10:【追放サイド】VSアイスドラゴン
【勇者レオン・サイド】
「こんな所にドラゴンの巣があるんなんて……本当に曰く付きらしいな」
王都ジャンバティスタから馬車で3日。
森に囲まれたド田舎のバジレ村はずっと前にドラゴンに襲われて以来、呪われた土地なんて言われてる曰く付きの村だ。
俺はそんな村の近くにあるダンジョン【絶零竜アイスドラゴンの巣】にやって来た。
このダンジョンの最奥でダンジョンの主……ボスであるアイスドラゴンを倒す。
それもたった一人で。
それが俺の勇者としての実力を試すために与えられた試練だった。
「あの王女、ムチャクチャしやがって……!! クソッ、こんなの遠回しな死刑じゃないか!!」
アシエのヤツが一人で倒したらしいが、ドラゴンなんて普通なら勇者でさえパーティ全員で戦うような相手だぞ?
何かの間違いに違いない!!
「さむっ!! それにしてもアイスドラゴンか……なんて冷気だ!!」
吐く息すらも白く凍る。
ダンジョンの壁まで凍っているくらいだ。
氷に魔力が宿っているのか、不思議な青白い光を放っていて洞窟の中なのに明るい。
「モンスターは住み着いてないみたいだな……」
寒すぎるからか生き物の気配がしない。
かなり深い洞窟だが、入口からずっとこの様子だ。
環境を変化させるほどの力……さすがは最高ランクの危険度と言われる種族だ。
「やってやるさ……俺は聖剣に選ばれた勇者なんだからな!!」
そのための準備はしてきた。
金はかかったが、勇者としての実力を認めさせればいくらでも金は入ってくる。
だが、逆にここでドラゴンを倒せないなんてことになれば……勇者パーティは解散だ。
王女はなぜかアシエをひどく気に入っている。
俺の心を弄んだあの悪役令嬢が新しい勇者になるなんて事態もありえる!
そんなのは有り得ない!
そんなのはこの俺が絶対に許さないぞ!
アシエはもっと罰を受けるべきなんだから!!
「……ん? 行き止まりか?」
洞窟を進むと、すぐに最深部までたどり着いた。
最強種であるドラゴンの巣だからもっと広いかと思ったが、それほど深くもなかったな。
「なにも……いない……?」
最深部には巨大な氷の結晶のような物体があるだけで、なにもいない。
「それにしても大きいな……これほどの氷の結晶、見たことがない……」
見上げるほどの氷に、俺の姿が反射する。
俺は今日もイケメンだ。
パキ……。
「ん…………?」
今、氷が動いたような?
……いや、まさかな。
そんなワケがないだろう。
パキ、パキ……!
バキキ、バキバキバキ……!
だって目の前の氷の塊は、あまりにもデカすぎる。
もしこれが生き物だとしたら……そんな巨大なドラゴン見たことない!
「ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?!?!?!?!?」
ガキィィィィ……ンッ!!!!
「硬い!?」
とっさに剣を抜いたが、弾き返された。
あり得ないくらいの氷の硬度!!
「バカな……!? 俺の光の聖剣が弾かれただとっ!?!?」
神の鉱石で作られた巨人、ミスリルゴーレム。
深淵の闇、アビスゴースト。
暗黒の支配者、ダークネスドラゴン。
俺の聖剣をもってしても一撃で倒せない敵たちには何度も出会ってきた。
どいつもこいつも魔界の奥地に住む強敵たちだ。
俺たち勇者パーティでなければ倒せないようなバケモノどもだった。
「あ、有り得ない!!」
だが、傷一つすら付けられなかった相手なんていなかった。
「俺は、選ばれた勇者なんだぞっ!?!?!?」
魔王を倒す事ができる唯一の神器『光の聖剣』に選ばれた人類最強の剣士!
それが俺なんだ!!
「うおおおおおおお!! この一撃でダンジョンもろとも消し飛ばしてやる!!」
光の聖剣エクスキャリヴォルグ、最大出力!!
これが俺の全力全開の必殺剣だぁああああああ!!
「ハイパー・マキシマム・スラアァァァアアアッシュウゥゥゥゥゥゥーーーーーー!!!!!!」
聖剣がまばゆい光を放つ。
光その物となった刃による最強の一撃。
この技を耐えたのは今までに魔王だけ!!
ズギャアアアアアアアアアアアアアア――――ッッッッ!!!!
ダンジョンが白い光に包まれる。
冷気と共に氷の欠片が辺りに飛び散った。
「や、やったか……!?」
バキイイイン!!
巨大な氷の塊が砕けた。
「勝った!! アシエにできて俺にできないワケがない!! あははははは!! あーっははは!!」
バキ。
バキバキ。
「……は?」
氷の中から、再び氷の塊が現れる。
さっきは氷の一部が砕けただけだったのだ。
ドラゴンを倒せたワケじゃなかった。
俺の最強最大の一撃は、ドラゴンの本体には届いてすらいなかったのだ。
「そ、そんなバカな!! あ、あ、有り得ない!!!!」
俺は勇者だ。
こんな所で死ぬワケがない。
「く、くそ!! フレイム・ボール!!」
準備していた魔道具を投げつける。
高ランク魔術師たちが魔術を込めた玉だ。
氷には炎!
万が一、聖剣が効かない相手だった場合に備えて準備して来たアイスドラゴンのための対策だ。
「ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!」
「ひ、ひぃぃぃぃ!?!?!?」
強烈な咆哮に体が凍る。
炎すらも凍り付いていた。
まるで効いていない。
「な、なん……だと……!?」
聖剣も、炎も効かない。
こんなバケモノ、どうすれば倒せるんだ……?
「ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!」
再び、方向と共にドラゴンの口に冷気が凝縮していく。
ヤバイ。
逃げたいのに、腰が抜けて立てない。
「俺は、選ばれた勇者なんだぞ……!?」
勇者がこんなド田舎のダンジョンで死ぬワケがない。
今までだって死線を何度もくぐり抜けて来たんだ。
だから大丈夫だ。
「大丈夫……俺が、負けるワケ…………!!」
恐怖で力が抜ける。
聖剣の光も消えかけている。
どうしてこうなった?
今までの俺と何が違う?
「ア…………」
そうだ。
ミスリルゴーレムを倒した時も、アビスゴーストを倒した時も、ダークネスドラゴンを倒した時も。
いつも、俺の後ろにはアイツがいた。
「ア、アシエ……助け――」
「ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!」
無慈悲な咆哮と共に冷気のビームが放たれる。
死。
それを覚悟した瞬間――
「ピー!」
力の抜けるような不思議な鳴き声と共に、あまりにも眩しい不死鳥の炎がドラゴンの冷気を打ち消していた。
そしてそんな不死鳥の炎の中から、見覚えのある可憐な顔が現れたのだ。
「ん? なんか呼んだか?」
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