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終末世界でもう一度 ゾンビウイルスで世界は終わりましたが、転生した私は『収納スキル』でスローライフを目指します  作者: 柿の種
第6章

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Episode2 - 策を考えてみよう


 拠点、もとい居住エリアの住人が増えたからこそ生じたエネルギー問題。

 それに追加して、RPTや元の貯蓄があるが故にまだ表面化していない食糧問題や、生活域の環境問題等……幾ら私が複数の異能を扱えるとしても、中々に解決には時間が掛かるであろう問題。

……といっても、解決できちゃうんだよね。

 拠点へと戻ってきた私達は、五十嵐に事情を伝えた後。

 白星には倉庫の中から居住エリアへと持っていく物資の収納を任せ、少しばかり1人だけの時間を確保して。


「A.S.S。拠点関係のタスク、全部出してもらっていい?」

『畏まりました。……現在、待機中となっているタスクはこれらとなります』


 声と共に、私の周囲に何枚ものウィンドウが出現した。

 A.S.Sによるタスク発行機能、そしてそれに伴った報酬によるブレイクスルー。それ以外にも、A.S.Sは生活環境全般を整えるには最適すぎる機能が揃っている。

 その上で、現状はあまり必要がないと放置していたタスクを一気に達成していこうと考えたのだ。

……えぇーっと、こっちは……エネルギー系。うちの発電機から電力引っ張れば達成できる。他は……建築系のタスクが多めかな?

 出してもらったタスク全てを熟読するのではなく、すぐにでも達成できそうなものから、達成するのに少し時間の掛かりそうなもの、そもそも他のタスクを達成しない事にはどうしようもないものに仕分けしていくと。

 私が手を付けられそうなものは約3種類のタスク群に分ける事が出来た。


「まずは発電系。これは……ポイントとかで送電関係を交換すれば達成出来る」


 私の拠点にある発電設備は、初期のA.S.Sによるタスク報酬による影響で、終末前の世界であってもかなりのオーバースペックのもの。

 そこから居住エリアへと電力を引っ張った所で……私の拠点が電力不足になる事はあり得ないだろう。


「次に水源系……については、まぁほぼ発電系と同じか。これもポイントでオーケー」


 次に、人間の生活に欠かせない水。

 飲料水から身を清める為の綺麗な水、畑や家畜などに使う為の水と用途を考えればキリがない……のだが。

 これに関しても、初期から使いまわしている拠点の設備を使えば解決出来るだろう。


「最後に食糧系。流石に草薙さんだけじゃ畑が回らない規模感にはなって来てる訳だ」


 最後はこれまた生活には欠かせない食糧問題。

 以前までであれば、私の【植物栽培】の元々の持ち主である草薙を中心とした農耕メンバーや家畜等によって十二分に食糧は賄えていた……のだが。

 約倍と言ってもいい程度に人数が増えてしまったが故に、近い将来備蓄なども無くなってしまうだろう。そうなれば待っているのは飢餓。RPTによって少しは耐えられるかもしれないが、それも人によって差がある為にその場しのぎの域を出ない筈だ。

 故に、最優先で手を付けるならばこれからだ。


「んー……A.S.S。私のポイントから定期的に植物や動物なんかの成長剤を交換する事って可能?」

『可能です。低コストのモノにすれば生育速度も抑えられ、尚且つ長期的に見た時の人体への影響も少なく済みます』

「ちなみに高コストだと?」

『社会崩壊前の世界で何度も問題視されていたレベルの濃度の残留農薬が検出されますが』

「うん、やめておこうか」


 私の現在所有しているポイントは約100万程度。

 定期的に山に入ってくるゾンビを間引き、居住エリアの住人から家賃代わりに徴収しているのもあってそれなりに潤沢だ。これを定期的に使っていけば……恐らく、生育速度などの問題は解決出来るだろう。

 しかしながら、それはそれで私のポイントが減っていくという問題もある。居住エリアの人が増えれば回収出来るであろう消費とは言え、定期的に減っていくのは少し渋い顔になってしまうだろう。

……んー、出来ればゲームみたいな……永久機関的なのが出来れば良いんだけど。発電機とかその類だし、出来なくはないと思うんだけどな。

 ポイント交換画面を開きつつ、何かないかを探していると。

 ちょっとした機械を見つける事が出来た。


「えーっと。この『糞尿変換機』ってのはどういう代物?」

『そちらは、人や動物などの糞尿を使う事で肥料化する機械ですね。1台1台では作る事が出来る肥料の量はそこまで多くない代わり、先程提案した低コストの生育剤を作り出せる点が優れています』

「成程成程……これに似た機械を全部リストアップしてもらっていいかな?今うちの居住エリアから産出出来るものをコストにするのが最優先で」

『了解しました……リストアップ完了です』


 タスクウィンドウが全て閉じられると同時、私の目の前には複数のポイント交換画面が出現する。

 先程発見した『糞尿変換機』を始め、『植物変換機』、『無機物変換機』などの変換機を中心に、他にも様々な種類の変換機シリーズがそこには表示されている。

……ゴミとか全部埋めたりしてるだろうし……上手く使えば十分回せそう、かな?

 これらを運用する場合の問題点としては、コストとして要求されているものが多岐に渡り過ぎていて汎用性が無い事だろうが……その辺りはこちら側で指導したりすれば良いだろう。


「O.S.B、これらの機械の処理を私が提案する通りに出来たりとかする?」

『元々の機能から逸脱し過ぎていなければ可能です。他に必要な物なども交換して頂ければこちらで配置、ルート構築なども行えます』

「よしよし、ちょっと考えてる事を詰めていこうか」


 A.S.S、そして現在私の拠点全体の制御を行わせているO.S.B。

 この2つのシステムを使う事で、私が今考えた食糧問題の解決策が実現出来るかどうかを話していくと、


「――って感じなんだけど、どう?2人共出来そう?」

『必要な機械類他、ルート構築用の資材やドローンなどは所有ポイント内で交換可能です』

『一度変換し終わった生育剤を貯めておく為の倉庫が必要になるかと思いますが、その辺りも含め実現可能範囲であると言えます。また、制御も可能です。稼動に必要な電力に関しても、現在生産出来ている量を考えると十二分に余裕があります』

「おっけ、じゃあこの内容でやっていこうか。先に居住エリアで倉庫用の敷地確保とかしてくるから、それ以外の部分を宜しく。あ、他の電力、水源の居住エリアへの供給ラインの構築もお願いね」

『『畏まりました』』


 優秀な出自が謎のシステム2つは、私の要求を問題ないと判断した。

 ならば、それを実現させる為に私がまず動いていこう。

 善は急げと、収納し終わり私を待っていたのであろう白星を抱え上げ、居住エリアへと移動し。

 事情を知っている音鳴、そして彼女と共にまとめ役をしている草薙の2人に私が作ろうとしているものの話をすると、


「で、出来るんですか?そんな代物……」

「いやまぁ、柊さんがくれたRPT(これ)とか見ると多分出来るんだろうけど……終末前でも十分使える設備じゃんソレ……この設計図がゴミにならなくて済んだけどさぁ」


 両名共に苦笑を浮かべていたのは仕方ない事だろう。

 私も同じ立場であれば、前例を知っていなければ出来るとは思えない代物だ。その手のゲームの話をしていると思われても仕方ない。

 だが、出来るのだからやる。それだけだ。

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