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閑話 ゲーム大会 前編

 修正致しました。


 タイトルに前編をいれるのを忘れていました。

 早朝。


 町にある一件の大きな建造物。

 他の建造物とは形の違う、真四角の建造物。


 そこはアールネス初……いや、世界初になるであろうゲームセンター。

 クロエ&チヅルである。


 本来ならムルシエラ先輩の名も冠するべきだろうが、「長くもなるし私の名前は入れなくていいです」と言われたのでこの形となった。


 早朝だというのに、そこには多くの人が集っていた。


 普段から人が多くがやがやとした印象のある店内であるが、今日は特に人が多かった。

 それも集った人間の多くは、今ゲームを目的にここへ訪れたわけではなかった。


 今日のゲームセンターには、普段と違って特設のステージが作られていた。

 ステージの上には筐体の対戦台が1セット。

 そして、ステージの中央奥の壁には、巨大なモニターが設置されていた。


 これは、ステージ上の筐体で行なわれるゲームの試合を映し出す仕組みになっている。

 ステージ上の戦いを遠くの人も見えるようにする配慮だ。


 そう、これはゲーム大会だ。

 アールネス初の格闘ゲームであるVFSE(ヴィーナスファンタジアセカンドエクストリーム)の大会である。


 初のゲームなのにセカンドなのはこれ如何に?


 VFはアールネス初のゲームだけあって、プレイ人数の一番多いゲームだ。

 一番長く親しまれたゲームだけあって、高度な技術を持つプレイヤーも多く育っている。


 そこでさらなるプレイヤー技術の向上とゲーム文化促進のためもあって賞金ありの大会を開く事としたのだ。


 優勝者と準優勝者には、トロフィーと賞金が授与される。


 大人の部の優勝賞金は金貨一枚(約百万円)、準優勝は銀貨五十枚(約五十万円)だ。

 子供の部の優勝賞金は銀貨五十枚で、準優勝は銀貨十枚(約十万円)だ。


 結構な高額なので、それ目当てで参加している人もいるだろう。

 でも、動機はどうでもいいのだ。

 純粋にゲームが好きな人間であろうと、お金目当てであろうと、ゲームの技術向上に繋がってくれればいいのだから。


 予選はすでに済んでおり、このステージ上で戦うのは選抜された十六人ずつのプレイヤー達である。

 ちなみに、その十六人の中にはチヅルちゃんを除くビッテンフェルト四天王全員が入っていたりする。

 チヅルちゃんは主催者側なので、参加を控えたのだ。


 部門は大人の部と子供の部があり、大人の部は十六歳以上、子供の部はアンダー15の子供に参加権がある。


 無人だったステージの上に、一人の少女が現れる。

 チヅルちゃんだ。

 チヅルちゃんは手に持ったマイクに声を発する。


「どうもおはようございます。ゲーム開発者の一人、チヅル・カカシです。

 今回は、司会進行と実況解説。

 あとは、子供の部の優勝者とのエキシビションマッチを務めさせていただきます。

 はい。では、これからヴァーナスファンタジアセカンドエクストリームの決勝大会を始めたいと思いまーす」


 大きくなったチヅルちゃんの声が、ゲームセンター内に響き渡る。


 同時に、会場が揺れんばかりの歓声と拍手が上がる。


「はい。ありがとー! では、大会を始める前にある方を紹介しておきましょう」


 私の出番だ。

 私は舞台裏にいた。

 チヅルちゃんの紹介で、ステージへ出る段取りなのだ。


「空前絶後のォォォォォ! 超絶怒涛の豪傑人妻ァァァァァ! ゲームを愛し、ゲームに愛された女!」


 出始めからすでに盛りすぎだよ。


「格闘ゲーム! シューティング! ベルトスクロールアクション! 全てのゲームの産みの親!」


 まぁ、この世界だと間違いではないけど。


「サンシャイン!」


 いや、そんなに輝いてはいないから。


「斉藤!」


 まさかの斉藤さん!?


 倭の国で元気にしてるかなー……。


「と、間違えました。クロエ・ビッテンフェルトさんです! はい、どうぞー!」


 紹介されて、私はマイクを握ってステージへ出る。


 拍手と歓声があがった。


「はい、どうも。クロエ・ビッテンフェルトです。

 まぁ実の所、開発に関してはそこにいるチヅルちゃんの功績が大きいんですが、一応ゲーム製作の代表者としてここに立たせていただきました。

 今日は、チヅルちゃんと二人で実況解説を行なっていきたいと思います。

 何分なにぶん、ゲームの大会そのものが初めての試みなら、こういう解説なども初めての事で。

 まー、拙い部分はあると思いますが、そういう部分は大目に見ていただけると嬉しいです。

 あとー……、大人の部の優勝者とのエキシビションマッチも担当させていただきます。

 よろしくお願いしまーす。

 では、大会を始めましょう」


 大会の開催を告げると、また拍手と歓声が上がった。


 という感じで大会が始まり、私はチヅルちゃんと一緒に試合の実況を始めた。


 まず、子供の部から始まる。


 予選通過者は、下は八歳から上は十五歳までの子供達が揃っている。


 子供とは言えども、予選を勝ち抜けるだけあってみんなそこそこに上手い。

 もしかしたら、大人と子供に分けなくてもいいくらいだったかもしれない。


 そう思わせる程度には、レベルが高い。


 とはいえ、見ている限り立ち回り等に関してはまだまだ甘いか……。

 みんな読み合いよりも、自分の動体視力を武器にしている感じだ。


 そんな試合を見ながら、二人で解説する。


「牽制の弱パンチに暴れの突進が刺さる! そこからコンボを確実に決めていく!」

「正確なプレイングだね。突発的な暴れだったんだろうけど、そこからすぐに状況を判断できてコンボに繋げるのは見事だ」


 チヅルちゃんが実況し、私が解説していく。


「でも、少しコンボが甘いでしょうか? 体力ゲージが少し残りましたね」

「堅実なんだろうね。強無敵を挟むルートだと威力が乗るんだけど、拾い損ねると確定反撃だから」

「あと一撃で沈められる程度。

 だが相手にはゲージがある。

 ゲージを絡めたコンボを受ければこちらまで沈んでしまう体力。

 状況的には五分五分だ。どちらにも勝ちの目がある! 

 あぁーーっ、とここで当身技! 

 浮いた所を確実にひーろーう! 

 コンボが決まり、ゲージ技も完璧! 

 逆転です!

 先ほどの堅実さが仇となった!」

「こういう土壇場でコンボを決めていける冷静さは素晴しいね」


 そんなこんなで決勝戦。


「子供の部決勝に残ったのは、予選通過者最年少八歳のブリザードちゃんと十三歳のストームくんです」


 ブリザードちゃんとストームくんがステージに上がり、対戦を始める。


「ブリザードちゃんは……あ、クロエさんですよ。どうやら愛用キャラクターみたいです。渋いですね」

「そう?」


 私ってチヅルちゃんの中では渋い存在なの?


「子供の部は、予選から比較的性能の高いキャラクターを使う傾向が多かったですからね」


 確かに、アードラーとティグリス先生、それからトキやイェラの使用者が目立った。


「でも、ブリザードちゃん。予選試合の時に不利なヤンを何度か相手にしていますが、負けなしですから……。上手く使いこなして、対策もばっちりなんでしょう。対して、ストームくんも渋いですね。ルクスさんです。こっちも苦手のアードラーを相手に勝ち越していますね」

「クロエでヤンを相手にするのもきついけど、それに輪をかけてルクスはアードラーとイェラを苦手としているからね。それもすごい話だよ」

「やっぱり、ルクスさんの持ち味といえばジャンプ力ぅ……ですかねぇ。対空に強いアードラーさんとイェラが相手では持ち味半減です。あ、始まりました」


 二人の対戦が始まる。

 どうやら、二人共戦い方が似通っているようだ。


 牽制し合って、攻撃が刺さった時のチャンスに攻め込むタイプだ。

 ガン攻め固めの多かった子供の部では異色ではないだろうか。


 ブリザードちゃんはクロエのリーチを完璧に把握しており、相手の攻撃が当たらずこちらの攻撃があたるギリギリの位置で立ち回っている。

 一方のストームくんはバックステップでクロエの攻撃を回避しつつ、詰めて固めるようにして対抗している。

 下段固めから、中段技での崩しが上手い。

 それを嫌って空へ逃げる相手へ、確実に得意の空中コンボを決める。


 まるで、ルクスのお手本みたいな戦い方だ。

 私も参考にしたいくらいである。


 恐らく、これはアードラー・イェラ封じに特化した戦い方でもある。

 アードラーとイェラの最大の持ち味は、6Pの対空技からの超必殺。

 だけど、どちらも空中に出てしまえば6Pが使えない。

 だから、強引に空から攻めるのではなく、相手を飛ばしてしまってから空中で相手するという事なのだろう。


 そして、その戦法は恐らくどのキャラクターにも通用する。


 どちらも子供とは思えないくらいに腕はいいけれど、見ている限りストームくんの方が一枚上手いちまいうわてみたいだ。


 そして三本先取の内、互いに二本ずつ取った最終戦。


「ブリザードちゃん、固めが辛い!」

「リーチが長い分、手数が少ないのはクロエの弱点だからね。近付かれてからの固めには弱いよ」

「空に逃げるか……? いや、逃げない!」

「何度かそれで痛い目に合っているからね。迂闊うかつには飛べないね」

「と、ここでラッシュに合わせて当身技を使う! けど、ストームくん乗らない! 壁際での投げ、そこから壁際限定コンボでシメる! ストームくんの勝ちです!」

「いやぁ、子供とは思えない戦いだったねぇ。二人共すごかったよ」


 将来が有望だ。


 それから、負けたブリザードちゃんが泣き出すというハプニングがあったけれど、抱き上げて頭を撫でてなんとかなだめた。


 そして、大人の部が始まる。


 大人の部は、子供の部と違って駆け引きの強い試合展開が多くなった。


 と、一回戦の事だ。


「くっそー! 負けたぁ!」


 エミユちゃんが悔しそうに台を叩いた。


「台パンはマナー違反なのでやらないように」


 一応、会場中へ声をかけておく。


 しかし、エミユちゃんもそこそこ強かったのにまさか一回戦で負けるとは……。

 相手の名前は「★死を与えし漆黒の翼★」か。

 全身黒づくめの厨二臭い女である。


 ……お察しの通り、あいつだよ。


 エミユちゃんを倒したのは、女神カラスだった。

 優勝の一つ下を何と形容していいのかわからず、副優勝者にしたのですが実際はどう形容するべきだったのでしょう?


 準優勝者に修正致しました。

 案を出していただき、ありがとうございます。

 たまに全然語彙が出てこない時があるんですよね……。

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