44話 実は悲しい?理由でした
この話で1章が終わると言ったな、あれは嘘だ。
……すみませんm(_ _)m言いたかっただけですw
少し長くなってしまったので分割して投稿します。
コ◯ンドーいい映画なんですけど私の周りには知っている人がいないんですよね……布教しなければ(使命感
11月6日に再改稿してます
44話 実は悲しい?理由でした
ギルドの1階に戻った俺たちを迎えたのはいつもの5割り増しの喧騒だった。
「……ナンジャコリャ。」
つい先程まで下で観戦していたはずが、何が起こったのかギルド内は飲めや歌えやのどんちゃん騒ぎで収拾がつきそうにない。よく見れば冒険者だけでなく、ギルド職員の人まで飲んでいる。……おい仕事しろよ。
そんな勢いにたじろんでいると、エリエットに声をかけられた。
「やっときましたね、ハヅキさん。ギルドマスターが上で待ってます。付いて来て下さい。」
そう言ったって仕方がないだろう。
みんながみんな好き勝手に話しかけて来て勝手に帰っていくんだから俺たちが遅くなるのは必然というものだ。
つまり……俺は悪くねぇ!俺はしん……やめておこう。なんか微妙に違う気がした。別の機会にとっておこう。
「……話は変わるんですがあれ、止めなくていいんですか?」
俺が質問するとエリエットは酒の入ったジョッキを豪快に一気飲みする女性職員を見て、少しばつが悪そうに笑った。
「はは……。彼女はあの貴族にちょくちょく絡まれてましたからね。その度にギルドマスターが仲裁に入ってはいたんですが……かなりストレスを感じていたみたいですね。」
「それは……お気の毒な事で。……エリエットさんはそういう事なかったんですか?」
ふと気になったので聞いて見たが言葉は返ってこなかった。その微妙な空気の流れでだいたい察した。
あっ、地雷踏んだな、と。
そう思うが時すでに遅し。エリエットは何か誤魔化すように笑みを浮かべ空笑いを始めた。
すみません、十二分すぎるお返事です。
「………なんか、すみません。」
「い、いえ……。ハヅキさんが悪いわけではないですから。むしろハヅキさんのおかげでスキッと爽快!って感じでしたから。」
微妙な空気になったところでギルマスの部屋に着いたので決定的なカタストロフィは免れた。
……免れた?
「……失礼します、エリエットです。ハヅキさんとラナンキュラスさんをお連れしました。」
「おう、入れ。」
エリエットがドアをノックすると中から爺さんの声が聞こえ入室を促した。
「失礼します。」
「失礼致します。」
俺とララが部屋に入りそれぞれ座り、定位置(俺の斜め後ろ)に立ったところで爺さんが口を開いた。
「まずは礼を言おう。おかげであの坊ちゃんも少しはおとなしくなるだろう。これが約束の報酬だ。」
そう言って爺さんは金貨2枚をテーブルの上に置いた。
「はい、確かに貰いました。……突然なんですが、今回の件とはあまり関係のない質問をしてもいいですか?」
「なんだ?」
「いえ、この街は多種族をあまり嫌ってはいないのですか?この国は人族至上主義と聞いていたのに思ったよりも排他的な意思が感じられませんでしたから……。」
何を急にと思うだろうがこれはこの数日、この街で生活していてとても強く思ったことだ。
ララが俺の奴隷だからというのも理由にあるのだろうが、俺が想像していた展開とは違ってかなりぬるかった。
俺が日本で読んでいたラノベでは多種族という理由で襲われたり、無理やり奴隷にされたりされていたからだが……。あれ?それに近いことされてね?俺もララも街の外で襲われたし、ララは周りと違うという理由で虐げられてきたし……。
ま、まぁ俺の想像だともっと酷い事になりかねなかったんだよ。
中には多種族お断りみたいな看板が立ててある店もあったし、すれ違う多種族の奴隷(見かけたのは獣人)はボロボロの布切れ一枚でかなりやせ細っていた。多分かなり酷使されているのだろう。
しかし、ギルドで接してきた人や宿屋のミーシャさん、門番のリチャード、ドワーフのグレイヌなど気の良い人が多くいたのも確かだ。まぁグレイヌは人族ではないが…。
何か理由でもあるのかと思ってずっと聞いてみたかったのだが、中々機会がなく今まで聞けずじまいに……。
今日でこの国にいるのは最後になるだろうし、最後なのだから気にかかっていた疑問を解消しておきたいという事で聞いたのだが……。
「あぁ、その事か。」
爺さんは一つ苦笑いして息を吐いてから答えた。
「確かにこの街は皇都や他の街に比べてマシな部類だな。新人が多いし、多種族自体少ない。それ以上に領主の息子が嫌われていたからな。」
人族至上主義の国で多種族以上に嫌われる人族ってすげぇなおい。
「まぁ、言いたいことは分かるがそう言うことだ。根本は皇都の連中と変わらねえよ、住人の大半は多種族を毛嫌いしているからな。……言うまでもないと思うが皇都の冒険者には気をつけろよ。嬢ちゃんが見つかればお前がそばにいようが即連行だろうからな。」
どこにとは聞かない。
若く、見た目の良いエルフの女性、しかも奴隷ときた。この時点ですでに役満だろう。
「まぁ、近づくつもりは無いので大丈夫だと思いますよ。」
「だろうな。質問はもう良いのか?」
「はい。」
正直もっとこう……心温まるエピソードを期待していたのだが現実は非情だな。
なんたって理由が『多種族より嫌われていた人族がいたから』だとは……。全く、まっったく同情する気には成れないが強く生きろよベレッチェくん………。あと少しは自分を見直せ。
俺の悲しい?思いは誰に届くこともなく心の中に消えて行った。
ご視聴ありがとうございます。
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