表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【ホラー小説ランキング2位達成】5千PV突破 訳あり不動産の事故物件調査ファイル  作者: 虫松
第一部 小林治編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/49

ファイル35 写真に写らない小林

内見記録用に、

部屋の写真を数枚撮った。


リビング。

キッチン。

廊下。


どの写真にも、

小林の姿だけが、なかった。


同行者が画面を拡大して言う。

「……小林さん、写ってませんカメラの調子が変だな。」


すぐ横に、

確かに立っているのに。


小林は気にした様子もなく、

カメラの方を見ずに答えた。


「そっち側で見ると、そうなる」


音声記録を再生すると、

はっきり声は入っている。


足音。

衣擦れ。

呼吸。


でも、写真には、

空間だけが写っていた。


最後に一枚、

洗面所の鏡越しに撮った。


そこには――

直接ではなく、

反射の中にだけ、


人のような、

ぼやけた輪郭。


顔は、判別できない。


小林はその写真を見て、

少しだけ満足そうに頷いた。


「うん。今日は、まだ形あるね」


その後、

同行者のスマホに残った内見写真は、

すべて“人物なし”に上書きされていた。


音声データだけが、

削除できなかった。

※追記事項


・小林 治は、公式な記録写真に一度も写っていない。

・ただし、音声・筆跡・契約行為はすべて有効と判断されている。


小林 治

「姿ってさ、 残すもんじゃなくて

映る側が決めるんだよ」

と記録

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ