『ウォルマーレ島』
ウォルマーレ島。
自然の豊富なリゾート地として有名な、アルファード王国の最南端に位置する島。
景色を楽しみながらハイキングをしたり、陽射しを浴びて煌めく白い砂浜と透き通る海で遊んだりできるので、子供から大人まで楽しむことができる。
世界中から人の集まる観光地。美味しい料理を提供してくれる屋台が立ち並び、食べ歩きをしているだけで1日が終わってしまうのだが――
「リンの言ったとおり、人がいませんね」
アイスクリームを舐めながら、サツキが呟く。
クラーケンが現れたせいだろう、静まり返るウォルマーレ島。
人が来ないのでほとんどの屋台が閉まっており、島内で見かけるのはウォルマーレ島の住民らしき者たち。海水浴場は閉鎖されており、住民が侵入しないように冒険者協会の職員が立っている。
「冒険者協会から、クラーケンの討伐依頼を受けてきました」
リュックから依頼書の写しを取り出すと、アメルは職員に話しかける。
依頼書の写しを確認した女性職員は一瞬目を見開くが、すぐに元の表情へと戻る。
「『色彩の集い』のみなさんですね。ようこそいらっしゃいました。どうぞ、お通りください。クラーケンが目撃されたのは、この先を進んだところにあるビーチです」
「深海生物のクラーケンがビーチに現れるなんて有り得ねえですよ。こりゃあただごとではなさそうですよ」
エーテルノも違和感を覚えたのだろう。
クラーケンは、大昔から恐れられている上位の魔物である。そんな魔物がいきなり住む場所を変えるなんて、嫌な予感しかしない。住む場所を追われたとすれば、クラーケンよりも上位の魔物が現れたということになる。
「エーテルノ、2連戦を覚悟しないといけなさそうだね」
「カレンも気づいたですか。クラーケンよりもやべえやつは片手で数えられるくらいしかいねえですよ。まあ、どれだけやべえのが来てもこっちにはカレンがいるから心配いらねえですけどね。頼りにしてるですよ」
「いや、エーテルノが勝てないやつなんて、天使か悪魔かドラゴンしかいないじゃん」
「そうだったですね。私強かったですね」
「「あっはっは!!」」
「2人とも、つまらないことを言っていないでさっさと行きますよ。早く終わらせてリゾートを満喫しましょう」
「ぐずぐずしていると、置いていっちゃうよ~」
「「はーい」」
サツキとアメルに注意され、私とエーテルノはビーチに向かっていく。
「本当だ、クラーケンっぽい魔力反応があるね。サツキとエーテルノも魔力感知で探ってみなよ」
ビーチに向かう途中、魔力感知で探ってみるとクラーケンらしき反応が1つ。ビーチから少し離れたところで動きを止めている。
「凄い魔力ですね」
「じっとしてやがるですよ」
クラーケンの魔力を感じ取ったのか、真剣な表情になる2人。
「魔力感知って便利だねえ。私もできたらいいのに」
「エーテルノはともかくサツキは天才すぎるだけで、人間にとって魔力感知はすっごく難しいものだからね。感覚的なものが多いから教えようがないんだよ」
「そっかあ……」
悲しそうなアメル。
自分だけできないのが悔しいのだろう。
しかし、相手が悪い。アメルが張り合おうとしているのは、1000年に1人の天才滅竜魔導士と574年間も生きる大魔導士なのだから。
「さてさて、ぱぱっと終わらせようか。まずは海から引きずり出さないとね」
「私に任せるですよ」
ビーチに到着すると、私とエーテルノは服を脱ぎ始める。
「うわ!! 2人ともなにやってるの!!」
「なにって、海に入るから服を脱いでいるんだよ。お気に入りのパーカーを濡らすわけにもいかないし」
「右に同じですよ」
私の意見に、頷くエーテルノ。
「いや、水着を着ようよ!!」
「私たちしかいないし。可愛いひらひらも戦闘の邪魔になりそうだし」
「そ・う・だ・と・し・て・も!! すっぽんぽんはダメだよねえ!! サツキちゃんからも何か言ってあげてよ!!」
「え?」
メイド服を脱ぎ、すっぽんぽんのサツキ。
アメルは5秒ほど動きを止めると、超スピードで私たちのリュックを取り上げてきた。
「うわああああああああああああっ!!!!」
「うわ!! 発狂しながら水着を投げつけてこないで!! 着るから!! ちゃんと着るから!!」
アメルを怒らせるとまずいので、私たちはおとなしく水着を着ることにした。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!!
すっぽんぽん!! すっぽんぽん!!
いろいろとズレた3人をまとめるのは大変そうですね。アメルがんばれ。
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