『冒険の再開』
「謹慎終了!! 今日から冒険者活動の再開だよ!!」
商業都市から離れた場所にある、私たちのギルドハウス。
コーヒーの香りに包まれたリビングで朝ごはんを食べていた時、2階からアメルが駆け下りてきた。
「朝から元気ですね」
「当たり前じゃん!! 謹慎が明けるんだから!!」
苦笑するサツキに、アメルは満面の笑みでピースサインをする。
リンを騙し、レイン・ドゥクスアの討伐依頼を1人で受けてしまったアメルは、冒険者協会から2週間の謹慎処分を言い渡された。
謹慎期間中は冒険者協会への立ち入り禁止。もし破れば冒険者カード剥奪というわけで、アメルは2週間ずっとギルドハウスに引き籠っていたのである。謹慎期間中は私とサツキの2人だけで依頼に出かけ、簡単な依頼で活動資金を稼いでいた。
――そして。
2週間が経過し、アメルの謹慎が明けた。
今まで溜まっていた鬱憤を晴らしたいのだろう、アメルはやる気満々である。
「謹慎明け1発目の依頼はどうしようか?」
「鈍った身体を叩き起こしたいから、泊まり掛けの難しいやつがいいなぁ!! 手を合わせて、いっただっきまーす!!」
今日の朝食は、ふわとろオムレツ・カリカリのトースト・栄養満点のサラダである。
サツキの得意料理であるふわとろオムレツは、ナイフで中心を割ると半熟とろ~り。濃厚な卵の味わいとバターの風味が感じられ、甘酸っぱいケチャップとの相性抜群。
口元にケチャップを付け、美味しそうにオムレツを頬張るアメル。トーストもサラダもあっという間に食べ終えて、アイスココアで喉を潤した。
「「「ごちそうさま!!」」」
3人とも食事を終え、郵便受けを確認する。
新聞が投函されており、2週間が経っても一面を飾るは熾天使カレイアの話題。
熾天使カレイアが降臨した聖地ということで、世界中から私を信仰する人々が港町アクリナに押し寄せてきているらしい。
「カレンの記事、まだまだ消えないね」
「さっさと消えてほしいんだけどね……女王様のせいだよホント、世界中に発表しちゃうんだもん」
私のことが記事にされてから――。
アルファード王国のトップである、エルシア=アルファード女王陛下が港町アクリナに出向いて祈りを捧げたのである。
「熾天使カレイアの信者は世界中に存在していますから……しばらく話題が消えることは無いでしょうね」
「まったく、あれもこれも全部ルヴィエラのせいだよ。あいつがティアレとラードニアを差し向けてさえ来なければこんなことにはならなかったんだ」
「まあ、今更どうにもなりませんし、気持ちを切り替えるしかないですね。身支度をして冒険者協会に行きましょう」
◇
身支度を終え――
3人で冒険者協会に行くと、アメルの帰りを待っていた冒険者たちが近づいてくる。
「おかえり、アメルちゃん」
「謹慎期間中はゆっくりできたかい?」
「いくら事情があっても、今度はあんなことしたらダメよ~?」
「あはは、反省してます……」
アメルの心配をしていた冒険者は多く、謝罪回りに30分くらい掛かってしまった。
アメルのことを娘や妹のように見ている者も多く、救助隊を結成しようとか言い出す者も出ていたらしい。その暴走を止めていたのが、受付嬢のリンである。
「面白そうな依頼あるかな?」
依頼掲示板に向かい、私たちは謹慎明け1発目の依頼を決めようとする。
アメルの希望は、泊まり掛けの難しい依頼。そうなると、レイン・ドゥクスアみたいなBランク最高難易度級だろう。
「「……」」
サレヴィア・ティアレ・ラードニアといった、余裕でS級超えの存在を間近で見ているため、アメルとサツキは物足りなさそうな表情である。
「なんだかねえ……」
「ドラゴンを見てしまうと、どうしても物足りなく感じてしまいますね……アメル、Bランク最高難易度はどれでしたか」
「三頭三尾の蛇の討伐任務だよ。霊峰ファウゲールに住み着いたから討伐してほしいだって」
「三頭三尾の蛇ですか……姿も名前も聞いたことありませんね。霊峰ファウゲールはワイバーン航空サービスで2日は掛かる場所です。これをクリアすればAランク昇級試験を受けられるようですし、ちょうどいいんじゃないですか」
「じゃあ、これにしようか」
三頭三尾の蛇の討伐の依頼書を剥がすと、私たちは受付に向かうのだった。
三頭三尾の蛇って、アマテルシアさんが神界で飼っていた八頭八尾の蛇と関係があったりするのだろうか。
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