ネコと扇風機
「カタカタカタカタ~」
リビングでお昼寝していたぼくは、カタカタするもの音で目を覚ました。
「この音はもしかして……」
ふと見ると、ご主人様がいて、テーブルの上に置いてあるノートパソコンを見ていた。
「カタカタカタカタ」
という音は、パソコンのキーボードを押している音だった。
ご主人様がパソコンを使うときは、インターネットでお買い物をすることが多い。
最近は、パソコン操作に慣れてきたみたいで、よくお買い物をする。
石川県の金沢市に住んでいるけど、ぼくらが住んでいる所は田舎だから、
お買いものに行くにはどこも遠い。
おうちから一番近いスーパーは歩いて20分くらいかかる。
ちょっとしたお買い物ならよいけれど、遠い所まで行くときは車で行かないといけない。
だから、おうちにいながらお買いものができて、届けてくれるというのはとてもありがたいこと。
「今日は何を買うのかにゃ~。気になるにゃ~」
ぼくは気になった。
「ピョーン」
ぼくはテーブルの上に乗った。ぼくは太っているから高く飛べないけれど、
このテーブルは低いから乗れる。
「どれどれ~」
パソコンに近づくと、パソコンの画面には、扇風機がたくさん並んでいる。
そう言えば、扇風機が壊れちゃったんだよね。ぼくのせいで。
扇風機が動いていなかったから、グルグル回るプロペラみたいな羽が気になって触ろうと、
「ピョンピョン」
と飛びはねていたら、扇風機にぶつかってしまい、倒してしまった。それで壊してしまったにゃん。
倒れたときは、
「ガシャーン」
って大きな音がしたから、
ご主人様がすぐにやってきてバレちゃった。あのときはものすごく怒られた。
ご主人様はぼくの顔を見てこう言った。
「今度は、きみに倒されないような扇風機を選ぶから大丈夫だよ」
だって。
「余計なお世話にゃん」
と言いたかったけど、ぼくが壊してしまったから何も言えなかった。
ふとご主人様を見ると、迷っている感じがした。
ぼくはご主人様に近づき、パソコンの画面をのぞいた。
「迷っているんだよね。扇風機を支えている首の部分が伸びて、背が高くなる扇風機にするか、背が低い扇風機にするか」
「どうして迷っているのかにゃ?」
実はこうゆうことらしい。
ぼくが倒さないタイプの扇風機は、どっちだろうと選ぶのに迷っているんだって。
しかも、どちらも残り一台しかないから、今すぐに注文したいらしいらしい。のんびりしていたら誰かに買われてしまうかもしれないからね。
首が伸びる背が高くなる扇風機を選ぶとこうなる。ぼくが、
「ピョーン」
と飛んで、扇風機を支えている部分にぶつかってしまったら、倒れてしまうかもしれない。
背が低い扇風機を選ぶとこうなる。
ぼくが触りやすい位置に扇風機のプロペラがあるから危ないかもしれない。
どちらにしたって、ぼくのことで悩んでいるので何だか悪い気がした。
「う~ん」
ご主人様はしばらく悩んでいた。
「カチカチ」
とパソコンのマウスを動かしながら、何度も見比べている。ご主人様が悩んでいるので、どっちがいいか、ぼくもいっしょに考えることにした。
「背が高くなる扇風機がいいかにゃ~。それとも、背が低い扇風機がいいかにゃ~」
ぼくはパソコンの液晶画面をのぞいて扇風機を見比べた。
「う~ん」
結局、ぼくも悩んでしまい、どちらがいいのかぼくには分らなかった。
しばらく経って、ご主人様をチラリと見ると……。
「ん? あの顔は、どっちにするか決めたって顔にゃん」
ぼくはどちらにするのかを知りたくてワクワクしていた。
「カチッ」
ご主人様はボタンを押した。
すると、
「お買い上げありがとうございました」
と画面に出ている。
「で、どっちにしたのかにゃ?」
ぼくがご主人様を見ると、ぼくの気持ちが伝わったみたいで教えてくれた。
「背の低い扇風機を選んだよ」
と言った。
どうしてそれを選んだのか理由も教えてくれた。
「背が低いタイプなら、しっかりと安定しているからそう簡単に倒れることはないし、
プロペラの羽根のカバーの目が細かいものだったら、きみが触っても危なくないからね」
だって。
へ~え~。それはいい考えだにゃん。それならぼくも安心。
「でも、触ったらぜったいにだめだからね!」
「わ、分かっているにゃん」
しっかりご主人様に釘を刺された。
それから5日後、
「ピンポーン」
呼び鈴のブザーが鳴った。
「んにゃ~。誰か来たっぽいにゃ~」
リビングでお茶を飲みながらくつろいでいたご主人様は立ち上がり、玄関に向かった。
すると、重そうなダンボールを抱えて戻ってきた。
「何が入っているのかにゃ?」
ご主人様は箱を開けると、扇風機が出てきた。この前、パソコンで注文した扇風機っぽい。
早速、ご主人様はコンセントにつないで操作して扇風機を動かした。
扇風機に近づくと、
「ピュー」
とぼくの顔にすずしい風が当たった。
「わーい。快適だにゃん」
ぼくは喜んだ。
「これは何かにゃ?」
ぼくはでっぱっているボタンを触った。
「ポチッ」
すると、扇風機の風の強さが変わった。
「ゴーゴーゴー」
風の音が大きくなり、ぼくは吹き飛ばされそうになった。
「にゃー。風が強すぎるにゃ!」
ぼくは風の勢いの強さにビックリして、その場に倒れ込んでしまった。その姿を見たご主人様は笑っている。
「笑いごとじゃないにゃん。ぼくは吹き飛ばされるかもしれなかったにゃん! それよりも、
早く、風の強さを直してにゃん」
風の勢いが強すぎて、ぼくは扇風機に近づくことができなかった。
ご主人様は、扇風機に近づいて、
「ポチッ」
とボタンを押した。すると、さっきの風の強さになった。
「あ~。よかったにゃん」
ぼくはホッとした。
「扇風機に近づきすぎるのも、ボタンを押すこともいけないということがよーく分ったにゃん。これからは、ちゃんと気をつけないとだめにゃん」
扇風機の恐ろしさを知った。
「でも、これで安心にゃん」
扇風機の風の強さは元に戻り、心地よい風が当たっている。
「スピピ~。スピピ~」
ぼくは眠ってしまった。
しばらくして、
「う~。寒いにゃ~」
寒くて目が覚めた。直接、風に当たっていたからすっかり身体が冷えてしまった。
ぼくは少し離れて風が当たらない所に行った。
エアコンもいいけれど、ぼくは扇風機がいいにゃん。
扇風機を見ながらそう思った。
《終わり》




