ネコと動画
新型ウイルスが流行ってからはや3か月。
収束する気配がない。ぼくらが住んでいる石川県も感染者がすごく増えている。
テレビを見ると、
「自粛」「不要不急の外出はしないように」
と言っている。
最近は、ご主人様とおうちで過ごす時間が増えた。
ご主人様といっしょに過ごす時間が増えたのは嬉しいけれど、
ご主人様を見ていると、ぼくは不安に思う。
この前、来た子どもたちもなんらかのストレスがあったみたいだし、
ちょっと前に会った時のおばあちゃんも不安を感じていた。
そんなことを考えていたらご主人様と目が合った。
「不安になっちゃた? 毎日テレビを見ていたらそう思っちゃうよね」
ご主人様はぼくのことを見透かしたように言った。
「もし、新型ウイルスに感染したら、きみとは骨になるまで会えなくなるから」
えっ。ぼくはドキッとした。
「そんな悲しい顔をしないで。気をつけるから。
感染しないようにすることはもちろん、自分のためだけど、
きみのためでもあるからね。きみの面倒を見るのは他の人には頼めないし、
きみを置いていなくなるなんて考えられないよ」
本当に?
「ご主人様ー」
ぼくはご主人様に飛びついた。
「重いよ。きみ~」
と言いつつもご主人様は重たいぼくだっこしてくれた。
しばらくすると、時計を見た。
「そろそろ。時間だね」
ぼくを置いて、
ご主人様はパソコンのスイッチをつけた。
「こっちへおいで」
ご主人様はぼく呼んだ。
「ん? なんだろう」
ご主人様はパソコンがニガテだから普段、使うことはないのだけど、
何に使うんだろう。仕事ではなさそう。
それに、ぼくを呼んだってことは、ぼくに見せたいものでも
あるのかなぁ。
よく見ると、今日のご主人様、少し、小ぎれいにしている。
おうちにいるときは普段着にボサボサ頭。それがきょうはサラサラの髪の毛
になっている。誰かに会うの?
「久しぶり~」
聞いたことがある女性の声がした。
「久しぶりだね。元気だった。そっちはどう?」
ご主人様は言った。
誰だろう。来たことがあるけれど、すぐに思い出せなかった。
パソコンを覗いた、すると、
「あっ。りんちゃん!」
パソコンの画面にはりんちゃんが映っていた。
「肉まんちゃん。久しぶり~」
ぼくに気がついたりんちゃんは、声をかけた。
りんちゃんは、ご主人様の昔からのお友たちで、ずっと仲良くしていたのだけど、
お仕事の都合で、今は東京に住んでいる。
まさか、りんちゃんに会えるとは思わなくてビックリした。
「今年のゴールデンウイークにはそっちに帰りたかったのだけど、
新型ウイルスが流行っているから行けず、インターネット動画で会うことに
したの」
どうやら、ご主人様はりんちゃんと連絡を取って、インターネット動画を使うことを思いついたらしい。
「来年はそちらに行けるようするから、今はお互いがんばろうね」
りんちゃんはそう言った。
しばらく、ご主人様とりんちゃんはお話をして会話を楽しんだ。
「またね。肉まんちゃん。次は、会いに行くからね!」
そう言って、通信を切った。
「少しは元気出た? きみもおうちにばっかりいるからストレスがたまっているんじゃないかと
思って、りんちゃんに話をしたら今日の動画の話になったんだよ」
「えっ。ぼくのためにりんちゃんに会わせてくれたのかにゃ?
パソコンがニガテなご主人様がぼくのためにセッティングしてくれたなんてすごく嬉しい!
ありがとう。ご主人様ー」
ぼくはご主人様に飛びついた。
「重いよ。きみ~」
と言いつつもご主人様は嬉しそうな顔をしていた。
《続く》




