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想いはいつまで憶えられているのだろう?  作者: 並矢美樹
戦争、それは破壊
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番外・雑談 日本のいちばん長い日

 8月という時期になると、終戦記念日に合わせて、何かと日本が経験した最も最近の戦争である第二次世界大戦にまつわる事柄が、テレビやnetを賑わす。

 それらは忘れてはならないと、私も考える事もたくさん含まれているので、毎年恒例の事と簡単に流してしまわないように気をつけている。

 そんな中に、色々な史料を見たはずなのに、私が知らなかった事実を記した話が、やはり有った。


 「日本のいちばん長い日」という、いわゆる玉音放送がラジオで流されるまでの24時間の半ばドキュメンタリーの、有名な映画がある。 ま、ここで私が対象としている映画は、最近でもないか2015年の松竹の方ではなく、1967年の東宝の方だけど。


 この映画は出来うる限り、忠実に史実に基づいて作ったという事で、私はかなり盲目的に、その時の出来事はこの映画のとおりだったのだろうと思ってしまっていた。

 しかし、やはり映画は事実とは異なり、かなり美化されていたようだ。


 近衛騎兵連隊旗手だった下村覺氏によると、この映画の最も重要なシーンの一つである近衛師団長森中将の殺害は、映画とは全く違ったようだ。

 軍服で殺害されたのではなく、浴衣で寛いでいるところを急に問答無用で銃撃と刀で袈裟掛けに斬られて殺されたらしい。 それより酷いのが、殺害を隠すために、遺体はなんと焼却炉のゴミの中に入れらていた。


 まあ、この事実を下村氏が公にしたのは1999年のことで、戦後54年の時が過ぎ、「このままでは事実が残らない」と危惧してのことだという。 つまり、その時点まで、下村氏は、知っていた事実をずっと秘していた訳だ。


 この宮城事件は、省のモデルとなった人も確実に関わったはずで、ま、それは当然でそのモデルも下村氏と同じ近衛騎兵連隊の一員だったのだから。 しかし、本編でも触れているが、省のモデルの人はこの宮城事件に関して、一言も口にすることはなかった。

 省のモデルの人が死んだのは、下村氏が事実を公表するずっと以前の1981年のことだから、何も口に出さなかったのは当然のことのように思える。 何しろ下村氏が公表する約20年も前のことなのだから。

 下村氏が公表したのだって、もう今自分しなければ、それを知る者が居なくなると思ってのことだろう。


 ま、あらためて考えてみれば、秘密保持と命令されなくても、こんな事実はなかなか口にできる事ではない。 口にしなかったことを、私は当然のことのように思えるのだ。

 きっと元最後の近衛兵という矜持だけが理由で、何も口にしなかったのではないのだろうなぁ、なんて私は今更だけど感じてしまった。


 玉音放送のレコードを巡っての当時の話で、私が本人の口から語られるのを唯一見たというか聞いたのは、後に侍従長となった徳川さんが、徹子の部屋に出演して、そのことに触れて話しているのをテレビで見ただけだ。


 話としては、「武家の面目にかけて、命を賭して、この玉音盤は守ります」と、レコードを託された徳川侍従は昭和天皇に言ったとか、その後、徳川さんは本当に兵に殴り倒されるような場面があった、とかは知っていた。

 本人がそれを語った時は、「今の人が聞くと笑い話のように思うかもしれませんが、当時は私も本気でそう言ったのです」と笑顔で語っていた。


 まあ、徳川さんは自分の事ではあるし、世間に知られている事ではあるし、「武家の面目にかけて」というところがちょっともう時代錯誤的で微笑ましいエピソードのように思われていたので(若い世代にはかも)、気楽に話として触れることが出来たのだろう。


 やはり、それと森中将殺害の事実とでは、比較にはならない。



 私にとっては、割と身近な歴史上の事件なので、この話を書く上でも、嘘や思い込みがあるといけないと思って、かなり調べたつもりだったのだけど、やはりまだまだ知らない事実はあるものです。



 ところで、私は古い方の映画のイメージが崩れるのが嫌だなと思って、新しい方の映画は見ていない。

 新しい方の映画は、下村氏の事実公表の後で作られた映画だから、その辺りはどうなっているのだろうか。 もしかして事実に沿う形に治されているのだろうか。

 見てみるかな。


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