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【ホラー小説ランキング2位達成】5千PV突破 訳あり不動産の事故物件調査ファイル  作者: 虫松
第一部 小林治編

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ファイル18  最上階の足音マンション

築5年、見た目も綺麗、設備も最新。

なのに家賃は周辺より 2〜3万は低い。


物件情報欄には小さく

「※深夜の足音の苦情あり」

とだけ書かれている。


千堂

「築浅なのに安いですね……」


小林

「まあ、いろいろあるんだよ、こういう物件は見に行ってみるか。」


不穏な一言。



◇◇◇



最上階へ案内される


天井の上は屋上。

当然、上階の住人はいない。


小林

「ここが問題のお部屋。前の入居者はすぐ退去されたみたいでね」


千堂

「……子供の足音の苦情って書いてありますけど? 上の階、ないですよね?」


小林「そう。だから“訳あり”なんだよ」


内見開始


リビングを見て回っていると


“ト…ト…ト…”

軽い足音のような振動が天井から降りてくる。


千堂「……今、聞こえました? 子供が走るような……」


小林

「配管に水が流れる音かもな」


だが続く。

“トトトトトッ”


明らかに「走り回るリズム」。


千堂が天井を見上げると

照明の上の暗がりから、

“何かがこちらを覗いている”影が見えた気がして身体が固まる。


瞬きをすると、影は消えていた。


玄関を開けようとしたとき、

千堂は何かに視線を引かれるようにベランダを見る。


そこには、


手すりの向こうに、子供の“足”だけがぶら下がっている


ように見えた。


千堂「えっ……!」


一瞬後にはもう何もない。


小林

「どうした?」


千堂

「……いえ、なんでも」



帰る途中、マンションの管理人に声をかける。


千堂

「この部屋って、以前は子供のいる家庭だったんですか?」


管理人

「いえ、前の住人は独身の男性でしたよ。子供なんて来たこともないはずですが……?」


言葉の意味が引っかかる。


夜道。


千堂の真上の空から


“ト……ト……ト……”


軽い足音がついてくる。


千堂が立ち止まると足音も止まる。

歩くと、またついてくる。


心臓が締め付けられる。


千堂(……追ってきてる?)


振り返り、マンションを見上げた。


ベランダの手すりの影に、

子供の足がまた一瞬だけ揺れた。



◇◇◇



翌日。


小林が資料を持って千堂の机へ。


小林

「……あのマンション、調べ直したよ」


千堂

「やっぱり何かあるんですね?」


小林は淡々と告げる。

「十年前、あの部屋のベランダから 子供が転落死してる。

 前の不動産会社は“告知事項なし”で貸してたらしい。

 苦情の“足音”……多分、あれは……」


千堂

「……上から聞こえるはずのない、あの音……」


小林

「そう。屋上じゃなくて、子供が……落ちたのは“ベランダ”だからな」


千堂の背筋が凍りつく。


その日の夜。


自宅の天井から

“トトト……ト……”


あの足音が聞こえ始めた。


千堂「また……ついてきた……?」




ファイル18  最上階の足音マンション エンド


挿絵(By みてみん)

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