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終末世界でもう一度 ゾンビウイルスで世界は終わりましたが、転生した私は『収納スキル』でスローライフを目指します  作者: 柿の種
第6章

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Episode1 - 見に行ってみよう


「いやぁー、やっぱり自分の家のベッドが一番身体が休まるってもんだよねー!」

「ずっと色んな人が来て気が休まらなかったものねぇ……」


 掃討作戦から約4日後。

 私と白星はやっと拠点へと帰還する事が出来た。

 今すぐにでもベッドの上で眠ってしまいたい程度には精神的に疲れているものの……私にはやらねばならない事がある。

 それは、だ。


「物資の整理、しちゃわないとだね」

「仕事はまだ終わらないって事ねぇ。難儀な事だわ」


 今回の作戦によって得られた大量の物資、そして推定4級のゾンビの頭からクリスタル核を回収しなければならない。

 後者は別に後でも良いが、前者は早めにしておかねば色々と困る事がある。

……白星ちゃんに見せちゃったからね、【空間収納】。

 彼女の収納系異能は、私の様にほぼ無尽蔵に物を収納出来るわけではない。

 その上、今回の作戦用に大量の戦闘用物資を詰め込んでいたのだ。当然、予想以上に手に入る事になった物資の全てを入れられる程、余裕はなかった。

 故に、既に本気も見せていると言う事で……私もある程度の自由度を持つ収納系異能を持っている事を打ち明けたのだ。とは言え、その全容を見せた訳ではないが。


「……お姉さんの方には何を入れたのだっけ?」

「私の方は……基本的に食糧系とかの時間が経つとまずいタイプだね。白星ちゃんの方に入ってる武装系はそのまま倉庫に適当に置いといていいや」

「はぁい。……本当に、私よりも便利な収納じゃあないの。なんで隠してたのかしら」

「あはは……それについては散々説明したでしょって」


 当然、白星には耳が痛くなる程に追及されたものの。

 複数の異能を持っている事がバレてしまえば面倒な事になる事、収納系という今の世間では便利すぎる異能を持っている事が知られればそれだけで狙われる原因になる事を話すと、思い当たる節があったのか不承不承といった体で引き下がってくれた。

 次いでに五十嵐には話していない事も伝えると、


「あの人泣くわよ!?」


 と言われてしまったが……あんまり伝えたくはないのだ。

 五十嵐は五十嵐で、今も昔も私に対して過度な信頼を置き過ぎている。その上で、複数の異能を持っている、なんて話をしてしまえば……今以上に信頼を、もしかしたら崇拝の様な事をし始めてもおかしくはないのだ。

 流石に昔から知っている人物が自分に向けてそのような感情を向けてくる様子は見たくない。


「……んー……それにしても、結構人増えた?居住エリアの方」

「増えたみたいね?ここに来てから日が浅い私でも見た事ない人が結構居たわ」

「だよねぇ。私も知らないってなると……ちょっと五十嵐か音鳴ちゃん達に聞いた方が早いか」


 あまり考えたくない方向にシフトし始めた思考を、目の前の事へと無理矢理切り替える。

 拠点に帰ってきた時にも感じていた事だ。

……どっかから噂を聞きつけたとか……後は、掃討作戦の結果を受けて、とかかな。

 居住エリアには現在、私の認識している住人が約40人ほど暮らしている。

 それに加え、私が掃討作戦へと向かう前には居なかった住人が追加で……約20人程度新しく住居を構え、仕事をこなしているのがA.S.Sの管理画面によって確認出来ていた。

 私が許可する必要はないものの、身元が分からない人物を大量に迎え入れるのも問題ではある……のだが。それに関して、五十嵐や音鳴達が問題として私に挙げてきていない事からそこまで緊急性のある出来事でもないとは判断出来ている。


「と言う事で……突撃!隣の居住エリア!やっちゃいますか」

「元々、私の家もあっちにあるのだけれどね?」

「あっはっは、あそこはもう私達の共有倉庫みたいなものだよ」

「酷くないかしら!?」


 気になるのであれば、直接確認してしまえばいい。

 A.S.Sによって身元どころかその人物が持ち得ている異能なども全て丸裸になっているとは言え……百聞は一見に如かずというものだ。

 私は何やら騒いでいる白星をチョーカーの力で引き摺りながら、居住エリアへと向かう事にした。



―――――



「あ、柊さんと白星さん。お帰りなさい!お疲れ様!」

「おっ、ただいま音鳴ちゃん。丁度いいね」


 居住エリアへと赴くとほぼ同時。忙しそうに走っていた音鳴が私達の事を見つけ、こちらへと駆け寄って来てくれた。

 彼女の手の内には何やら複数の設計図のようなものが握られており、何処かへとそれを届ける最中だったのだろう。


「今大丈夫?急いでたみたいだけど」

「平気平気!柊さん達の対応してたって言えば大体許されるし、私もそろそろ休憩しようかなって思ってた所だから!」

「おや、私達を休憩の理由にするなんて偉くなったねぇ」

「えへへ、それほどでも」

「多分褒めてないわよ?」


 彼女は近くにある休憩用のベンチへと私達を案内してくれると共に、RPTを使って軽い食事と飲み物を手配してくれた。

 それを甘んじて受け入れつつ、本題に入ろうとすると。


「多分柊さん達が来たのって、最近増えた人達について聞きたいからだよね?」

「話が早くて助かるよ。……別に出ていってくれ、とか言うつもりはないんだけど」

「うん。多分……どこから来たのかとか、そういう身元とかの話だよね?えぇーっと待ってね……」


 音鳴は私達が来た理由をすぐに察し、何やら懐から複数の紙を取り出し始めた。

 手渡されたそれを見てみれば。そこには1人1人の顔写真と、何故この居住エリアに来たのかなどの理由、異能を含めた持っている技能なんかがまとめられていた。


「うわ、お姉さんが聞く事なくなったじゃないのこれ」

「そうだねぇ……しかも写真付きだしありがたい事この上ないよ。大変だったでしょ、これ作るの」

「そんなでもないよ?私、元々こういうの得意だったし……何なら五十嵐さんが帰って来てから手伝ってくれたしね」

「あぁー。確かにあの子もこの手の作業得意だったか……」


 文明がかなり発達しているな、とは感じるものの。

 RPTを使って貰っているのだ。カメラや紙程度ならば働き次第で幾らでも手に入れる事は可能だろう。

 だが、これに伴って気になる事が1つ増えてしまった。


「うん、この人数に住む場所、働く場所って考えると……電力とか大丈夫?足りてないんじゃない?」

「あっ、うん。そうだね……ちょっと足りてないから、皆でポイント出し合って簡単な家庭用の発電機でも買おうかって話し合ってた所だね。これがそれを安置しておくための倉庫の設計図」

「成程成程……丁度タイミング良かったみたいだね。やったじゃん白星ちゃん、私達もやる事が出来たっぽいぜ」

「……すっごく嫌な予感がするのだけれど」


 私が笑顔を浮かべ、白星の方を見つめれば。

 考えている事が伝わったのか、物凄く嫌そうな表情を浮かべながら彼女は肩を落とした。

 音鳴は何がなんだか分かっていないようだが……言わなければならないだろう。


「大家的存在として、私達が人肌脱ぐからちょっとその発電機買うの待っててもらっていいかな?音鳴ちゃん」

「え?うん、別にそれは構わないけど……」

「その間、足りなくなりそうな物資とかは丁度持って帰ってきたのが沢山あるから、白星ちゃんが何度かに分けて居住エリアに持ってくるって感じで。都度都度足りないモノに関しては言ってくれれば対応するから」

「そ、そんなにしてもらわなくても大丈夫だけど?!」

「良いの良いの。私が持ってたとしても使うのは私と五十嵐と白星ちゃんの3人だけなんだから」


 今回得た物資……その中でも食糧は佐藤の避難所で生育されたと思われる生鮮食材も多い。

 私の【空間収納】の中に入れておいても良いが、出来る限り異能の方には空きを作っておきたいという考えもあるのだ。

 それに、発電機等の方も考えがある……というか。答えの様なモノが既に見えている(・・・・・)のだから。


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