◆After編の没シーン 第六話22
トリトラが秘書を踏んだ後、修太が目を離したすきに、グレイがブランドンの締め上げにかかっていた……の続きのとこ。
修太視点だとどうしても笑えるから、カットしました。
ブランドンは背が高く横幅もある。そんな巨体を、グレイは右手だけで首をつかんで宙づりにしている。
『大丈夫だって言ってんのに!』
このままだと死んでしまう。ブランドンのことは嫌いだが、余罪があるのだから、裁判で全部あきらかにしたほうが絶対に良い。そうすれば前の被害者も浮かばれるというものだ。
修太は周りを見たが、グレイとトリトラの激怒っぷりに及び腰になっている。せめてマスターだけでも動いてくれとぶんぶんと手を振ると、ようやく気付いてグレイのほうに駆け寄る。
「賊狩り、殺すな! 重要参考人だ!」
「――うるせえ。消えろ」
グレイの殺気がこもった鬼のような形相に、ダコンは蛇ににらまれた蛙みたいに固まる。
「はい、すみませんでした」
――うわあ、一瞬であきらめた! マスター! 仕事して!
それならリックはどうかとそちらを見ると、「無理」とばかりに首を振られた。グレイより冒険者ランクが下だから、拒否して当然だ。
しかたがない。修太が止めるしかない。
修太は決死の思いで、グレイの左腕をつかむ。ビクともしないのでしがみついて下に体重をかけてみたが、修太がぶら下がれることが分かっただけで、何もできない。
――っていうかすごすぎない!? グレイの筋肉って鋼でできてるの!?
緊急事態なのに、つい感動してしまったが、ブランドンの顔が赤くなっていくので、修太は焦りに焦った。声も出ないのに、必死に「やめろ」と言っていたら、ふいに喉に痛みが走る。
「げほっ、ごほっ」
その場でせきこみ、口を手で押さえる。手の平に血がついたので、自分でもびっくりして固まった。
すると、グレイがブランドンから手を離した。ドサッと床に落ちる音がする。ブランドンは息をしようと、床にはいつくばるようにしてせきこんでいる。
続きは現在のものにつながる感じですね。
ブログから消すために、こちらに移動しました。別に置いておかなくても消してもいいかなあとも思ったんですが、一応。




