『先輩と後輩』
「クレア!!」
アメルとサツキに連れられ――
私がビーチに帰ると、そこには紫髪の少女がいた。天界の序列6位――『天花』クレア。花を司る熾天使で、私の大切な後輩である。
「カレイア先輩!!」
「クレア、どうして人間界に!? あと、その怪我は!?」
アメルに飲み物を預け、私はクレアに駆け寄る。
怪我がひどい。顔には打撲痕。白いワンピースには血が滲んでおり、なんとも見るに堪えない姿である。
「カレイア先輩……!!」
「うわっ」
クレアに抱き着かれ、私はバランスを崩してしまう。
「カレイア先輩……!! カレイア先輩……!!」
「クレア、落ち着いて……!!」
「生きていてよかった……!! カレイア先輩が殺されたときいて、わたくしは……!! わたくしは……!!」
「ぐええ、そんなに締め付けたら苦しいって……!! 私のことよりも、その怪我はなに!? いったいなにがあったの!?」
真剣な表情で私がクレアの肩を掴んでいると、エーテルノが話に入ってくる。
「てめえの仇を取ろうとして、ハレスとソフィエルに挑んだんですよ」
「えっ!?」
「はい、エーテルノ様の言うとおり、カレイア先輩の仇を取ろうとして挑んだのはいいものの、ハレスとソフィエルに勝てるわけもなく……捕らえられた挙句、拷問されてしまいました。鎖で打たれたり、剣で切られたり、殴られ、蹴られ、唾を吐きかけたら爪を1枚剥がされてしまいました」
無理やり剥がされたであろう、人差し指の爪。クレアに見せられた瞬間、私の怒りは爆発する。
「……」
無意識のうちに、私は熾天使化していた。
怒りのせいか、コントロールできずに溢れ出していく私の魔力。
銀色の焔が燃え広がり、1秒でビーチ全体が火の海と変わる。魔力圧のせいで大気が不安定となり、真っ青だった空は赤く染まる。
「カレン!! 世界を滅す気ですか!!」
「私はなにを……?」
エーテルノに海水を浴びせられ、私は正気を取り戻す。
正気を取り戻したことにより、私は魔力のコントロールが可能となる。火の海は消え、空も晴天と化す。
「馬鹿ですか!! てめえが魔力を解放したら人間界はたまったもんじゃねえですよ!! 全力じゃなくてもこのザマですよ!!」
「ご、ごめん」
「怒りの気持ちは分かるですよ。家族を痛めつけられたんですから。ここでキレてもしょうがねえですし……バーベキューは後にして、ヤンデレを医者に連れていくですよ。食材も買い足さねえといけねえですし」
◇
「完全復活です」
ウォルマーレ島の医療施設で――
治療を受けたクレアは、爪も戻り傷1つ残ることなく復活を果たした。
「医者の顔を見たですか。あの驚き様」
「そりゃあ、めちゃくちゃに痛めつけられた姿を見たらね。絶対に怪しまれたよ」
「ご迷惑をお掛けしました」
苦笑を浮かべる私とエーテルノに向かって、クレアが頭を下げる。
「謝らなくていいよ。悪いのは神様なんだから。クレアちゃんって呼んでいいかな。初めましてだよねえ、私はアメルだよ」
右手を伸ばし、微笑みかけるアメル。
クレアは握手に応じることはなく、アメルに質問を投げかける。
「天界の序列6位――『天花』クレアですわ。つかぬことをお伺いしますが、アメル様とカレイア先輩はどのような関係で?」
「親友だよ」
「親友ですか……? カレイア先輩と……?」
「うん」
満面の笑顔で、アメルは質問に答える。
「……」
「どうしたの?」
クレアに見つめられ、首を傾げるアメル。
「……いえ、なんでもありませんわ。アメル様、これからよろしくお願い致しますわ」
「うん、よろしくねえ」
アメルの自己紹介が終わると、サツキが話し出す。
「私はサツキ。カレンとアメルのメイドをやっております。よろしくお願い致します」
「よろしくお願い致しますわ。ところで、少し気になったのですが、どうして皆様はカレイア先輩のことをカレンとお呼びになるのですか。反応から察するに、わたくしたちの正体はご存じですわよね」
首を傾げるクレア。
変な誤解をする前に、ここはしっかりと言っておくべきだ。
「ごめん、言い忘れていたね。カレンは私の偽名だよ。私は世界中で有名らしくて、名前を隠さないと大騒ぎになるんだよね」
「なるほど」
クレアは納得したのか、ポンと手を叩くのだった。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!!
カレンが怒っちゃいました。
エーテルノが止めなかったら、人間界はどうなっていたか。
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