ネコと子イヌ2【前編】
「ワンワンワンワン 」
外からイヌの鳴き声が聞こえる。
「うるさいにゃん」
ぼくは目を覚ました。
すると、
「ピンポーン」
玄関チャイムの音が鳴った。
ご主人様は、玄関のドアを開けると、
「ワンワンワンワン」
イヌの鳴き声が響いた。
「もう、うるさい。誰?」
ぼくが玄関に行くとそこには……
「えりかっ!」
つとむ君に抱っこされている小イヌのえりかがいた。
「肉まん。久しぶり~。ここは肉まんのおうちだったのね」
えりかがうちにやってきた。
えりかは、ご主人様のお友だちのつとむ君が飼っている小イヌ。
さびしがりやで、一人にすると鳴いちゃうし、
今みたいに、誰かに会うことが分かると興奮して鳴くこともある。とにかく、よく鳴く。
「さあ、入って」
ご主人様が言うと、
「おじゃまします」
つとむ君は、おうちに入った。
リビングに入ると、
「えりか、元気いっぱいじゃない」
ご主人様はそう言った。
「肉まんが来てくれてからは、友だちができたと思ったらしく元気があったのだけど、
最近は別のことがあって元気がないんだ」
んにゃ? またえりかは元気がないの? えりかに何かがあったらしい。
「それってあのこと?」
ご主人様は聞いた。
「そう。えりかは気にしちゃってね」
つとむ君は言った。
「えりかは心配しているんだね」
何だろう? ご主人様は分かっているみたいだけど……。えりかに聞いてみよう。
さっきまであんなに鳴いていたのに、今はすっかりおとなしくなっていた。落ち着いているというよりも、どこかさみしげだった。
「つとむ君がえりかのことを元気がないって言っていたけど何かあったの?」
「実はね……。おにいちゃんが、け、結婚するの」
「おめでとう。よかったじゃない」
これが、 元気がなくなった理由? えりかを見ると、心配そうな顔をしている。
「えりかはうれしくないの?」
「だって、結婚したら、お兄ちゃんがおうちを出て行っちゃうかもしれないじゃない!」
えりかは大声で言った。
《続く》




