『封印』
「これで、2人の生命は共有されたよ」
ルヴィエラにより、エーテルノとアメルの生命が共有された。
「何かをされたって感じはしねえですね。アメルはどうですか」
「私も特に」
変化を感じないのか、不思議そうにするエーテルノとアメル。
「あのカレイアでさえ気づかなかったんだから、君たちが気づかなくて当然だよ。きちんとなっているから安心していいよ」
「アメル、全身切り刻まれたり身体を爆破されても死にそうにねえですか?」
「いや、わかんないよ?」
「死亡体験するですか? 今しかできねえですよ?」
「や・ら・な・い・よ!!」
エーテルノのからかいに、アメルは激しくツッコミを入れる。
2人のやり取りを見て、サレヴィアが口を開く。
「あんたらイチャイチャしてないでさっさとやりなさいよ。こうしている間にもカレイアが……襲って、こない、わね?」
「大丈夫、カレイアなら静かに目を閉じてるよ。寝てるのかな。焔に守られてるから手は出せないけど」
「アルンフィード様、アレはおそらく寝ているのではなくて瞑想して集中力を高めているのではないでしょうか。少しでも調子を取り戻すために」
「「「やばくね?」」」
サツキに言われ、全員が顔を真っ青にする。
「アメェェェェェル!!」
「ねえ、ホントにエーテルノちゃんと生命共有されてるんだよね……? ホントのホントにされてるんだよね……?」
「ここで騙しても私には何の得も無いよ。そんなことをすればカレイアに焼き殺される未来しかない。心配しなくていいよ。君の全力、見せてみなよ」
「信じるからねえ……? ウソついたらゴーストになって嫌がらせするからねえ……?」
「わかったから早くして。死んだらどうにかしてあげるから」
ルヴィエラに呆れた表情で見つめられると、アメルは頬をぱちんと叩いて気合いを入れる。
そして、静かに目を閉じる。
「「「「……ッ!?」」」」
アメルから放たれるのは、異様な魔力。
魔力感知を使える全ての者が、無意識のうちにアメルから距離を取ってしまう。
「……なるほど」
目を開けて、ぽつりと呟くカレイア。
「封絶牢獄タルタロス、最下層へと接続開始。20の封印、解除開始。第1の封印解除、成功。第2の封印解除、成功。第3の封印――」
「クラウィスの血はここで絶やさねばなりません。封絶牢獄が開くことなどあってはならないのです」
「第5の封印解除、成功――」
第5の封印が解除された時、カレイアが地面に手を当てる。
「――『終焉ヲ告ゲシ焔海』」
「うん、本気で殺しに来ているね。力を貸してくれ、水神リアス。もちろん、全力全開フルパワーだ」
世界を飲み込まんとする銀色の海と、水神リアスの海がぶつかりあう。
「リアスの権能、やはり邪魔ですね。まずは貴方から殺しましょうか」
「……」
光る。
そして、遅れて聞こえたのはじゃらりという鎖の音。
「光速特攻を使うとすればこのタイミングですよね。熾天使ルフィアに気を取られたこの一瞬。貴方が見逃すわけがない」
「カレっち、わざと隙を作りやがったな……」
「クラウィスと熾天使ルフィアを囮にして、熾天使ソフィエルの『封天ノ鎖』でワタシを無力化するつもりだったのでしょうが……この中で一番警戒すべき貴方から意識を逸らすわけがないでしょう、ラードニア」
「はあっ……はあっ……」
ラードニアの光速特攻は、全魔力を消費する。
最後の望みを込めた光速特攻が躱され、ラードニアは息を切らしながら地面に片膝を附く。
「ラードニアが力尽きた今、ワタシに敗北はありません。クラウィスのありとあらゆる痕跡をこの世から抹消します」
「遠距離魔法を使える者!! 総攻撃だ!!」
聖槍アルジェーレを握ったカレイアが――
アメルに攻撃を仕掛けようとした時、アズリオンの号令が掛かる。
「『凍星無限』」
「『無限ノ剣舞』」
「『超巨大重力弾』」
サレヴィア、サツキ、エーテルノにより、最大火力の一撃が繰り出される。
しかし、それが魔法であるかぎり――
「無駄です」
銀色の焔により、全ての魔法が焼き尽くされてしまう。
「くそったれ、魔法じゃあ数秒の足止めにしかならねえですか。アメルはどこまで封印を解除できて――」
「第18の封印解除、成功」
封印が全部で20、残るは2つ。
「やらせません」
カレイアは聖槍アルジェーレを突き出して、アメルを貫こうとする。
眼前に迫りし聖槍アルジェーレ。躱すことは不可能。
――そう、全員が諦めかけた時。
「……ッ!?」
アメルを貫く寸前で、聖槍アルジェーレがぴたりと動きを止める。
驚きを隠せないカレイア。
「第19の封印解除、成功」
「身体が動きません……まさか、私が邪魔を……ぐ、ぐう、まだ眠っていなさ――」
「第20の封印解除、成功」
そう、アメルが告げると同時――
超巨大な黒い魔法陣が、アメルの足元に顕現するのだった。
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