『サツキVSクラーケン』
サツキの戦いが始まった。
クラーケンから放たれる、超高速の触手。
海中までとはいかないが、陸地でもキレのある攻撃。その威力は凄まじく、着弾地点の砂浜には巨大な穴が空く。
一般人であれば、触手が撃ち出されたことは頭で分かっていても身体が動かない。
しかし、サツキは私とエーテルノから特訓を受けている。触手の動きを冷静に観察し、紙一重で躱しきっている。
「……」
クラーケンは知能が高い。普通の攻撃では仕留められないと思ったのだろう、攻撃の仕方を変えてくる。複数の触手を使い、あらゆる方向から撃ち出してくる。
「気持ち悪いですね。人間と戦っているようです」
剣魔法を唱え、白銀の鉄剣を握るサツキ。
触手を躱しながら、1本ずつ切断していく。筋肉質なクラーケンの触手を切ることができているのは、サツキの技量があるからこそである。いくら切れ味がよくても、未熟な剣士が振るえば1発で折れてしまう。
「私が言うのもアレですけど、サツキは人間やめてるですよね」
「ドラゴン兵も殺せちゃうし、魔力感知も使えちゃうし、飲み込みが早いから鍛えがいあるよね」
ジュースを飲みながら、弟子の成長を喜び合う私とエーテルノ。
「最近は、ムンちゃんとも特訓しているもんね。ムンちゃんも、サツキちゃんのことを凄く強いって」
嬉しそうな表情で、アメルが言ってくる。
「天界の神獣に認められたんですか。ほんと、怪物メイドですよ」
「エーテルノ、聞こえていますよ。私のことを怪物呼ばわりしたので夕飯のおかずを1品減らします」
「勘弁してほしいですよ」
私たちの会話に反応するなんて、随分と余裕そうじゃないかサツキ。
20本くらいあった触手が、気づけばもう1本しかない。最後の悪あがきとして上から振り下ろされた触手をサツキは容易く躱し、掠り傷を負うこともなく全ての触手を切り落としたのである。
攻撃手段を失い、海の中へ逃げ出そうとするクラーケン。しかし、そんなことをサツキが許すわけもなく、とどめの一撃を繰り出すのである。
「『無限ノ剣舞』」
竜巻の如く、渦を巻く剣。
白銀の剣に全身を切り裂かれ、ドス黒い血を撒き散らすクラーケン。
「やべえですねあれ。あんなもんに閉じ込められたらミンチ確定ですよ」
「サツキ、あんまりぐちゃぐちゃにしないでよ。今日のお昼ごはんになるんだから」
「そうでしたね」
クラーケンが動かなくなると、サツキは剣を消滅させた。
結果は期待以上である。正直なところ、3発くらいは攻撃をくらってしまうだろうと思っていたが、まさかの無傷とは驚かされる。
「サツキ、成長したね。クラーケンを傷1つ負うこともなく殺しちゃうなんて」
「私のスパルタ特訓が功を奏したですね」
「ムンちゃんも嬉しいだって」
「ありがとうございます。みなさんのおかげですよ」
3人に褒められ、嬉しそうなサツキ。
「討伐報告は私が行ってくるよ。帰り道に飲み物も買ってくるから少し遅くなるよ」
「カレンが報告に行くなら、私たちはバーベキューの準備だね」
「恥ずかしながら、バーベキュー初めてなんですよね。メイド学校でも習っていません」
「てめえらは幸運ですよ、なんせここにはバーベキューのプロがいるんですから。大船に乗ったつもりで私に任せるですよ。世界最高のバーベキューを体験させてやるですよ」
どこからともなくナイフを取り出し、自信に満ち溢れた表情を浮かべるエーテルノ。
クラーケンが住処を追われた原因を突き止めるのは、バーベキューが終わってからでもいいだろう。新鮮なうちに食べたいからね。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!!
サツキつよーい。
クラーケンが可哀そうになってきました。
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