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幼女になった若返りの大聖女は、孤高のひきこもり研究三昧ライフを送りたい!!  作者: 高井うしお


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39話 試練の森

「さ、障壁のやり直しだ」


 シルヴィエはカイの肩の上で詠唱を唱えた。


「あれ……?」

「どうした」

「魔力が……完全に回復している」

「え?」


 シルヴィエは泉を振り返った。


「ウンディーネ! ありがとう!」


 シルヴィエの声に応えるように、森の泉の水面は風もないのにさざめいた。


「精霊が回復してくれたのか。シルヴィエ」

「そうみたいだ。……正直ありがたい」


 心なしか体も軽い。


「この体は体力も魔力もすぐにエネルギー切れになるから」

「ほぼ、不眠不休でここまでやってきたんだ。しかたないさ。さ、進むぞ」


 しばらく進むと、何か妙にあたりが明るくなってきたのを二人は感じた。


「あれは……精霊?」

「ああそうだな。火の精霊サラマンダーだ」


 シルヴィエとカイの視線の先には体から熾火のように火を噴いている巨大なトカゲの姿があった。


『ようこそ、精霊の森へ』


 サラマンダーは目の前のシルヴィエとカイに向かって、低くしゃがれた声を発した。


「ここを通して欲しい、サラマンダー」

『私の条件を飲めばここを通してやろう』

「……分かった。なんだ」


 精霊からの試練がまたシルヴィエに突きつけられた。


『背中の(かさ)を取って欲しい。それだけだ』

「瘡……?」


 良く見ればサラマンダーの背中にはこぶのように大きな瘡が出来ていた。


「……それを取るのか」

『ああ? 出来ないのか?』

「出来る!」


 サラマンダーの体は燃えさかっている。

 だが、構わずシルヴィエはその背に手を伸ばした。


「シルヴィエ!!」

「ああっ!」


 肉の焼ける匂い。そして気の遠くなるような痛みがシルヴィエを襲った。


『うーむ、お前の魂は情熱に燃えている。気に入った、良いだろう』

「あっ」


 シルヴィエが瘡をベリッと剥がすと同時に炎が消えた。

 すると、それまでシルヴィエを襲っていた熱さと痛みが消えていく。

 どうやらこれは幻想の炎だったようだ。


『通るといい』

「……ありがとう、サラマンダー」


 こうして二人はさらに森の奥へと進んだ。


「はぁ……心臓に悪い」

「これが精霊のやり方なんだ」

「そうなんだろうけど……」


 そのままずっと奥に進む。だが、進んでも進んでも同じ様な風景が続き、森の奥にはたどり着かない。


「なあ……さすがにおかしくないか?」

「うん……」


 カイもシルヴィエもどうやら迷ったらしい。


「道なんてないからなぁ……カイ。一旦下ろしてくれ」

「おう」


 シルヴィエはカイの肩から降りると、ロッドを掲げて神経を尖らせた。

 しかし濃い精霊の気配の中では自分がどこにいるのか分かりにくい。


「……多分こっちだ」

「多分って大丈夫かよ」


 カイが不安そうにシルヴィエの元へと駆け寄って来た。


『そうだぞ』

「なぁ、多分とか言って……ん?」

『やあ』

「!?!?」


 カイは突然返事をした誰かに驚いて振り向いた。


「カイ! うかつに返事をするな! また上位精霊だ」

『そうだぞー』

「……精霊!?」


 カイの視線の先には緑の髪をした逞しい体つきの男が立っていた。

 実際男かと言われればそれはまた別の話なのだが。


『やあ、俺はシルフ。惑いの森へようこそ』

「カイ、先に進めなかったのはきっとこの精霊のせいだ」

『その通り。ウンディーネとサラマンダーは君を通したそうだけどどうだろう』


 シルフはくりくりとした大きな目でシルヴィエを見つめた。


「精霊のやり方で確かめるといい」

『ああ、そうさせて貰う』


 そう言いながらシルフはひょい、とシルヴィエを抱え上げる。


『はっはっは、軽いなぁ……』

「ひゃっ」


 シルフはシルヴィエを抱いたまま、空中に浮かんだ。


『森の空のデートをしよう』

「ああ」


 シルフはそのままパチンと指を鳴らした。するとそこに竜巻が現われる。


『そーれ』


 シルフはシルヴィエをその中に投げ込んだ。


「うわっ……」

『ふんふん……君の魂は自由を愛しているんだね。俺はそういうの好きだなぁ』

「ではここを通してくれるか?」


 突風にもみくちゃにされながら、シルヴィエはシルフに訴えかけた。


『いいよ!』

「じゃあ下ろしてくれ!」

『あ、そうだな』


 ようやくシルヴィエは風から解放されて地面に降り立った。


「あー、髪がぐっちゃぐちゃ……」

「どうだった!?」

「私は合格みたいだ、カイ」

『ごめんよ、試して。足止めしたお詫びに次の精霊のところまで送っていってあげよう』


 そう言ってシルフはパンと手を叩く。

 するとシルヴィエとカイの体は勝手に浮かび上がり、森の奥へと運ばれていく。


「わーっ! わーっ!」

「落ち着け、カイ」


 あまりの速度と高度に怯えるカイをいなすシルヴィエ。

 そして投げ出された先には洞窟があった。


『なんじゃあ』


 そしてそこから出てきたのはシルヴィエと同じ位のちいさな身長の老人だった。


『空から女の子が降ってきた』


 彼は、のんびりと地面に折り重なってひっくり返っているシルヴィエとカイを眺めている。


「もしかして地の上級精霊ノームか?」

『如何にも』


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