ネコとスイカ
「スピピースピピー」
いつものように眠っていると。
「コツン。コツン」
と何かがぼくの身体に当たっているような気がして目を覚ました。
周りを見ると、小さくて黒いものが落ちている。
「何だろう?」
さわってひっくり返してみると、薄いし軽い。ん? 少し、甘いにおいもする。
あっ。黒いものだけじゃなくて、白っぽいのもある。
もしかして、何かのタネ?
それなら何のタネだろう。
「あっ。肉まんが起きた」
ふと見ると子どもたちがいた。夏休みに入ったら子どもたちが遊びに来るとご主人様は言っていたけれど、その日が今日だったみたい。子どもたちはスイカを食べている。
「んにゃ!」
ぼくは周りにあるものと、子どもたちが食べているものを見比べた。
もしかしてコレってスイカのタネ?
「スイカのタネを肉まんに当てて、何個当てられるか競争をしていたんだよー」
と言った。
ひどいにゃー。スイカのタネをぼくに当てるなんて。
ぼくは反撃をしようと立ち上がり子どもたちに近づこうとしたら、ご主人様が切ったスイカをお皿に入れて持ってきた。
ご主人様はぼくと子どもたちを見てどんなことがあったのか分かったらしく、
「肉まんにスイカのタネを当てちゃダメ。肉まんがかわいそうでしょ!」
こう言った。
いつもはご主人様に怒られるぼくだけど、子どもたちに非があると当然、子どもたちを怒る。
それからと言うもの、スイカを食べるときはタネをお皿に出していた。
このスイカは子どもたちのお母さんが手土産で持ってきたらしい。
ネコもスイカを食べられるからぼくにもってことなのだけど、食べたい気にはならなかった。
だって、スイカってこんなにタネがあるんだよ。めんどうくさい食べ物だにゃん。
ご主人様ならぼくのためにタネを取ってはくれるだろうけど、
そこまでして食べたいとは思わないにゃん。
なかにはタネなしスイカもあるらしいけどね。
それにうっかりタネを食べたらニョキニョキと身体の中から
スイカが生えてくるかもしれないし……。
ぼくはいらないにゃん。スイカを見て首を振ってプイッとした。
スイカのタネを食べたら大変なことになりそうだにゃん。
ご主人様はぼくの周りにあったタネを全部拾い、ベランダに出てタオルを敷いてその上に並べた。
「何をするの?」
タネを干しているみたいだった。お腹がいっぱいになった子どもたちは、積み木で遊び始めると、ご主人様はスイカが乗っているお皿からタネを集め干しに行った。
しばらくすると子どもたちは帰り、外に並べていたスイカのタネを回収して台所へ向かった。
フライパンにタネを入れ、炒め始めた。塩を加えて炒めると、
おいしそうな香りがして、プチプチっと音がした。きっとタネが膨らんできたのだと思う。お皿に盛りつけて完成。
香ばしい色になったスイカのタネになっていた。
「コレ、食べられるの?」
見た目はおいしそうだけど……。
「まさか、スイカのタネを食べたら、スイカが生えてくるなんて思っていないよね?
「えっ!ちがうの?」
ぼくはビックリした。
「そんなわけがないでしょ!」
ご主人様はスイカのタネを食べた。
大丈夫なのかなぁとドキドキしながら見ていたけれど、あの雰囲気からするとおいしいみたい。
「スイカのタネには栄養がいっぱい入っていて、身体によいんだよ」
そう言うと、ご主人様の指は、次のスイカの種に伸ばしている。
ふと、ぼくを見た。
「でも、きみは食べちゃだめだよ。きみが食べると身体の中からニョキニョキとスイカが生えてくるからね」
ご主人様はニヤニヤしながら言った。
「そんなことないにゃん! だって、さっき言っていたにゃん。ぼくも食べたい! ねぇ。ぼくにも一個でいいからちょうだい!!」
ぼくはご主人様の足元をスリスリしたけれど、食べるのに夢中な
ご主人様は気づかず、カジカジと音を立ててスイカの種を食べた。
※ネコにスイカを与える場合、赤い色のついている果肉部分は与えてもよいのですが、
外側の皮や種は消化ができないので注意が必要です。
《終わり》




