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幼女になった若返りの大聖女は、孤高のひきこもり研究三昧ライフを送りたい!!  作者: 高井うしお


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30話 蠢動

「男爵令嬢のアン。彼女は無類の読書好きで親も困り果てているとか。それから修道女見習いのメアリー、こちらは薬草園の薬草に大層詳しいとか。信仰心が厚く、修道院の預かりにはなっていますが親は反対しているようです。そして男顔負けに馬術と剣術の得意なテレサ。大変に頑固で……これも両親は手を焼いているとか」


 カイの屋敷にて、王子の見合い相手を探す為、独自に動いていたパーシヴァルはある日突然にやってくると、候補の釣書を読み上げた。


「なんか困り者のたたき売り市場みたいだな」

「しかたないでしょう、経歴に傷のないご令嬢はあらかた参加してるのですから」

「そっか……でもシルヴィエも変わり者だからこれならなんとかなるかも……?」

「うるさいっ」

「いててて! 向こうずねを蹴るなって」


 シルヴィエの反撃に涙目になりながら、カイはパーシヴァルに言った。


「それでは、見合いと言ったら絶対に断るでしょうから、まずはお話相手ということで話を進めたいと思います」

「ああ、そうしてくれ。いいな、カイ」

「ああ……」




「殿下、この間は強引に申し訳ありませんでした」

「別に怒ってはいないよ、パーシヴァル」

「ではもう一つ我が儘を聞いてください。例の噂を取り払う為に話し相手の女性くらいは居てもいいのではないかと……」


 パーシヴァルは必死にそうユリウスに訴えた。

 ユリウスはその様子をじっと見て、ため息を吐いた。

 普段、無理を言わないパーシヴァルがここまで言うのだ、と思いユリウスは頷いた。


「一度会うだけならば」

「そ、そうですか」


 こうしてウキウキと手はずを整えたパーシヴァルであったのだが……。


「やっぱり駄目か……」


 がっくりとうなだれてカイの屋敷にやって来たパーシヴァル。

 カイとシルヴィエは気の毒そうに彼を見やった。


「とにかく……その……個性的なご令嬢ではあったのですが、殿下はにこやかにお話されるばかりで……それだけでした」

「もっと変わり者じゃないと駄目なのか……?」

「お前な……」


 また向こうずねを蹴ってやろうかと身構えるシルヴィエ。

 カイはそっと距離を取りつつ考えこむ。


「シルヴィエみたいな変わり者……うーん……あ!」

「……どうした、カイ」

「エリンだ!」

「お前、なに考えてる!!」

「失礼……エリンとはどなたでしょうか」


 初めて聞いた女の名にパーシヴァルは首を傾げた。


「私の弟子だ」

「なるほど、子が親に似るように、師匠と弟子も似るといいますからね。いいじゃないですか!」

「しかし……エリンは平民だぞ!」

「……それはいかんともしがたい。遠縁にも爵位のある者は居ないのでしょうか………」


 パーシヴァルが途方に暮れたようにため息を吐いたその時、ドンドン! と激しいノックの音と同時に勝手に部屋のドアを開けて誰かが入って来た。


「失礼……! カイ様、……と、シルヴィエ様! パーシヴァル様まで!! ここにいらっしゃいましたか!!」


 突然その場に転がり込むようにやって来た男は方々を走り回ってきたらしく激しく息を切らしている。

 そんな彼にシルヴィエは不審そうな目を向け、問いかけた。


「お前は……?」

「で、伝令です! 魔族が、隣国に……北の隣国の国境間際に魔族の軍勢が現われたとのことです!」

「まさか!」


 カイとシルヴィエは互いに目を見合わせた。

 それもそのはず、魔王の力無しに魔族が集団で行動するなど考えられなかったからだ。


「魔王は封印されているのだぞ! 魔族はそれぞれ個々の能力は高いが、自分勝手で結束力というものがない。魔王さえ居なければ、人間のように通常は軍隊行動などできないはず!」

「はい、シルヴィエ様……ですが確かに今、隣国の国境軍と接触し戦が起こっているのです.

後ろ盾の立場にあるルベルニア王国としても動かねばなりません……」

「そうだな……」


 そう答えながらシルヴィエはちらりとカイを見た。

 隣のカイの握りしめた拳が、ブルブルと震えている。


「火急のことにて! お二人とも急ぎ王宮においで下さいませ!」

「分かった!」


 こうしてシルヴィエとカイは急ぎ足で王の間へと向かった。




「陛下!」

「おお、カイ、シルヴィエ。大変なことが起こった」

「は……」


 カイとシルヴィエは王の前に跪き頭を垂れた。


「恐れながら陛下。ルベルニアは援軍を寄越すおつもりなのでしょうか」

「シルヴィエ殿。もちろんそのつもりだ」

「では、私も従軍を」

「そなたその体で向かうつもりか」

「はい、しばらくこの体で過ごし、魔力のコントロールも出来てきました。以前とまったく同じではありませんが十分にお力になれると確信しております!」


 カイは横でそう主張するシルヴィエを見た。

 魔族から人々を守りたい。その気持ちを同じくしてずっと一緒に戦ってきたカイにはシルヴィエの気持ちは痛いほど分かった。

 たとえ、それが幼女の姿であっても。


「俺からも……頼みます」

「わかった。ではカイ、シルヴィエ。隣国に出現した魔族討伐の任を受けてくれ」

「はっ!」


 シルヴィエとカイはその王の言葉に真剣な顔で返事を返した。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 魔族が動き始めましたね……王子の相手探しとか言っている場合じゃなくなってしまった! っていうかシルヴィエさん、働き過ぎィ!!w
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