『イカレロリババア』
「そうか、シオンは亡くなったのか……」
アメルの話を聞いて、ディスカは静かに目を閉じる。
「うん、モルス病にかかっちゃって」
「モルス病か。感染力は低いが、死亡率は80%と恐ろしい病気だな。回復魔法も効かず、聖女の祈りさえも受け付けない。そうか、さすがのシオンでも病気には勝てないか」
モルス病、図書館で読んだ医学本に載っていた。
人から人には移らない非伝染感染症で、初期症状は咳と発熱。病が進行していくと全身に黒い痣が現れ、少しずつ身体が動かなくなっていく。
――そして、心臓が止まるのだ。
「お母さんねえ……私に心配を掛けたくないのか、とっても苦しいはずなのに死ぬ直前まで笑っていたんだよねえ」
「どんな時でも笑顔は絶やさない。実にシオンらしい最期じゃないか。シオンは結婚するまでボクと4年くらいチームを組んで冒険者をやっていてね、どんなに苦しい時でもシオンは笑っていた。その笑顔にボクはどれだけ助けられたことか」
過去を思い出すようにして、ディスカが話してくる。
そこで、私は疑問を抱く。アメルは15歳。そうなると、アメルのお母さん――シオンの年齢は40歳を超えてくるはずである。シオンが結婚するまでチームを組んでいたということは、ディスカも同じくらいの年齢ということになるが――
「あの、よろしいでしょうか……」
ディスカの発言に、サツキも違和感を覚えたのだろう。
ゆっくりと手を挙げる。
「なんだね」
「失礼ですが、ディスカ様はおいくつで」
「サツキだったか、レディに歳を聞くのはマナー違反だぞ。まあ、ボクは気にしないから教えてやろう。43歳だ」
「「「え゛っ」」」
私・アメル・サツキの声が重なる。
私も人のことは言えないが、その見た目で43歳は信じられない。どうみても10代くらいだろう。
「あははは!! やっぱりそうなりますよね!!」
私たちの反応を見て、爆笑するフローラ。
「ディスカちゃんは精霊魔導士だから、肉体があんまり成長しないんだよね」
「こら、キルルくん。個人情報をぺらぺらと他人に教えるんじゃない。空間精霊に頼んでカンカン照りの砂漠に飛ばされたいか」
「ひい」
ディスカに脅され、私の後ろに隠れるキルル。
「キルルくん、日光に焼かれ続ける人生も悪くないんじゃないか」
「よくもまあそんなひどいこと思いつくね!! 年齢詐欺のイカレロリババア!!」
「ババアはどっちだ!! 400年も生きている吸血鬼のくせに!!」
「はあ~!?」
ディスカとキルルの魔力が上昇する。
「2人とも!! 城内での戦闘は禁止ですよ!!」
「止めないで、フローラちゃん!! 今日という今日は決着をつけないと!!」
「奇遇じゃないか、キルルくん!!」
2人の魔力で王城全体が揺れ、窓ガラスが割れて壁もミシミシと音を立てている。
「召喚術式――起動、空間精霊スパティア」
「キルルの魔法を忘れたわけじゃないよねえ。今日からキルルは精霊殺しだよ」
黒髪の精霊を召喚したディスカ。
にししっと笑い、右手を構えるキルル。
「やべえよ、フローラ。キルルとディスカはエーテルノじゃねえと止めらんねえぜ」
「エーテルノはラスレア皇国へ遊びに行っていますし……どうしましょう、冗談抜きでやばいですね」
「私が止めてあげようか」
焦り出すララとフローラに、私は声を掛ける。
「そうでした、カレンがいたのでした!! お願いします、2人を止めてください!! 報酬はたんまりと差し上げますので!!」
「任された!!」
私はグッドサインを浮かべると、ディスカとキルルの間に飛び込む。
「砂漠でこんがり焼けてこい!!」
「うるさい!! 粉々になっちゃえ!!」
「はい、そこまで――『天銀ノ裁秤』」
指を鳴らし、銀色の天秤を呼び出した。
天秤の影響で空間精霊スパティアは強制退去させられ、キルルも魔法が使えなくなる。
――そして。
私は体術だけで、2人を壁まで吹き飛ばした。
「「ぐふ!!」」
壁に叩きつけられ、激しく咳き込む2人。
2人を無力化させると、私は銀色の髪を手で払うのだった。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!!
ディスカとキルルを一瞬で無力化したカレン強いですねえ。
アメルのお母さん――シオンの死亡理由はモルス病。致死率80%は怖いですねえ。
キルル可愛い。
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