険者編
21/143

020:盗賊さんがみてる

闇の中にランタンの灯が揺れる


ガチャ、ガチャ、と鎧が音を立てる


今日はやけに静かだ、、いや、静かすぎないか?、虫の声さえしない

領主様は風情があるというが、あれはただの雑音だろう

しかし、そうか、こういうときのために、、、侵入者か


「おい、」

相棒に声をかけつつ、ランタンを壁にかける


返事がない?、振り返る、ただの屍が転がっている

「は?」

鎧の隙間からわき腹に何かが刺し込まれる感覚がある、冷たい!



黒く塗られた皮鎧、屍のわき腹から抜かれる短刀も黒い

「...」

無言の合図と共に闇に消える者達、何人いるのか


暫くすると先ほどとは打って変わり、虫の大合唱が始まる

演奏会の開始が遅くなったからか、今日は奏者が減っている

さっきまで独奏していたガチャ、ガチャと鳴く虫がもういないのだ




寝室、ベッドの上で規則正しく上下する胸に短刀が刺さる

黒い刀身にはなにやら液体が塗ってある、毒であろうか

「?」

刺さらない、どういうことだ?

「大地の守りだ、短刀程度の攻撃力じゃダメージはとおらん」

剣を抜くこちらも黒い、闇の中での認識は難しい


「さすがにそれでは、殺られてしまうな、、、動くな」

暗殺対象のそのような命令を聞く暗殺者がいるのだろうか?


「3人か、今回はずいぶんと本腰を入れたな」

いたらしい、部屋に転がる暗殺者3人と1人が冷めた目で見つめ合う


「転ぶ気はあるか?、金、女、欲しいものをやるが」




執務室:

「終わりました」

黒いローブを着た男が報告する、先ほどの男だ

「そうか、依頼主は?」

特に興味がなさそうに領主が尋ねる

「わかりませんでした」

こちらも申し訳なさそうな感じがない

「そうか、使えそうな奴はいたか?」

「いえ、皆死にました」

「今回のは手練だったのであろう?」

領主が、意外そうに尋ねる

「ええ、しかし洗脳できるものがいなくなってしまったので、」

先日、兄弟弟子の闇使いが消息不明になっている

「魅了使いか」

手駒とするための洗脳は複雑な手順が必要になる

隷属させてもいいのだが、結局それにも魅了が有効だ

「その場には、高弟もいたはずですが、、」

組織ではローラン王フレデリックが動いたと見ている

国内部を順調に侵食していたある計画が白紙になった


「少し遊んできてくれ」


今回の情報をくれた者達の手伝いをすることになった

貴族の子女を誘拐するらしい、くだらないことを、、




ゴブリンの迷宮:4Fボス部屋


初心者の迷宮であるここだが、4Fボス部屋だけは顔ぶれが異なる


ボスは、倒してから一定時間後に再度ポップする

見分け方は簡単で再ポップ時、脱出用の転移魔法陣が消えるのだ

よって複数のPTがかち合った時は先着順で挑戦となる

討伐後は宝箱を開け転移魔法陣で脱出すれば、ボス部屋の扉は開き

転移魔法陣が見え次のPTが消えるのを確認してから入ればいいのだ


なぜ4Fだけ初心者以外の冒険者もいるかといえば、レアボスだ

レア時にゴブリンヒーラーが混じるのだ、光魔法である

僧侶からの直接ドロップと宝箱からの巻物取得、共に出にくいが

光魔法の巻物のドロップ確率が加わるのだ

「光魔法の巻物:回復」だけでも当たりだ、回復魔法が使えるだけで

生活に困らないのだから、自分で使ってもいいし売ってもいい

冒険者を続けなくてもいいだけの金額が入る


「君達はここは初めてなんじゃないのかな?」

順番待ちをしている冒険者PTに声をかけるものがいる

「はい、実はそうなんです、ちょっと緊張してます」

声をかけてきた者の気さくな感じと誠実そうな顔に、つい本音が出る

彼女がリーダーらしい

「ちょっと、なにいってるのよ!」

気の強そうな娘が、間に入ってくる、槍使いかな?

「よかったら、手伝おうか?」


一攫千金を狙う中堅冒険者にとってはどうということはないが

初級冒険者にとっては、敵のPTに僧侶がいることは絶望的だ

敵を倒さない限り回復してしまうのだから

ボス部屋を早く周回したい中堅冒険者には、並んでいる初心冒険者に

声をかけPTに入り効率を上げる者もいる


大抵は断られるのだが、


「僕以外の男は必要ない!」

唯一の男冒険者が、反対してくる

「ちょっと君はだまってて」

「あんた、一番役に立ってないのになにいってるのよ?」

仲良し3人組というところか、両手に花だな

「光魔法がドロップしたときだけ、分け前を等分にしてくれればいいよ

 他はいらない、それに罠解除もっているよ」

罠解除が決め手になったらしい

「よろしくお願いします!」

「よろしくね!」

「僕以外の男は邪魔なだけなのに!」


俺の加入で緊張がとけたのか、楽しそうに話している彼らを観察する


リーダーの子は、引き締まった体に赤髪のショートが似合う娘だ

皮鎧で隠れているが、その胸は平均以上だろう男好きのする体だ


ちょっと生意気な子は、槍を持っていたが魔法も使うらしい

茶色の緩くウェーブの掛かった髪を後ろでまとめている

きつめの目が被虐心をそそる、、おっといけない


男は、まあどうでもいい


久しぶりの獲物だ


ボス部屋に入る、残念、通常ポップだ

火の矢を詠唱しだしたゴブリンに矢を射る

「君達は3人で戦士系をやって」

残りのゴブリンにも牽制の矢を放つ

「はい!」

「わかった!」

「僕は1人でやれるのに!」


「じゃあ、宝箱開けるから離れててね」

問題なく敵を倒し宝箱の解錠にかかる

「鉄の剣」「?巻物」

おいおい、未鑑定の巻物が出やがった

「え?、巻物」

「凄いじゃない!」

「僕達のものだからな!、お前にはやらないぞ!」


「ああ、そういう約束だからね、おめでとう!」

心底祝福してるような笑顔を向ける

「あ、ありがとうございます!」

ちょっと悩みながら礼を言ってくるリーダー娘

「ありがと!」

これがある勇者が言っていたツンデレってやつか?

「ふん!」

もう少し心を大きく持ったほうがいいな


「じゃあ、後ろもつかえてるし転移しよう」

脱出用転移陣に乗り迷宮を脱出する、軽い浮遊感の後に景色が変わる


合図を送る


なにやら相談している彼等に近づき話す

「お疲れ様」

「あ、はい、お疲れ様です」


「あの!」

「ん?」

「相談したんですけど、この巻物は売るので4分の1の金額を

 受け取ってください」

「まってよ、僕は反対だって!」


「ああ、いいよ俺は君達を貰うから、自動的に巻物も俺のものだし」

「え?」

何を言っているのか理解できていない赤毛の子

「なにいってるのあんーーー」

途中から声が出なくなるウェーブの子

「彼女達は僕のもの、だ、え?」

俺の矢が胸に刺さってるのを不思議そうに見ているガキ


「なかなかの上玉じゃねーか」

赤毛の子の剣を叩き落し、地面に組み敷いている男

「槍と魔法とは、高く売れそうですね」

サイレスで喋れなくなったウェーブの子に剣を突きつけながら話す男

「途中でこいつに切れそうになって大変だったぜ」

動かなくなったガキを蹴る


「こいつらあのガキとやってたみたいだぞ」

「ああ、マジかよ中古かよ!」

「別にいいだろ、冒険者としても価値があるんだからよ」

運搬馬車の中、幼馴染の男の子の死と今の状況を拒絶しようとした結果

現実から逃避している娘達、それを蹂躙しながら話す男達


「そういや今度貴族の娘をやるらしいぜ?」

「ああ、聞いたぜ、相当な上物らしいな」

「伝で闇使いも呼んだらしいぜ」

「行方不明なんじゃないのか?」

「魅了じゃなくて、呪縛のほうみたいだぞ」

「じゃあ、俺達出番ないじゃないか?」

「捕まえてからが俺らの出番だろ」

絶望と現状逃避から笑い出した娘を黙らせ蹂躙を再開する男

「お前それ壊れちまったんじゃねーか?、駄目だろ」

「だな、お前はやり過ぎるから次のやつ捕まえても出番なしだな!」

「そりゃひでーよ、ちくしょうお前のせいだぞ!」

気を失っている娘の頬を叩き意識を覚醒させ、蹂躙する

「たす、けて、」

俺に助けを求めてくる

「助けてだってよ?」

「信頼されてるねえ」

「ははは、ここに救いなんかないぞ?」

直接俺が蹂躙してやる、いいねその目、たまらないな!






スライムの迷宮:

「迷宮久しぶりだな!」

クロが肩の左右を行ったり来たりする、私の髪をくぐるのが好きみたい

だから短くしちゃダメって言ったんだね

「んー、そうだね」

頬に頭をぐりぐり押し付けてくる、もー、興奮し過ぎだよ

「キングスライムにリベンジだ!」

「別に負けてないじゃんか」

「ふふふ、我の新しい暗黒爆炎魔法で瞬殺なのだ!」

「火魔法2を試したいだけなんだね」

「ちがう!、極炎究極魔法だ!」

「さっきといってること違うよ!」



とことこと迷宮に入っていく少女を見つめる目

「ボスに連絡をしろ!」

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名前:楠木(クスノキ) (リン) 種族:人族 性別:女 年齢:16

レベル:3

HP:40/40 MP:180/180

STR:35 VIT:25 DEX:35 MND:25 INT:150

スキル:(特殊)言語翻訳、アイテムボックス、鑑定

    (技) 罠解除1

    (魔法)召喚魔法(式神)、水魔法1、光魔法2


装備:普通の服

   緋色のローブ:MP20、INT10

   素早さの靴:DEX10

   魔力の腕輪:MP20

   力の腕輪:STR10


金貨:180


使い魔:クロ

スキル:火魔法2、風魔法1

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あけおめです、新年早々の強敵登場、はたしてリンとクロの運命やいかに!

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