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議員様と戦略会議というか、相談事?

 有能な兵は取りあえず情報を探るものだが、俺はプリンの部屋につながる使用人通路にて彼女達の会話を盗み聞いて、プリンの悲しみを知った事でその場で頭を抱えてしゃがみ込むしか無かった。


「ハンカチを貸そうか?」


 魔王様は人の家の使用人通路だって出現できるらしい。

 どうやって潜り込んだと聞き返すよりも、本気でハンカチを俺に差し出しているルーファスに俺は気が緩んだ。

 指先で簡単に自分の目尻の涙を拭うと、ルーファスの隣に立ち上がった。


「ありがとう。ハンカチよりも助言を頼めないか?俺はどうしようかなって、思っている。俺はあの子が好きだよ。好ましく思っている。だがそれが恋じゃないのならば、あの子はもっと傷ついて辛いだけなんだよな。」


「恋心って何だろうね。」


 俺は唖然とした顔を彼に向けていた。

 この男は恋を知り尽くしている恋愛結婚組の奴だろう、と。

 しかし、貴族院で恐怖の王と呼ばれる男は伊達じゃなかった。


「とりあえずさ、子供作っちゃえばいいんじゃないの?恋なんて思い込みの産物の時もあるのでしょう。」


「君さ、プリンちゃん達の話を聞いていた?まずは恋した相手じゃないと、プリンちゃんはやりたくないらしいよ。」


「プリンは君に恋しているんでしょう。君が上手に誘えるかどうかじゃないの。」


「お前さ、自分に恋している相手だったら、今まで簡単に手を出していた?」


 ルーファスは俺から目を背けた。

 俺は初めてシャンタルに尊敬の念が湧いていた。

 この目の前のろくでなしを彼女がどうやら真人間にしたらしいのだ。

 そんな元ろくでなしが再びろくでなしな口を開いた。


「君が出来るかどうかの話なんだと思うんだけど。俺達男はさ、したくない相手には勃起しないものでしょう?」


「そんな事を言える君のくせに、君は過去には色々な相手と出来たんだ?」


 ルーファスはわっはっはと笑い声をあげた。

 プリン達に盗み聞きがバレるじゃないかと、俺は慌てて彼の口を塞いだ。


「何をしているの!」


「盗み聞きがバレるね。だけどさ、君のおぼこぶりが嬉しくてね。君は軍隊出身でもそんなに遊んではいなかったんだ。」


「――それどころじゃ無かった。同じ釜の飯を喰らう隊の人間なんか、家族みたいなもんだろう?その家族が減ってしまう度にさ、俺はあんまり勃起なんてしなくなっていったよ。だからあんまりいい指揮官じゃ無かったのかな。勃起しまくりの奴は戦績を上げていたからね。」


「俺は君の戦歴は好きだよ。兵士を殺さない指揮官は有能だ。馬鹿みたいな遠征にも異を唱えてくれていた。君の報告書は全部読んでいた。」


「ありがとう。では、俺よりも俺を知っている議員様。俺はどうしたらあの可愛いプリンを笑わせてやることが出来ると思う?」


「その気持ちを言えばいいんじゃないの?俺は言ったよ。君を恋しているかどうかわからないが、君が目の前からいなくなる人生は考えられないってね。」


 俺はルーファスから体を離すと、再び粗末な使用人通路にしゃがみ込んだ。


「何をしているの?恋心が分からないという君の為に、恋心が分からない男の過去バナを恥を忍んで聞かせてやっているんだけど?」


「うるさい!ああ、君は相手に最高の言葉を言ったかもよ!それで、俺は君が言った言葉をプリンに使えないって事じゃないか!絶対にプリンはシャンタルから君のプロポーズの台詞を聞いているね。」


「いや、これはプロポーズじゃないよ。」


 畜生!さらに別なセリフを言い放ったというのか、この魔物は!


「お前が言った事など聞きたくない。」


「俺はプロポーズなんかしていない。シャンタルが突きつけたんだ。自分と結婚するかここで世界をお終いにするか今すぐ決めろ、ってね。」


 俺はシャンタルの足下に及ばない!と、情けなく思いながら両手で顔を覆った。

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