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第14話 強面騎士はデートに誘われる


「では、一週間後にデートをしましょう」

「いきなりですか?」


 提案に驚いてしまう。

 お互いのことを知ろうという話だったはずなのに、デートとは急な話である。


「カフェでのんびりと話すのは悪くないですが、ウルス様は苦手でしょう」

「うっ」


 イザベラ嬢の指摘は図星だった。

 カフェのようなオシャレな雰囲気の店はあまり得意ではない。

 女性っぽい空気自体が合わないし、周囲から恐怖の視線で見られるのが確実だ。

 その店の雰囲気を壊さないため、あまり近寄らなかった。


「まあ、ウルス様が甘いものをお好きでしょうから、商品をお持ち帰りして屋敷で食べましょう」

「なんで知ってるんですか?」


 なぜか俺の秘密が知られていた。

 俺の副団長という肩書きを守るため、隠していたはずなのだが・・・・・・


「一週間もあれば、それぐらい調べられますよ。侯爵家ですから」

「・・・・・・すごいですね」

「まあ、先程団長様から聞いただけなんですけどね」

「・・・・・・」


 感心した俺が馬鹿だった。

 簡単に俺の情報を流す人が近くにいるのを忘れていた。

 俺は恨みがましく団長を睨む。


「おいおい、敵を見るような目はやめてくれよ」

「勝手に俺の秘密を漏らしておいてですか?」


 明らかに悪びれていない様子に追求する。

 しっかりと文句を言うべきである。


「可愛いお嬢さんに聞かれたら、答えちまうのが男ってもんだろ? しかも、大事な部下と仲を深めたいんなら、手助けするのが優しい上司だろ」

「顔に「面白そう」って感情が見えていますよ」

「否定はしない」


 ある意味清々しい反応である。

 まあ、やられた側からすれば、たまったものではないが──


「とりあえず、奥さんとエリスちゃんに告げ口はしておきますよ」

「おい、それは卑怯だろっ!」


 ぼそっと呟いたが、団長はしっかりと聞き取った。

 そして、文句を言ってくるが、俺は無視をする。

 せいぜい怒られて、嫌われればいいんだ。


「あの、エリスちゃんとはどなたですか?」


 そんな俺達の会話を聞いて、イザベラ嬢が質問してくる。

 いくら俺のことを調べたとしても、流石にエリスちゃんのことまでの情報はなかったようだ。


「ああ、俺の娘だよ。とても可愛くてな」

「そうなんですか? お母様に似たのでしょうね」


 イザベラ嬢は言外に団長が強面だと言っていた。

 まあ、たしかにエリスちゃんは母親にである。

 それは団長も理解しているのか、否定することはなかった。


「小さい頃から俺の顔を見ているおかげか、なんとも怖いもの知らずでな。こいつの顔を見ても、まったく怯えないんだよ」

「指を差さないでください」


 いくら説明のためとはいえ、人に指を差さないで欲しい。

 掴もうとするが、あっさり避けられてしまう。


「・・・・・・もしかして、ウルス様と長いお付き合いが?」

「こいつが入団したときからだから、もう5年の付き合いだな。本当の兄妹のようだと近所でも評判だ」


 イザベラ嬢の質問にあっさりと団長は答える。

 たしかに5年の付き合いで、騎士団内や団長の家のご近所さんからはそんな風にからかわれたりする。

 あながち満更でもないが、一つ反論したい点がある。


「このおっさんの子供扱いされるのは気に食わないですけどね」


 俺が強面なせいか、団長の息子に間違われることも多い。

 「お父さんに似てるわね」とご近所さんに何度言われたことか。

 エリスちゃんに「お兄ちゃん」と呼ばれている姿が誤解に拍車をかけていた。


「俺に取っちゃ騎士団の部下共は子供も同然だ。しょっちゅう文句を言うこいつは反抗期の子供だな」

「誰が反抗期の子供ですか。そもそも団長がだらしないのが悪いんでしょうが」


 子供扱いをされ、思わず反論してしまう。

 普段のだらしない姿を見れば、このおっさんの方がよっぽど子供である。


「ちなみにエリスちゃんはおいくつですか?」

「10歳ですね」

「10歳差ですか」


 エリスちゃんの年齢を聞き、なぜか深く考え込む。

 一体、何を考えているのだろうか?

 まったくわからない。


「もしかして、エリスちゃんはウルス副団長のことを?」

「特別に思ってるよ。まあ、まだ早いがな」

「そうですか」


 団長の答えを聞き、イザベラ嬢はなぜか決意を固めた様子だった。

 一体、どういう事だろうか?

 どうしてエリスちゃんのことを気にしているのだろうか?







作者のやる気につながるので、読んでくださった方は是非とも評価やブックマークをお願いします。

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