ネコと赤ちゃん5
「グウ~」
ぼくのお腹の音が鳴った。
「ご主人様~。そろそろおやつ欲しいにゃ」
いつもならくれる時間なのにご主人様はリビングでテレビを見てくつろいでいる。
んー。忘れているって感じではないよね。いつものことだし。
そう言えば、めずしく丁寧に掃除機をかけていたよね。いつもサササッなのに。
もしかして、誰か来るのかにゃ?
「ピンポーン」
玄関チャイムが鳴った。
「んにゃ~。誰か来たっぽいにゃ~」
ご主人様は、玄関に向かって歩いて行った。
「こんにちは」
あの声はリカちゃんだった。リカちゃんはご主人様のお友だち。
たまに遊びに来てくれる。リカちゃんが来たということは……。
「肉まん!」
リビングにぼくの名前を呼びながらカナちゃんはゆっくりと歩いてリビングに入ってきた。
カナちゃんはリカちゃんの子どもで来るたびに成長し、
今では歩けるようになった。カナちゃんがぼくに近づいてきた。
「?」
カナちゃんは両手で箱を持っている。どうやら見せたいものがあるらしい。
「何?」
ぼくはカナちゃんに近づいた。箱にはかわいいウサギが描かれていた。
「パカッ」
カナちゃんが箱を開けると中にはバラバラになったものが入っていた。
箱からバラバラになったものを取り出してじゅうたんの上に広げた。
紙っぽいけど、しっかりとした紙のようなもので厚さもある。
バラバラにはなってはいるけれど裏表があって、
表らしき面には絵のようなものが描かれている。
そしてカナちゃんは並べてくっつけようとしている。
なにコレ?
「これはパズルだよ。全部つなげると絵になるんだ」
ご主人様は言った。
「へ〜え〜」
カナちゃんは夢中になって、パズルを合わせている。
「カナちゃん、最近のお気に入りでずっとパズルをして遊んでいるのよ」
リカちゃんはそう言った。
パズルって面白いのかなぁ。パズルを見ていたら、
「ん? カナちゃん、ソレ違うんじゃない?」
カナちゃんは無理やりパズルのピースをつなげようとしている。
「カナちゃん、それ違うよ。多分コレだよ」
ぼくはパズルのピースをカナちゃんに届くように肉球で飛ばした。
すると、気づいたみたいで、ピースをはめた。カナちゃんご機嫌そうだった。
ぼくの方が上手かもにゃん。
それから数分後、箱と同じかわいいうさぎのパズルが完成した。
「できた〜!カナちゃんスゴいね」
すると、
「バラバラバラバラ〜」
完成したばかりのパズルを壊して、また組み立て始めた。またやるみたいだにゃん。
そして、何度も組み立てては壊してを繰り返した。
初めは見ていて楽しかったけど、何度も見ていると飽きてきた。
それに、リカちゃんがぼくのためにおやつを持ってきてくれて、
お腹かが膨れたから、
「スピピ〜スピピ〜」
シッポをフリフリさせながら眠ってしまった。
一方、カナちゃんはパズルに夢中ではあったけど、
最後の一ピースが足りないことに気づいた。
バラバラにしたときにどこかへ行ってしまったらしい。
「カナちゃん探して。さっきまであったのだからなくしてはいないはずだよ」
リカちゃんが言った。カナちゃんは辺りを見渡すと……。
「あっ!」
カナちゃんは歩いてぼくに近づき、
「ギュ〜」
カナちゃんはぼくのシッポを握った。
「にゃ〜!」
ぼくはビックリして声をあげた。
「あったね〜!」
リカちゃんが言った。
何があったの? ぼくにはわけが分からなかった。
「パズルのピースが一ピース足りなくて探していたら、きみのシッポの下にあったんだよ」
ご主人様が言った。
どうやら、カナちゃんがパズルをバラバラにしたときにぼくがいるところまで飛んできて、シッポを動かしたときにパズルが下に入ってしまったらしい。
カナちゃんはぼくのシッポの下からパズルの一部が見えたみたいで発見することができた。
けど、握る必要はないよ。少し動かすだけでよかったんじゃない?
ぼくはカナちゃんを見た。
ニコニコしながらパズルを組み立て始めていた。
《終わり》




