表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺は異世界の潤滑油!~油使いに転生した俺は、冒険者ギルドの人間関係だってヌルッヌルに改善しちゃいます~  作者: あけちともあき
62・冷凍の時代が見えてきた

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

184/337

第184話 再びツーテイカーへ

 フレンチトーストを山程ごちそうになり、お土産でチーズとバターをもらった。

 バター、かなり食べたからそろそろ出せるぞ……!!

 かなりの再現度だと思う。


「おいしかったねー!」


「ぶるるー」


 コゲタがポーターに話しかけている。

 フレンチトーストの事を言っているんだと思うが、ポーターは牧草の話をしていると思うぞ。

 まあ、二人とも農園の滞在に大満足してるようだからいいか。


 コボルドと荷馬で話が通じたりするんだなあ。


 こうしてまたしばらく旅をする。

 チーズがあり、バターを召喚できるようになったので旅の食事に広がりが出たぞ。


 狩りはシズマが大変得意で、獲物を沈めたら窒息死するので、綺麗なままゲットできるのだ。

 これを僕とコゲタを入れた三人で、わいわいと解体する。


 肉や臓物を、様々な油で炒めていただくのだ。

 うまいうまいうまい。


 ワンダバーで本場のにんにくをもらってきたから、これと一緒に炒めても実にうまい。

 食が豊かなら、旅は楽しくなるのだ。


「ゆうごはんたのしみねー」


 コゲタがニコニコしながら横を歩いているのだ。

 うんうん、夕食はあの肉料理をそのへんの山菜と一緒に煮込んでスープにしようかと思ってるからな!


 こうしてみるみる旅程は消化され、空が薄ぼんやりと曇っている地域に到着した。

 ツーテイカーである。


「ぶるるー」


「なんだポーター、故郷に帰ってきたのが分かるのか。そうか、ポーターにとっては、この曇った空の下が懐かしい光景なんだなあ」


 わしわしと撫でると、ポーターが顔を寄せてきた。

 僕の胸板をすりすりしてくる。

 この荷馬は大変人懐っこい。


 ツーテイカーでさぞ大事にされていたんだろう……。


 こうして到着すると、ちょっと懐かしくなってきたスラムが見えてくる。

 おお、前に来たときと構造が全然違う。

 日々有機的に形を変えているんだな、このスラムは……。


 この辺りで一番治安が悪いのがスラムなので、気を付けて進むのである。


「その荷物をよこせぇーっ!!」


「油だ」


「沈め沈め」


「ウグワーッ!!」


 襲ってきた不届き者がいたので、油ですべらせてから半身沈めてやった。

 いやあ、本当に治安が悪い。

 もしコゲタに怪我でもさせたら、お前ら全員油で窒息か沈んで窒息だからな。


 周囲に睨みを効かせつつ、先を急ぐのだ。

 やっとツーテイカーの都市部への入口だと思ったら……。


 既にベンクマンが待ち構えていた。

 数名の護衛を引き連れていて、これは多分本物ではないだろうか。


「よく戻ってきたな!」


「僕らが到着したのなんで分かったんですか」


「俺の手駒はこの国のあちこちに潜んでいる。お前たちを発見した一人が俺に情報を伝達したというわけだ」


「なるほど……」


「で、どうなんだ? その顔は……手に入れたようだな」


「ええ、その通りです。こちらです」


 僕が荷台から冷凍の魔導書を取り出すと、ベンクマンが凄みのある笑みを浮かべた。


「よしよしよし……!! これでツーテイカーは世界に対して大いなる力を手に入れたことになる。冷凍して食物を運ぶ技術を独占できれば、莫大な儲けになるぞ……!!」


「ところがベンクマンさん、冷凍の魔法はワンダバーでは特に価値のないありふれた魔法で」


「な、なにっ!?」


 驚愕するベンクマン。

 貴重な魔法を手に入れて、よし、これからこの魔法で荒稼ぎだぞと思った矢先のことである。

 まさか、冷凍の魔法なんていう高度っぽく感じるものが、ワンダバーではごく初歩的な、しかも使い道のない魔法扱いされてるとは思うまい。


「だからワンダバーに気づかれると、一気に権益がパーに」


「ああ~」


 なんて情けない声を漏らすんだ。


「なので僕からの提案なんですが、ちょっと大人しめに、比較的良心的に商売をしましょう……! 冷凍の魔法を覚えた魔法使いを養成し、ビールの輸出に使う。キンキンに冷えたビールを飲ませて虜にさせ、冷えたビールはツーテイカーから運ばれてくるものが一番美味い、というイメージを持たせるんです。せいぜい、外国は井戸水で冷やしたビールまでしか飲めない」


「なるほど、なるほど……。つまり、わざわざ他の国まで行って冷えたビールを売る……。体験を売るわけか! そのための冷凍魔法。なるほどな……!」


「後は傭兵として活躍している魔法使いが冷凍魔法をマスターしたら、彼らが各国の商人の生鮮食品運搬に欠かせなくなるでしょう」


「おっ、なるほど、なるほど……!!」


「世界がちょっとよくなりつつ、ツーテイカーが一番得をする……。その上で誰からも恨まれない……」


 ベンクマンが僕をじっと見た。


「お前……うちの幹部にならないか? 謀略の素質がある」


「あっあっ、やめてください。僕は何にも縛られず楽しく愉快に過ごすつもりなんで……」


「そうか、残念だ……」


 今の言葉は本音みたいに聞こえたぞ。


「まあいい。ナザル、シズマ。それとコボルド。コゲタと言ったか? 宴を用意してやる。毒は入っていないぞ、安心しろ。お前らと付き合いを持てば、また俺に大きな利益をもたらしてくれそうだからな。なに、俺からのほんの礼というやつだ」


 ベンクマンは怖い笑みを見せると、都市の奥へと去って行ってしまった。

 その背中と、僕の顔を交互に見るシズマ。


「お前、本当に口が上手いなあ……!!」


「長年会社の中で、潤滑油やりながら生きてきたからね……!」


「前世の経験って本当に生きるんだな! なるほど、そういう意味でも油使いだ! おっしゃ、行こうぜ。ごちそうが俺等を待ってる!」


「ごちそう!」


 コゲタがピョンピョン跳ねた。

 よーし、たらふく食べちゃうぞ。



お読みいただきありがとうございます。

面白いと感じられましたら、下の星を増やして応援などしていただけると大変励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
油だけに!?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ