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聞き捨てならない間男情報

 俺は聞き耳を立てていた。

 いや、プリンの横顔が可愛らしかっただけだ。

 ちっちゃな鼻は綺麗な三角形で、その鼻を指先で突きたいと考えた。


 柔らかそうだ。

 あの子はミーアのように怒ってひっかいて来るだろうか。


 ひっかくという言葉で、俺はミーアにやられた数々の爪痕などではなく、背中をプリンに引っかかれるというシチェーションこそ考えてしまった。


 って、いやいやいやいや。

 俺は何を考えているんだ。

 俺はあの子を守る立場だろう!


 けれど、ミーアみたいだと、守りたいとプリンの事ばかり考えているうちに、俺はプリンに愛着と執着心が湧いていたのだろうか。


「いや、違う!あの親父の正体を掴まねば!」


 それなりな男でプリンが恋しているというのであれば、俺は臍を噛みながらも無事にそいつにプリンを嫁がせてやろう。

 シャンタルを妻にするなんてルーファスはいかれていると思うが、恋愛結婚らしいこの二人は見ていて微笑ましいのでもある。


 いや、まさに微笑ましい。

 シャンタルが俺を攻撃してこない。

 プリンはよくもあんな危険な生き物と、親友づきあいなどしていたものだ。


「ねえ、僕もさ、シャンタルに聞いて心配していたんだ。可愛いプリンの恋をした相手にはね。で、僕はその男を見ている。知りたいかな?」


 俺はヒューを睨んだ。


「君は!一体何年前からプリンを知っているんだ。」


 ヒューはにっこりと笑うと、四年前かな、と軽く答えた。


「四年前?」


「そう。僕がもう少し線が細かった時、恋した相手とダンスがしたいとドレスを着て会いに行ったんだ。結果、玉砕。飲んだくれて公園で転がった。」


「そんな君とプリンはどうやって出会ったんだ。」


 ヒューはクスリと笑うと、自分の両目の前に二本立てた指先をかざし、その後にその指を窓の方向へと向けた。

 軍隊ではよく見ろと言うポーズだが?


「何かな?」


「だから、プリンのお部屋から公園の情景が眺められるんだよ。あの子は寮を抜け出して、可哀想な僕を介抱して自分の部屋に匿った。」


 俺は声が出ないままヒューを見つめていた。

 彼は男色では無かったか?


「まあ、僕はどっちでもいけるけど、あの日は――。」


 俺はヒューの襟をつかんでいた。


「貴様!プリンに手は出していないだろうな!そこまで親しくしておいてあの子と結婚しなかったのはどんな料簡だ!」


「その馬鹿は俺の結婚式まで、プリンに会う時は女装していたからだろ。」


 俺は話に潜り込んで来た魔王様を見つめ、プリンの恋バナは全て冷静に疑ってかかるべきだと脳みそに上書きした。

 しかし、俺の目の前にいるのは、シャンタルなんて怖い女を嫁に選んだ男だ。

 彼は冷静になった俺の頭に再び毒を流し込んで来た。


「シャンタルに聞いて俺もその中年オヤジを見張ったんだけどなあ。あんなぱっとしないくたびれた男に本気とはなあ。」


 俺はどうするべきであろうか。

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