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わくわく異世界冒険?  作者: りんごはるさめ
3章
88/102

80話 おっさん冒険者と戦闘狂たち

大変お待たせしました、80話です。

この話は前半と後半で視点が違います。

前半部分は視点の名前が書いてあるのでわかると思いますが、後半は主人公の視点に戻っています。

……分かりにくくてすみません。


年内の投稿はもう1話出来るかどうかといったところです。

一応大晦日まで仕事があるので……。

更新できるかどうかは活動報告でしっかりと書きますので、そちらをご確認頂ければ分かりやすいと思います。

遅くとも30日には次話の投稿が出来るかどうか書こうと思います。

長々と失礼しました。本編をどうぞ。


追記:ごめんなさい、79話でしたm(_ _)m訂正してます。

さらに追記:サブタイも間違えてました。おっさん冒険と戦闘狂たち→おっさん冒険者と戦闘狂たち

30日追記:年内にもう1話更新出来そうです。


2018年1月15日に改稿してます

2月22日追記:話数が間違っていました。訂正してます。


 80話 おっさん冒険者と戦闘狂たち


 ーーガルム視点ーー



「全く、鍔鳴りとはよく言ったもんだぜ。」


 俺は目の前で起こっている出来事に対し一人呟いた。


 今はカンフーパンダム8体が群れて襲って来たため、戦闘になっているところだ。

 通常なら負ける事は無いだろうが、中々に厳しい場面ではある。しかし、現状は厳しいの『き』の字も見当たらない位に余裕だ。

 理由は言わずもがな、ハヅキとラナンキュラス・・・・・・・だ。


 ハヅキの二つ名、『鍔鳴り』はその戦闘スタイルと武器からそう呼ばれていると聞いたが、まさにその通りだった。

 俺だってAランクまで来たんだ。それなりに修羅場は超えているし、強敵とも戦った。だがその俺でも奴の剣筋を見切る事は出来なかった。


 本当に一瞬なのだ。

 奴が武器を抜いた。そう思った時には敵は絶命しており、武器を仕舞う音だけが不気味に鳴り響く。

 これでBランク・・・・?冗談じゃない。戦闘能力だけ見れば間違いなくSランク(人外)の域に到達している。

 そしてそれはラナンキュラスにも同じ事が言える。


 嬢ちゃんは自分の事をDランクだと言っていたが、詐欺にも程があるだろう。

 先程の探索魔法?スキル?もそうだが、今だって無詠唱で魔法を使い、二本の短剣でCランクの魔物であるカンフーパンダムの首を悠々と跳ねている。

 しかもそれを一切相手に気取られないのだから恐ろしい事この上無い。


 正直、Dランクの実力なんかでは決して無いのだが、確かギルドの規定に奴隷はランクをD迄しか上げられないとか言う下らないもんがあったから、恐らくはハヅキの奴隷なんだろう。

 奴隷にしては服や装備もかなり良いもんを使っているが、ギルドの酒場で他の連中から話を聞いた限りだとハヅキはあの嬢ちゃんを溺愛してるらしいし、納得もできる。

 まぁ、自分の命を預けることになるパーティーメンバーの装備を整えないなんて馬鹿のする事だ。ハヅキはかなり頭が切れる様だしそんな考えは持たないだろう。


「………戦場において余念があり過ぎるな、全く。」


 小さく俺は呟くが頭の中は切り替わらない。

 驕っていたつもりはないのだが、俺自身Aランクまで登り詰めた事もありどこか気が大きくなっていたところもあるのだろう。

 今まで積み上げて来たプライドや自信がガラガラと音を立てて崩れていくのが分かる。

 あいつらは俺よりも遥かに強い。

 の俺では持って数十秒なもんだろう。


 それくらいあいつらは格が違う。

 今の戦闘にしてもあの二人は一切本気を出していない。カンフーパンダム程度、片手間で処理出来る相手という事なんだろう。


 俺は思わず身震いした。

 その圧倒的な力に、圧倒的な才能に、年甲斐も無く憧れた。

 そして俺に新しい可能性を見出してくれた事に興奮し、俺自身の未来・・に血が騒いだ。


「……あんな若い奴らがあそこまでやれんだ。俺にだってまだまだ上があるって事だろう。」


 強さを求めて冒険者になったが、最近はどこか閉塞気味だった。歳を重ねるにつれて自身の強さが完成されつつあると思い込んでいたのだ。

 だが、奴らのおかげで目が覚めた。


 俺はまだまだ強くなれる。


 その事が俺を打ち震わせる。

 ……これは俺の固定観念をぶち壊してくれたあいつらに感謝だな。


 俺はニヤける口元を押さえ、咆哮と共に戦場へと駆けた。




 ガルムは流石Aランクの冒険者と言うだけあって、強い。

 踏んで来た場数が違うんだろう。手馴れていると言えばいいのだろうか?無駄や隙が無くて効率良く見える。これは俺やララには無い要素だ。

 まぁ、こればっかりは場数を踏んでないと得られないものだし、焦ることではないか。


 そんなガルムの戦い方は何と言えばいいか……。一言で表すなら脳筋、これに尽きる。

 自身の身の丈よりも大きな大剣を持ち、敵へと突進、そのままぶった斬ると言う何とも言えない戦い方だ。

 実にシンプルだが、シンプル故にその練度は普通ではない。

 突進する速度、踏み込みのタイミング、振る剣の速度、角度など実に洗練されていて、その全てが彼が強者である事を物語っている。

 ただ、あの笑顔は何とかならないものか……。顔の厳つさと相まってどう見てもカタギに見えない。いや、冒険者自体がカタギでは無いんだろうが……。

 と言うか何で戦闘中にあんなに顔がニヤける事が出来るんだよ。ただの戦闘狂じゃねぇか。


 それに他の仲間の4人もかなり強い。

 ステータス的にも戦いぶりからしてもシルヴアが彼らのパーティーのナンバー2だろう。

 ガルムもそうだが魔力での身体強化が出来るし、前線を支える役割としては申し分ない働きをこなしている。

 称号にある『不沈の盾』の名は伊達では無いと言う事だ。


 そして後衛と言えばエリルだ。

 彼女の放つ魔法は凄まじい威力だ。主に使う魔法は水魔法と氷魔法で、今のところ大規模の魔法は使っていないが、何と!無詠唱で魔法を使っている。

 今まで見た魔法使いの中でもトップクラスの実力を持っているのは間違い無いと思う。


 そこに神官のランと斥候のケイトが加わり、最初に感じた息の噛み合ってない漫才集団は何処へ行ったのかと思う程に彼らの連携は完璧だった。


 そうして自身の戦闘の傍、彼らの戦闘を眺めていると直ぐに彼らの相手にしていたカンフーパンダムが全滅した。

 そのところでようやく一息つく。


「ふぅ。やっと終わったか。」

「その割には全く余裕そうだったがな。」


 俺のつぶやきにガルムが反応する。

 別にそう言う意味で言ったんじゃ無いんだけどなぁ。誰だってこれから強い奴と戦うっていうのに雑魚戦で消耗なんてしたく無いだろう。それと戦闘が面倒臭かった。

 俺はため息混じりにガルムの問いに答える。


「これからが本番だって言うのに全力なんて出せるわけがないだろう。」

「それもそうか。がはははは!」

「……はぁ。ガルムはいつもこうなんですから……。作戦を立案する身にもなって下さい。」

「そう言う事は俺よりお前の方が得意だろ。」

「だからそう言う事ではないんですが……。」


 ……苦労してるんだな。このおっさん、戦い方だけでなく頭の中まで筋肉でできていたのか。そこそこ頭がキレるようにも感じたんだが気のせいか?


「ハヅキ様。」

「旦那、相手の大将のお出ましだぜ。」


 俺たちの会話に割って入るようにララとケイトが警告を発した。……ようやくお出ましか。

 二人の言葉に俺たちに緊張が走った瞬間、辺りに突風が舞った。


「よく来たな強者たちよ。我はゲルバルド、魔族の末席を汚すものだ。」


 突風と同時に現れた者はやはり奴、ゲルバルドだった。

 首なし騎士デュラハンの名前の通り、首は存在せず、全身を真っ黒の甲冑で守り、同じく真っ黒な一振りの細身の長剣を腰に携えている。

 首が存在しない事を除けばまさに純騎士と言った言葉が相応しい風貌だ。

 俺は突然現れた事に驚きつつも平静を装いつつ話しかける。


「これはご丁寧にどうも。俺たちは依頼を受けた冒険者なんだけどさ、まずは話をしない?」

「主らがここへ来たと言う事は先の奴らから情報を得ているのだろう?話す事は何もない。さぁ戦おう。これほどまでに強者が集まっているのだ。戦わずしてどうする。」


 頭は存在していないが、そう言う奴は笑っている気がした。

 確かに俺たちは討伐の依頼を受けたし、こいつの目的も知っているが、有無を言わさず戦闘ってこいつも戦闘狂かよ。

 そんな俺の心中はいざ知らず、ゲルバルドは俺をはっきりと見据えて?言った。


「……特にお主。主は他の者とは一線を画した強さを持っておるな。是非、手合わせ願いたい。」


 ……え?俺?………やめてよ!何で俺なんだよ!戦闘狂同士、ガルムとチャンバラやってろよ。

 それにララも小声で『ハヅキ様のお力を見抜くとはやりますね』とか言ってる場合じゃないでしょ!?バッチリ聞こえてるからね!?


「是非!是非!我と手合わせを!」


 ゲルバルドは声を荒げて一歩一歩こちらへと迫ってくる。

 ……鼻は無い筈なのに鼻息が聞こえる気がする。幻聴か………耳鼻科行かないとな……。いやこう言うのって精神科なのか?

 俺の受難は終わらない。












ご視聴ありがとうございます。

ブクマ、評価ありがとうございます!


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私、勇者召喚に巻き込まれて死にました?
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