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【33】チートクラゲ爆誕


 いやー、転生五十日目にしてこのステータスですよ。


 アクア・シームーンに進化してから二十数日。レベルは12までしか上がっていないが、パラメータはかなり上昇している。そして何と言っても注目すべきはスキルだろう。


 既存スキルがカンストに達し、新しく派生または進化したスキルについてはすでに説明した通りだが、『擬態』と『魔力超感知』以外はどれも使い勝手が良い。


『毒撃』は触手じゃなくても触れた場所から「魔法毒」とやらを流し込める……というか、相手に付与できる能力だ。『刺胞撃』と違って使用にはMPが消費されるが、『刺胞撃』は麻痺毒なのに対して、こちらは相手の【HP】を減少させつつ毒としての苦痛も与える効果があるらしい。どうも神経毒とかテトロドトキシンとか、そういう物質的な毒とは根本的に異なるようだ。


『魔力精密操作』は今までの魔力によるオーバーブースト効果が上昇するのに加えて、スキルや魔法の消費魔力が軽減される効果もあった。魔力を精密に操ることで、無駄があった部分を無くし、スキルや魔法の発動を効率化するってことらしい。


『自然魔力吸収』は『MP回復速度上昇』と同じでパッシブスキルだ。『MP回復速度上昇』は一定の速度でMPを回復させてくれたが、こちらは場所によって回復速度が僅かに異なる。とはいっても、回復速度が今までよりも遅くなることはなく、『自然魔力吸収』の分が上乗せされた感じだ。


 新しいスキルはどれも素晴らしい効果だ。


 しかし、もっと素晴らしいスキルがあった。それはスキルレベルが上がった『空間魔法』と『水魔法』のことである。


 まず最初に『水魔法』について。


 スキルレベルが9まで上がった結果、俺はウォーター・ボール(仮)やウォーター・アロー(仮)を撃てるようになった。


 各レベルで覚えた魔法と説明は以下の通り。


 6レベル――「浄水」


 これは水を綺麗にして、飲用可能にする魔法だ。人間さんたち他、陸で生きる生物には便利そうだけど、俺には必要ない魔法である。


 7レベル――「硬化」


 これは「形体付与」した水を硬くする魔法。といっても氷にするわけではなく、「形体付与」した形が崩れにくくなる効果がある。水魔法の実験では「形体付与」に魔力を込めまくって強度を上げていたが、本来はこの魔法で強度を上げるものと推察される。MP効率も段違いでこっちの方が良いしね。


 8レベル――「射出」


 これは水に運動エネルギーを与える魔法だ。つまり「形体付与」した水を「硬化」で硬くし、「射出」で飛ばすことで、この世界のウォーターボール(仮)は完成するらしい。


 ちなみに、水以外を射出することはできなかった。水――正確には純水または水を溶媒とした液体限定のサイコキネシスみたいなものだな。


 しかし、これでウォーター・ボール(仮)を発動するためには、「水生成」を元からある水で代用したとしても、一発30MP程度消費してしまう。『魔力精密操作』がある俺でも、25MPの消費だ。ゲームとかだと下級の魔法なんだが、ちょっと消費が多すぎないか?


 9レベル――「創水の理」


 これは複数の効果がある魔法……というか、「水生成」を強化するパッシブスキルみたいなものだ。まず一つ目の効果は「水生成」の消費魔力軽減。二つ目は時間経過で消えない水――つまりは飲料水の生成が可能になること。ただし、飲料水の生成では消費魔力が通常と比べて跳ね上がる。


 通常1MP1リットルの水を生成するところ、「創水の理」があれば1MPで10リットルほども水を出すことができた。ただし、これを飲料水の生成にすると、1MP1リットルとなった。


 飲料水だと消費魔力は跳ね上がるが、1MPで1リットルならば、かなり効率は良い。それに俺が飲料水を作ることはほとんどないと思うしね。


 加えて「創水の理」を得たことで、「水生成」を1MP以下で発動することも可能になっている。どういうことかと言うと、0.1MPを消費して1リットルの水を生成する――という感じだ。


 小数点以下はステータスでは反映されないが、内部的にはきちんと処理されているらしく、1リットルの水を10回に分けて生成したら、きちんとステータスの表示も1MP減少した。


『水魔法』の10レベルでどんな魔法を覚えるのかはまだ分からないが、もしかしたら水魔法全般の消費魔力を軽減してくれるような魔法かもしれない。今のままでは、さすがに消費魔力が多すぎると思うんだよね。


 ともかく。


 MP消費に目を瞑れば、俺は攻撃魔法を問題なく使えるようになったのだ。ちなみに威力は中々で、弾丸状に「形体付与」した水を放つ魔法、ウォーター・バレット……いや、ここは俺の種族名から「アクア・バレット」と命名しようか。ともかく、アクア・バレットはサハギンすら倒せる威力を発揮してくれた。


 ただし、海中で使おうと思ったら「水中抵抗軽減」も必要になるんだけどね。


 さて。


 水魔法に関する説明はこれくらいにして、いよいよ真打登場だ。『空間魔法』さんの出番である。


『水魔法』は9レベルまで上がったというのに、相も変わらず成長が遅くて、スキルレベルが4にしかなっていない『空間魔法』さん。


 しかし、レベルの成長は遅くとも、実際には大いなる成長を遂げていたのだ!


 刮目せよ! 4レベルで覚えた新魔法が、これだ!



 ――「空間転移」



 ……いやー、さすが『空間魔法』さん。マジパネェっすわ。


 空間魔法三大チート、転移、無限収納、次元斬の内の一つを、もう使えるようになるとは……。


 この「空間転移」は凄かった。


 何が凄いって、マジで転移するんだよ。ちゃんと空間転移なの。実は強魔法と見せかけた残念魔法ではなかったの。皆が考える転移魔法だったの。凄くない?


 何度も検証する間、どこかに落とし穴があるのではないかと疑ってしまったよ。


 MP消費が超絶重いとか、転移できる場所に細かい制限があるとか、発動まで滅茶苦茶時間が掛かるとか。


 いや、確かに消費は重かった。だけど十分に使える範囲だった。「空間転移」は一回で50MPを消費するんだよ。でも、発動は一瞬だし、距離によって消費MPが増えることもなかった。


 どんだけ短い距離でも、どんだけ長い距離でも、消費MPは一律50なのだ。


 いや…………凄くない?


 転移できる場所にも、転移の対象にも、確かに制限はあった。しかし、転移場所は「空間識別」で認識している場所であれば、どこでも大丈夫だったし、転移の対象外となるのは自分以外の魔力を持つ生命体だけだった。


 要するに、「水中抵抗軽減」を魚に掛けられないかと試した時の、アレである。


 僅かな魔力でも魔法を弾いてしまうという、アレだ。そのために、たとえばサハギンなどを上空数百メートルに転移させて墜落死させる――みたいなことはできなかった。


 だけど、自分が転移する分には何の問題もない。仲間とかを転移させられないのか? という疑問はあるが、仲間なんていない俺には関係ないしね……へへっ。


 まあ、とにかく。


 そんなわけで俺は遂に転移魔法を手に入れてしまったわけなのだよ。


 ということはだよ? 俺が最初にいた第一の楽園たる小島に帰ることもできるようになった――というか、もう実際に帰ってみた。


 たぶん数百キロは離れていると思うんだが、転移で楽々移動できるのだ。サハギンなんぞいない、安全な小島周囲の海域に、いつでもね。


 んで、今の俺は攻撃魔法も身につけちゃったわけですよ。


 そして「座標」がある場所なら、遠隔で魔法が放てちゃうわけですよ。


 反撃される可能性すらない、安全な場所から一方的に攻撃できるわけですよ。


 なら、やるわけですよ。


 遠く離れた小島に転移して、洞窟の中にいるサハギンたちにアクア・バレットを撃ち込むわけですよ。


 サハギンたちは何処からともなく放たれる水の弾丸に右往左往し、恐慌をきたすわけですよ。当然、術者を探すけれど見つからないわけですよ。


 俺はMPが尽きるまでアクア・バレットしまくるわけですよ。サハギンたちを数十体以上も殺るわけですよ。


 当然、俺のレベルが一気に上がるわけで――


(――すよ……って、全然レベルが上がってねぇじゃねぇかッ!? どうなってんだよいったい!?)


 なぜか、大量のサハギンたちを殺戮したはずの俺は、一つもレベルが上がっていなかったのだ。


 確かにアクア・シームーンになって必要な経験値は増えたが、これはない。流石に数十体のサハギンを倒して1レベルも上がらないというのはあり得ない。


(まさか、遠距離からだと経験値が入らないとか……?)


 それくらいしか原因は考えられない。


 俺はさっそく、どのくらいの距離なら経験値が入るのか、検証してみた。


 いや、検証しようとした、というのが正しいか。なので今でも正確な距離は把握していない。


 というのも、第一の楽園から第二の楽園たる島へ転移で戻り、俺のホームグラウンドたる浅い海から洞窟の中のサハギンたちを倒してみたんだよ。すると今度は問題なく経験値が入り、俺のレベルが上がったのだ。


 少なくとも、この島近辺からならサハギンたちを倒して経験値は貰えるようだ。


 流石に数百キロも離れていると、ダメみたいだが。


 まあ、それでも問題はない。島の反対側から遠隔魔法で倒したサハギンたちの経験値は入っているのだから。


 転移分のMPだけを残して、ここからサハギンどもを倒しまくり、MPが無くなったり危険になったら小島の方に転移で逃げる。そうすれば安全にサハギンたちを狩ることができるだろう。


 うぅ~む……十分すぎるほどにチートだな。


 ――というわけで。


 安全に一方的にサハギンたちを倒せると確信した俺は、転生五十日目、レベル上げをするためにサハギンたちを狩ることにしたのだ。


 いや、積極的にレベル上げしようとは思ってなかったけど、ここまで楽にできるなら話は別じゃん?


 そんなわけで俺はサハギンたちに猛然と襲いかかった。


 遠隔で、魔法で、だけどね。




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